研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
製品化/起業
希釈窒素ガス削減による高効率・省エネな排ガス処理装置の開発
キーワード :  半導体、CVD、除害、TEOS、モノシラン、希釈窒素、LEL、爆発下限界、減圧、ドライポンプ、可燃性ガス
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) NexTEP-Aタイプ
研究開発課題名 減圧プラズマによる高効率除害装置(開発期間:平成29年6月~令和2年5月)
製品化企業名 カンケンテクノ株式会社 研究者 一木 隆範(東京大学)

半導体などの製造工程で用いる毒性ガスや可燃性ガスなどの危険ガスは除害装置で無害化して排出する必要があるが、従来の除害方法(燃焼式、熱プラズマ式)は高ランニングコストな問題がある。特に可燃性ガスでは発生源から除害装置までガスを安全に輸送するために爆発下限界(LEL)まで窒素ガスで30 ~ 100倍程度希釈する必要がある。この大量の窒素ガスによって希釈後の総ガス量が数十倍になり、除害にかかるコスト・エネルギーも増大する。
LELはガス温度や圧力に依存するため、本開発では従来は大気圧であった発生源~除害装置間を真空に保つことでLELを大きくし、希釈窒素ガスの削減(処理に必要なエネルギーを約75%削減)に成功した。また、本除害装置は窒素の削減だけでなく低蒸気圧物質の除去を目的とした配管加熱温度も下げることができ、総ガス量が減少することで除害装置の設置数を減らせるため、大幅な省エネが可能である。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

本開発装置は、可燃性ガスを使用する化学気相合成(CVD)装置からの排ガス除害に効果を発揮する。その高い省エネ性は半導体工場の設備部門から注目されている。
現在の除害装置の世界市場規模は約1000億円程度である。除害装置の市場においては、現在、燃焼式除害装置が多く利用されているが、カンケンテクノ(株)は電気式(ヒータ、プラズマ)による環境対応を重視した除害装置を一貫して提供している。今後本開発装置で市場を広げ半導体工場の環境対策に貢献する。

開発者の声

開発開始時には希釈窒素ガスの削減がほぼ唯一の特徴・利点と考えていたが、開発終了し評価機をユーザに導入する段階では、除害装置の導入数削減や断熱膨張によるガス冷却効果といった新たな利点が見つかってきた。
今後も新しい機能を付加しながら拡販していきたい。
この成果は、JSTからプレスリリースとして発表されています。
●デバイス製造装置向け排ガス除害装置の開発に成功~危険なガスを高効率・省エネに無害化~[2021年3月]


このページの先頭へ ピコ秒&ナノメートル分解能でキャリアダイナミクス観察可能な顕微鏡を開発