研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
製品化/起業
10-8/K以下の測定精度を有する超高精度熱膨張計の開発
キーワード :  熱膨張率、低膨張率材料、光干渉法、制振構造、精密温度制御、自動試料セット機構、標準物質、干渉縞
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) NexTEP-Bタイプ
研究開発課題名 超高精度熱膨張計測システム(平成28年12月~平成30年11月)
製品化企業名 アドバンス理工株式会社 研究者 神谷 友裕(宇宙航空研究開発機構)

航空宇宙や半導体分野では、温度変化に対する寸法安定性を高めてシステムを高性能化するために、熱膨張率が10-7/K以下の材料の必要性が増大している。
10-8/Kの熱膨張率が正確に評価でき、更に操作性や低コスト等の実用性を兼ね備えた競争力のある計測技術を実用化することは材料開発および精密機械産業の高性能化に対して極めて有益である。このようなニーズに応えるために10-8/Kの熱膨張率を正確に評価できる光干渉法を用いた熱膨張計の製品化を実現することが出来た。計測の誤差要因である「振動外乱」の影響を排除する技術の開発により、熱膨張率の測定精度が市販装置として世界最高の1×10-8/K以下を達成し、さらに、試料自動セット機構の搭載により再現性を10-9/Kレベルまで実現することが出来た。これまで、多数の低膨張材料の測定を行ってきたが、国家機関保有の機器で得られたデータとほぼ同等の結果が得られている。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

光学顕微鏡などが使用できる設置環境において、10-8/Kレベルの精度を実現し、更に、10-9/Kレベルの再現性が可能な装置の完成は、低膨張材料の研究開発や材料メーカーの製造部門における品質保証に対しても大きな貢献が出来るものと考えられる。製品化後、本装置への引合いや本装置を用いたデモの要請が徐々に増加してきている。カーボンニュートラルの動きに伴う新規材料開発が活発化していることに起因しているものと考えられ、今後市場における浸透が益々期待される。

開発者の声

商品化段階においては、A-STEPでの開発の中では確認できなかった幾つかの課題が顕在化し、それらの改善に注力することになった。しかしながら、いろいろな試料の測定データを取得し、様々な人による装置利用を経験することで、再現性の揺らぎやユーザビリティに対する課題を改善することが出来た。その結果、装置性能がより向上するとともに、実用性の高い市販レベルの装置として仕上げることが出来た。


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