研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
機能材料
要素技術構築
加湿不要で水素イオンを高速伝導する「配位高分子ガラス」
キーワード :  燃料電池、水素イオン、配位高分子、電解質、イオン液体、イオン伝導体、3次元ネットワーク構造
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) シーズ育成タイプ
研究開発課題名 イオン伝導性配位高分子を電解質に用いた燃料電池の研究開発(平成27年12月~令和2年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 株式会社デンソー 研究者 北川 進(京都大学)

燃料電池(図1)はクリーンなエネルギーとして期待され、燃料電池車も販売されている。しかし、燃料電池の普及拡大に向けては、コスト低減、効率向上、小型・軽量化などに関する技術革新が必要となるが、そのキー技術の1つが、水が蒸発する100℃以上の環境でも湿度ゼロで水素イオンを高速で伝導できる固体電解質である。
本研究では、京都大学 北川進先生のもと堀毛悟史先生らを中心に研究を進め、金属イオンと分子が交互に連結された配位高分子ガラス(図2)を新たに創出し、その新材料が構成する水素イオンの3次元ネットワーク構造(図3)によって、高い水素イオン伝導性を発揮する固体電解質を合成することに成功した。
本材料を用いた燃料電池セルの発電評価では、湿度ゼロ・120℃の環境において最大出力密度150 ミリワット/平方センチメートルを記録し、高い性能を発揮することが確認された。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

燃料電池の本格的な普及拡大に向けては、本研究対象である固体電解質の革新のみならず、電極触媒やガス拡散層と接合した燃料電池セルとしての性能向上を図る必要がある。今後は実用化を視野に、耐久性も考慮した発電性能向上に取り組んでいく。

開発者の声

電解質は、水素イオン伝導性、ガス遮蔽性、電極接合性などの様々な機能を同時に成立する必要があり、非常に困難なプロジェクトであった。
しかしながらA-STEPの支援のもと成功を信じ、参加機関一丸となって研究を継続することで将来に繋がる大きな成果が得られたと感じている。
この成果は、京都大学アイセムス(物質-細胞統合システム拠点)からプレスリリースとして発表されています。
●加湿不要で水素イオンを高速伝導する配位高分子ガラスの合成に成功 ―車載用燃料電池の電解質材料として期待―[2020年5月]


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