研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ICT・電子デバイス
要素技術構築
車載ネットワークにおける耐タンパを実現するセキュアLSIの開発
キーワード :  車載セキュリティ、サイドチャネル攻撃、Physically Unclonable Function
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)  シーズ育成タイプ
研究開発課題名 耐タンパセキュリティハードウエアの車載システムへの応用(開発期間:平成27年12月~平成30年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 パナソニック セミコンダクターソリューションズ株式会社(現 ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社) 研究者 藤野 毅(立命館大学)

急速に技術開発が進展している自動運転車においてセキュリティは重要な研究課題である。欧州の自動車関連メーカーが中心となってCANなどの車載ネットワークにメッセージ認証コード(MAC)を付与するセキュアな車載通信規格が提案されている。ところが、本規格を採用しても、MACを生成する処理を担っているLSIが脆弱だと暗号鍵が漏洩するという問題がある。本研究では、耐タンパ性を有する暗号回路と物理的複製防止(PUF)技術により、暗号鍵漏洩を防止できる安全なハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)を開発した。開発したHSMは、車載ネットワーク(CAN)上を流れるデータとLSI動作時の漏洩電磁波を用いて暗号鍵を窃取するサイドチャネル攻撃に対し、十分な耐性を持ち、さらに、LSIの製造ばらつきからデバイス固有情報を生成するPUF技術を用いることで暗号鍵を外部の不揮発性メモリに安全に保管できることを実証した。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

車載ネットワークにおけるセキュリティー確保は、外部と通信を行う必要がある自動運転技術において極めて重要である。本研究により欧州が進める車載通信規格をLSIに実装する際の危険性を示唆するとともに、その対策について提案することができた。また、現在国際標準化が進められているPUF技術を利用して、車載マイコンに用いられる暗号鍵のセキュアな保管や、セキュアブートに利用できることを示すことができた。

開発者の声

本研究の成果は、車載分野にとどまらず、全てのIoT機器のセキュリティーを高める可能性を有している。IoT製品は生活のあらゆるシーンで広く利用されるためLSI実装の脆弱性を悪用されると社会的な影響が大きい。今後は、IoT機器に搭載されるAIプロセッサのセキュリティの向上にも本技術を展開していきたいと考えている。



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