研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
製品化/起業
資源的制約のない窒素を添加することでステンレス鋼の付加価値を向上
キーワード :  窒素添加、窒素熱処理、窒素含有率、ビッカース硬さ、耐食性、塩水噴霧試験、孔食電位測定試験
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)  探索タイプ
研究開発課題名 窒素添加によるクロム系ステンレス鋼の耐食性向上に関する研究(開発期間:平成27年1月~平成27年12月)
製品化企業名 株式会社中津山熱処理 研究者 三浦 一真(元 新潟県工業技術総合研究所)

マルテンサイト系ステンレス鋼の代表鋼種:Fe-13Cr-0.3C(SUS420J2)とフェライト系ステンレス鋼の代表鋼種:Fe-18Cr-0.1C(SUS430)を対象に窒素(N)添加に関する研究を行った。開発した高清浄な窒素熱処理プロセスを改良し、SUS420J2では、0.3%の窒素含有率で700HVを超えるビッカース硬さを達成、Fe-16Cr-0.6~1.2C系(SUS440C)に匹敵する高い値が得られた。塩水噴霧試験では24h噴霧をクリアし(図1は8h噴霧の結果)、孔食電位試験で0.2Vの孔食電位を得て(図2)、更なる高い耐食性を示した。SUS430も耐食性は改善され、最高でFe-18Cr-8Ni(SUS304)と同等の耐食性が得られた。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

本研究で18%Crまでのステンレス鋼の窒素添加に成功した。確立済みの18%超の高Crフェライト系と合わせ、多くの鋼種に適用可能となった。資源的制約がなく、安定供給可能な窒素は、将来、希少金属代替の添加元素としての役割が期待される。研究終了後、刃物、機械部品へ適用を開始している。新規事業として、将来5千万~1億円/年の売り上げを期待する。

開発者の声

機械部品・刃物等製品適用を開始したSUS420J2で補完研究を実施、トップクラスの耐食性を達成し、製品適用の範囲が広まった。
SUS430は処理温度により組織が複雑に変わることから、表面改質技術に展開したい。
また、SUS304、SUS316等のCr-Ni系についても窒素熱処理技術を確立しており、製品化を模索中。高Crフェライト系は低コスト化を目的に汎用的な鋼種の処理を含む補完研究を実施中。研究成果を上げており、燃料電池をはじめとするエネルギー分野での製品適用を目指す。



このページの先頭へ