研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
製品化/起業
ロータス銅の量産化製法開発とヒートシンクへの応用
キーワード :  ポーラス金属、水素、銅、連続鋳造、ヒートシンク、HV自動車
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)  シーズ顕在化タイプ
研究開発課題名 ロータス型ポーラス金属の量産化製法の開発(開発期間:平成24年4月~平成25年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 ロータスアロイ株式会社(現 株式会社ロータスマテリアル研究所) 研究者 井手 拓哉(大阪大学)

ロータス型ポーラス金属は溶融金属に水素を溶解させ凝固時に固溶できない水素が気孔を形成する現象を利用して作製することができる。溶融金属に水素を溶解させるには従来、高圧水素が用いられてきたが、量産化には安全かつ安価な作製が必要である。本研究では、1)連続鋳造による製法の量産・低コスト化(図1)、および2)水素化物の熱分解を利用した連続鋳造による製法を開発した。その結果、均一な気孔率および気孔サイズを有するロータス銅を作製することができた。気孔率および気孔サイズは1)では水素分圧に依存して変化すること、2)では水素化物の添加量に依存して変化することを見出した。従って、水素分圧や水素化物量によって気孔率や気孔サイズを制御できる。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

ロータスヒートシンク(図2)は、従来の溝型ヒートシンクよりも数倍優れた冷却能を有する。自動車のPCU用の水冷型ヒートシンクモジュールにロータス金属を用いると、パワー素子の大電流化およびPCUの小型化と低コスト化を実現することができる。当該技術は、業界紙においても熱に打ち勝つ技術と報道された。この技術シーズを基にロータスヒートシンクを製造販売する(株)ロータス・サーマル・ソリューションが2016年1月に新規設立され、事業化を進めている。

開発者の声

A-STEP事業で資金面だけでなくアウトリーチ等の支援を受けられ、成功したことで事業化の見通しが立った。さらに、旧【ステージⅢ】NexTEP-Bタイプとして2017年度より当該技術を用いた革新的車載用冷却器を開発した。その冷却技術を転用した液浸サーバーは、脱炭素社会を実現する省エネサーバーシステムとして大きな市場が期待され、一部製品出荷を開始した。シーズ探索、顕在化、実用化と大学発の開発技術によるイノベーションの創発に対し、ステージに合わせた最適な成果展開支援により社会実装を実現できた。
この成果は、以下のメディアにて紹介されました。
●鉄鋼新聞 2019年10月17日朝刊(5面)「銅製ロータス金属 革新的放熱部材として活用へ ガス大手・岩谷産業と共に事業化」
●日経エレクトロニクス 2018年9月号 Breakthrough破壊と創造をもたらす超高速マシン 第4部:熱に勝つ技術
 「どんどん熱くなる超高速マシン、放熱性能優先の相変化で冷やす」

また、JX金属(株)から車載、サーバー向け冷却に関しての協業開始のニュースリリースが出されました。
●株式会社ロータス・サーマル・ソリューションとの協業について ―放熱部材向け多孔質金属材料「ロータス金属」の実用化を目指して―[2020年8月]


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