研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
製品化/起業
リアクト&ワインドに適した高強度Nb3Sn ラザフォード平角ケーブルの開発
キーワード :  超伝導ケーブル、高強度Nb3Sn線材、ラザフォードケーブル、事前曲げ歪み効果、リアクト&ワインド法
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)  ハイリスク挑戦タイプ
研究開発課題名 リアクト&ワインド法コイル作製用高強度CuNb/Nb3Snラザフォード平角ケーブルの開発(開発期間:平成23年11月〜平成25年10月)
プロジェクトリーダー所属機関 古河電気工業株式会社 研究者 渡辺 和雄(東北大学)

Cu 中に数百万本のNb フィラメントを埋め込んだ複合金属体を強化材とするCuNb 強化型Nb3Sn 線材および、それを用いた高強度超伝導ラザフォード平角ケーブルを開発した。通常のNb3Sn 線材およびそのケーブルは熱処理後に曲げなどの加工を行うと特性が劣化するが、開発したNb3Sn 素線と超伝導ラザフォード平角ケーブルは、熱処理後に曲げ加工を行うことができ、制御された曲げ歪みを繰り返し印加することで、逆に特性が向上する特徴(事前曲げ歪み効果)を有している。これらの特性からCuNb 強化型Nb3Sn 線材およびその超伝導ラザフォード平角ケーブルは、リアクト&ワインド法によって製作される超伝導マグネットの製造に適する。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

本プロジェクトで開発されたCuNb強化型Nb3Sn線材およびラザフォード平角ケーブルは量産性に優れ、東北大学が設置する無冷媒25T超伝導マグネットに適用された。現在、25Tを超える33T超伝導マグネットへ適用すべく、強度と臨界電流特性の向上に努めている。さらに50Tハイブリッドマグネットなどのコンパクトな強磁場超伝導マグネットへ適用すべく、開発を進めている。また、良好な電気−機械特性を生かしてエナメル被覆を施したNb3Sn線の量産に成功した。これによって幅広い応用が期待できる。

開発者の声

本開発の延長として、NbTi線の絶縁としてポピュラーなエナメルを被覆したNb3Sn線の開発に成功した。Nb3Sn線はこれまでワインド&リアクト法に頼ってきたため、絶縁材料はガラスなどの高耐熱材料しか使用できず、マグネット巻線後の寸法精度の悪化、空間電流密度の低下などの問題があったが、固体絶縁であるエナメルを使用することでそれらの問題を解決できる。エナメル絶縁とリアクト&ワインド法をセットで使用することで、より使いやすいNb3Sn線になると信じる。
この成果は、古河電気工業株式会社からプレスリリースとして発表されています。


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