研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
ものづくり
製品化/起業
ピコ秒&ナノメートル分解能でキャリアダイナミクス観察可能な顕微鏡を開発
キーワード :  走査プローブ顕微鏡、走査マルチプローブ顕微鏡、光ポンプ・プローブ法、キャリアダイナミクス
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) NexTEP-Bタイプ
研究開発課題名 時間・スピン分解走査マルチプローブ顕微鏡(開発期間:令和元年12月~令和4年12月)
製品化企業名 株式会社ユニソク 研究者 重川 秀実(筑波大学)

近年の最先端材料研究では、量子構造を光励起したときのキャリアダイナミクスを可視化できる計測技術が求められる。
高い時間分解能と空間分解能を併せ持つ時間分解走査プローブ顕微鏡(SPM)は最適な手法であり、GaAs等の半導体材料においてその性能が実証されてきた。しかし、従来装置では光学システムが複雑なため、専門家しか扱えず、計測技術の普及が制限されていた。本開発では、外部からの電気信号で制御可能なピコ秒レーザーを採用して光学システムを大幅に小型化し、対物レンズを試料近傍に設置することで長時間安定な光照射を実現し、高分解能測定を可能にした。さらに、円偏光によるスピンダイナミクス観察を行い、探針数を増やしたマルチプローブ顕微鏡では、絶縁体基板上の原子層試料におけるキャリアダイナミクス観察に成功した。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

本課題では、光学システムの小型化、簡易化により時間分解SPM装置の操作性を大幅に改善した。さらに、高い時間分解能(約70ピコ秒)と空間分解能(約1nm)を有する高性能装置を実現した。原子層科学、太陽電池、光触媒材料等の幅広い研究分野に応用可能であり、今後の最先端材料開発、SPM技術の発展に大きく貢献できる。

開発者の声

本開発を通して、時間分解SPMは強力な計測手法であることを実感した。しかし、この手法を使用している研究グループは世界的にもまだ少ない。
本課題により、この計測手法の新規導入への障壁を大幅に低減した。製品化後も開発を継続し、成果を積極的に発信していくことで、計測手法の有効性実証、応用分野拡大に努める。


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