
○平成26年度第1回 【実用化挑戦】
※研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)の全体評価委員会委員は、こちらをご覧ください。※研究者の所属や企業名等はいずれも採択課題公表時のものです。
実用化挑戦タイプ(創薬開発) 採択課題2件
課題名 | 新技術の 代表研究者 |
開発実施企業 | 新技術の内容 | ||
尿中バイオマーカーを用いたPOCデバイスによる心腎連関・多臓器不全の早期診断装置 |
東京大学 医学部付属病院 准教授 野入 英世 |
シミックホールディング株式会社 |
本新技術は、急性期医療の効率化を図るための尿中バイオマーカーを用いた心腎連関・多臓器不全の早期診断装置に関するものである。 緊急搬送された重症患者において、特に心腎連関・多臓器不全の患者の予後は、早期診断と、早期治療に依存している。 既に腎疾患バイオマーカーの国際ガイドラインに採用されている診断マーカー(L-FABP)を用い、腎機能低下の早期診断マーカーとして用いることの可能性を見出した。 本新技術により、心腎連関・多臓器不全や敗血症に対する新規診断項目の確立とオンライン化が進み、飛躍的に治療介入効果が改善されることが期待される。 |
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細胞シートを積層した創薬試験用立体組織モデル |
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 教授 清水 達也 |
日本光電工業株式会社 |
本新技術は、開発された薬の安全性をin vivo試験に近い状態で評価することが可能となる創薬試験用立体組織モデルを開発するものである。 現在、創薬開発においては、臨床試験へ入る前に、培養細胞を用いたin vitro試験及び実験動物を用いたin vivo試験が行われている。しかし、培養細胞を用いた評価では生体内と環境が異なり、実験動物を用いた評価ではヒトとの種の違いが存在する上に、動物愛護の観点から禁止される方向にあり、よりヒト生体に近い環境でのin vitro評価系が求められている。本技術では、細胞シートを積層させ立体組織モデルにすることにより、より生体環境に近い代謝を示すin vitro評価系を構築するものである。 本新技術により、開発薬の臨床試験におけるリスクを低減すると共に、将来的には実験動物によるin vivo試験を代替する手段として創薬開発に大きく貢献することが期待される。 |
実用化挑戦タイプ(中小・ベンチャー開発) 採択課題1件
課題名 | 新技術の 代表研究者 |
開発実施企業 | 新技術の内容 | ||
LCAT遺伝子導入ヒト増殖型脂肪細胞を用いた遺伝子治療 |
千葉大学 名誉教授 齋藤 康 |
セルジェンテック 株式会社 |
本新技術は、患者の自己脂肪組織を取り出し、治療目的の遺伝子を導入した増殖能を持つ脂肪細胞を体内へ戻すことにより、自己で作り出せない酵素(たんぱく質)の補充を可能とする遺伝子治療法に関するものである。 本課題では、腎不全など完治の難しい病気を併発する家族性レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)欠損症を対象とした遺伝子治療の臨床研究を行い、その治療効果、安全性、脂肪細胞培養技術を確認する。その後、臨床試験へと進め、加工脂肪細胞医薬品として実用化を目指す。 本新技術により作製された加工脂肪細胞の医薬品は、脂肪細胞の寿命を活かし、欠損酵素の長期間持続補給が可能なことから、酵素・たんぱく質の欠損・不足により根本的な治療法のない遺伝性疾患患者に向けた新規な治療手段となることが期待される。 |
○平成26年度第1回 【実用化挑戦】ステージゲート評価
実用化挑戦タイプ(創薬開発) 継続課題1件
課題名 | 新技術の 代表研究者 |
開発実施企業 | 新技術の内容 | ||
抗トランスフェリン受容体抗体を用いた成人T細胞白血病治療薬 |
宮崎大学 医学部 教授 森下和広 |
株式会社 ペルセウスプロテオミクス |
本新技術は、成人T細胞白血病の細胞膜上に発現するトランスフェリン受容体を認識するヒト抗体を治療薬として開発するものである。 成人T細胞白血病を含む、既存薬の効果が得られない難治性の白血病においては、鉄を細胞内へ取り込む機能を持つトランスフェリン受容体が細胞膜表面上に多数発現すること、および、新規に創製した抗体を用いてその機能を阻害すると白血病細胞が死滅することを動物実験で見いだした。 本新技術により、新規の作用機序を持つ抗体医薬品の創製が可能になることから、これまでの治療薬で効果が得られなかった白血病患者に対する新しい治療薬を提供することが期待される。 |