採択課題
採択課題

○2025年度 実装支援(返済型)

実装支援(返済型) 採択課題1件(2026年1月8日発表)

※A-STEP 実装支援評価委員会委員は、プレスリリース資料「参考」をご覧ください。
※研究者の所属や企業名等はいずれも公表時のものです。
開発課題名 技術シーズを創出した大学等の研究者 開発実施企業 概要
荷役作業効率を高めるコンテナ自動蔵置ロジックの実装システムの開発 九州工業大学
大学院情報工学研究院
准教授
片峯 恵一
株式会社シスコム 日本の貿易を支えるコンテナターミナルは、国際的な物流の拠点として、荷役(にやく)事業者や税関などが関与し、膨大な数のコンテナが行き交う港湾施設です。
近年、EPA/FTAなどの国際貿易振興に伴うコンテナ取扱量の増加により、コンテナの一時保管場所不足、コンテナ1個あたりの作業時間の増加などの問題に加え、港湾労働者の不足という問題も深刻化しています。
株式会社シスコム(以下、「シスコム」といいます。)は、九州工業大学で開発した「コンテナ自動蔵置(ぞうち)技術」を活用し、コンテナターミナルの荷役作業全体を効率化しています。
コンテナ自動蔵置技術は、探索最適化フレームワークであるA*アルゴリズム(エー・スター・アルゴリズム)を応用して、海上輸送する船舶と陸上輸送するトレーラーの間の一時保管場所であるコンテナターミナル内で、船舶やトレーラーから蔵置場所へのコンテナの移動、蔵置場所から指定されたトレーラーや船舶へのコンテナ積載までの荷役作業全体を最適化できるように計画を立てるものです。具体的には、コンテナの積み上げ数の上限や1日で取り扱う総数、荷役作業を担う重機の機能・性能などの制約条件の下、コンテナの積み上げにより生じる荷繰り(にくり)、重機同士が衝突しない移動経路・作業の開始終了時刻や積み卸し作業などの複数の要因を調整して、全作業時間が最短になるように計算します。
シスコムは、コンテナ自動蔵置技術を使って、コンテナ年間取扱量100万個以上の大規模のコンテナターミナル全体を運用・管理するシステム(以下、「本システム」といいます。)の構築を目指しています。
本システムでは、これまで人手で行っていたコンテナターミナル内のコンテナの蔵置場所の特定を自動化しています。準天頂衛星システム(QZSS)やETCの通信装置を搭載した荷役重機を利用して、その識別情報や位置情報からコンテナの蔵置場所を推定します。コンテナ自動蔵置技術が計算する最適化された計画に基づいて、逐次重機に蔵置場所への経路・時刻を指示することが可能となるため、人手による指示と比較して、作業時間を削減できます。
本事業の支援により、中規模から大規模のターミナルでスケーラブルに本システムが利用可能であることの実地検証を行い、作業時間の削減効果などシステムの有効性を実証します。
本システムの実地への導入によって、日本のコンテナターミナルにおいて、コンテナ船運航の定時順守率を向上させ、運送コスト低下、コンテナ取扱量、寄港率の上昇につながることが期待できます。将来的には、コンテナターミナルの無人化実現も可能であり、人手不足の問題解消にも寄与することが期待できます。
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実装支援(返済型) 採択課題1件(2025年10月1日発表)

※A-STEP 実装支援評価委員会委員は、プレスリリース資料「参考」をご覧ください。
※研究者の所属や企業名等はいずれも公表時のものです。
開発課題名 技術シーズを創出した大学等の研究者 開発実施企業 概要
代理親魚技法による希少魚の養殖技術開発 東京海洋大学
学術研究院
教授
吉崎 悟朗
株式会社さかなドリーム 近年、世界的な人口増加や健康志向の高まりにより、水産物の需要は急速に増加している。しかし、世界全体の天然魚の漁獲量はおよそ30年前から頭打ちとなっており、水産物の高い需要に応えるため、養殖魚の生産量は6倍以上に増加している。
一方、日本国内の養殖産業は、海水温の上昇により魚の突然死や大量死が増加していることに加え、生産量の9割以上をブリ、マダイ、カンパチ、ギンザケといった認知度が高く飼育が容易な魚が占め、一般化が進みその収益性が大幅に悪化している。結果として、世界的な情勢とは異なり、日本国内における養殖魚の生産量は1991年をピークに約8割まで減少している。このような背景から既存の養殖魚に代わる新たな養殖魚の開発が求められている。
株式会社さかなドリーム(以下、「さかなドリーム」という。)は東京海洋大学で開発された「代理親魚技法」を用いて、魚類の品種改良、生産、販売を行っている。代理親魚技法は、ターゲットとする魚種(ドナー)から、配偶子(ここでは魚の精子や卵)の基となる生殖幹細胞を取り出し、ドナーの近縁種の仔魚に移植することで、移植を受けた仔魚が成長して代理親となり、ドナーに由来する精子や卵が得られる技術である。
代理親魚技法では、代理親をドナーより小型、あるいは早熟な種とすることで親魚の養殖にかかる費用と期間を低減できる。また、通常の人工繁殖には親魚の生け捕りが必要となるが、生殖幹細胞は鮮魚からも採取可能であり、生け捕りが難しい希少魚であっても、1匹のドナーから代理親を介した量産が可能となる。
さかなドリームは代理親魚技法を用いることで、新規養殖魚の開発と魚類品種改良を加速させ、環境変化に強い魚や、食用として優れた形質を持つ魚の作出を実現し、養殖業の発展に貢献し、人々が今まで出会ったことのない「世界一旨い魚を創り、届ける」ことを目指している。
本事業の支援により、味わいに定評があるものの、水揚げ量が著しく少ない希少魚の養殖技術開発を行う。具体的には、代理親を用いた配偶子生産、および、種苗生産を含む養殖技術を開発し、希少魚の安定的な供給を目指す。これにより企業理念である「世界一旨い魚を創り、届ける」ことを実現する。
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実装支援(返済型) 採択課題1件(2025年8月1日発表)

※A-STEP 実装支援評価委員会委員は、プレスリリース資料「参考」をご覧ください。
※研究者の所属や企業名等はいずれも公表時のものです。
開発課題名 技術シーズを創出した大学等の研究者 開発実施企業 概要
微細藻類による高機能性原料の開発 東京大学
名誉教授
河野 重行
株式会社アルガルバイオ 近年、ストレス社会と言われるようにインターネットやスマートフォンなどによる高度情報化、個人活動のグローバル化などにより、昼夜区別なく活動する24時間型社会が定着し、人々の睡眠の時間と質の確保が課題となってきている。
2021年に発表された経済協力開発機構(OECD)の調査結果では、日本は先進国33カ国中で最も平均睡眠時間が少なく、世界的に見ても睡眠課題の多い国とされている。また、海外においても睡眠課題の深刻化が進み、日本で睡眠導入剤として使用されているメラトニンの市場規模も大きく伸長している。
このような背景の中、一般的な対処法として睡眠導入剤や健康食品の使用が浸透している。睡眠導入剤は、入眠は強く誘導するものの、寝起きに眠気が残りやすく、依存性が高いことも知られている。最近では、これら副作用の少ない睡眠導入剤が開発・上市されながらも、寝起きの気分が悪いという課題が依然としてあり、副作用のない睡眠改善のアプローチが求められている。
東京大学ではこれまで20年以上に及ぶ藻類研究の成果として、多種多様な藻類株の研究データや培養ノウハウを蓄積してきた。株式会社アルガルバイオ(以下、「アルガルバイオ」という。)は、この研究を引き継ぎ、現在では100種1260株にまでライブラリーを拡充している。アルガルバイオは、その中からマウスに経口摂取させることで脳組織中の炎症物質の低減を示す独自の微細藻類株を見いだし、睡眠改善・認知機能維持に対する新たなソリューションとして研究開発を進めている。
本事業の支援により、アルガルバイオは機能性表示食品としての届出を行うために必要な安全性に関するデータの取得と有効性に関するエビデンスの構築、さらには作用機序の解明と海外展開に向けた法規制の調査を行う。これにより未充足な健康ニーズに応える新たな価値を提供し、高い機能性を持つ藻類原料・商品の早期実用化に資する取り組みを加速する。
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