
○令和4年度 実装支援(返済型)
実装支援(返済型) 採択課題1件(2023年3月31日発表)
開発課題名 | 技術シーズを創出した大学等の研究者 | 開発実施企業 | 概要 |
次世代有機EL材料小規模生産プロセスの確立 |
九州大学 工学研究院 応用化学部門教授 安達 千波矢 |
株式会社Kyulux (キューラックス) |
有機ELディスプレイでは、青色には蛍光材料、緑色・赤色にはりん光材料が主に使われている。しかし、蛍光材料では色純度は高いものの、発光効率は低く、りん光材料では発光効率は高いものの、色純度が低く、レアメタルを使うために高価となる。このように、現行の材料では発光効率や色純度、コストの面でいまだ課題が多く、より有望な有機EL材料の実用化が望まれている。 九州大学の安達教授らは、高効率、高い色純度、低コストを可能とする革新的な材料Thermally Activated Delayed Fluorescence(TADF)材料およびそれを用いた発光メカニズムHyperfluorescence(HF)を理論から構築し、研究を進めてきた。 株式会社Kyuluxは、九州大学のこれらの研究成果を活用して、新たな発光メカニズムを使った次世代有機EL材料(HF)の事業化を目指している。このHFは次世代の有機ELディスプレイを実現する画期的な技術として、国内外のディスプレイメーカーから注目されている。しかし、昨今のディスプレイサイズの拡大により、試作ラインでも1キログラム弱の多量のサンプルを求められるのに対して、同社の生産量が追いついていないことが課題となっている。 本開発では、ディスプレイメーカーの試作ラインでの1ロットで要求される一般的なサンプル量のHFを自社で製造し、提供できるようにするため、量産向けプロセス開発を行うとともに、品質保証体制を確立することを目指す。 本開発を通じてHFの供給体制が確立されることで、日本発の革新的な発光技術が採用された次世代有機ELディスプレイの実現につながることが期待される。 |