○令和2年度 企業主体(マッチングファンド型)
企業主体(マッチングファンド型) 採択課題2件 (2021年2月1日発表)
課題名 | 新技術の 代表研究者 |
開発実施企業 | 新技術の内容 | ||
ジェットエンジン用TiAlタービンブレードの低コスト量産技術 |
物質・材料研究機構 構造材料研究拠点 設計・創造分野 超耐熱材料グループ NIMS特別研究員 鉄井 利光 |
AeroEdge 株式会社 |
本開発は、航空機ジェットエンジン用タービンブレードの量産に関するものである。
航空業界ではより安価で、かつ機能性の高いエンジンが求められており、常に新たな素材およびその加工方法の開発が行われている。特に素材に関しては、燃費向上と同時に過酷な環境下でも耐え得るような軽量で高強度、かつ低コストの材料が求められている。 現在、ジェットエンジン低圧タービン後段用のブレード素材として、軽量・高強度を併せ持つTiAl合金が用いられ始めている。しかし、鋳造性が悪く、鋳塊からの機械加工による総削り出しで生産されているため、製造コストの削減が困難という問題があった。 本開発では、物質・材料研究機構(NIMS)が開発した鋳造性に優れたTiAl新合金を用いることで、TiAl合金タービンブレードの低コスト量産技術の確立を目指す。 製造コストを大幅に低減することで、航空機用エンジン用タービンブレードとしての採用拡大および自動車・エネルギーなどの他分野における素材への用途拡大が期待される。 |
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垂直ブリッジマン法による6インチ酸化ガリウム |
信州大学 学術研究院(工学系) 准教授 太子 敏則 |
株式会社 ノベルクリスタルテクノロジー |
本開発は、酸化ガリウム(Ga2O3)6インチ基板の量産に関するものである。
Ga2O3は、SiCやGaNと比較してバンドギャップが広く、絶縁破壊電界が高いため、小型・高効率なハイパワーデバイスを実現できるとして注目されている。その量産化には基板の大口径化が強く求められているが、従来の結晶成長法(Edge-defined, Film-fed Growth法)では、成長させる結晶よりも相当大きなるつぼが必要で、大口径化は高コストとなる課題があった。 本開発では、信州大学 干川 圭吾 名誉教授と代表研究者らの成果である垂直ブリッジマン法(VB法)を用いて、6インチのGa2O3単結晶基板を作製するための量産技術を確立する。VB法は、るつぼの中で融液を凝固・結晶化させることで、るつぼの内径での結晶成長が可能であり、コストを抑えた大口径化が可能と期待される。 6インチのGa2O3基板供給により、半導体デバイスメーカーによるGa2O3パワーデバイスの事業化を加速させ、省エネルギー技術の普及促進へ大きく貢献することが期待される。 |