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事後評価 : 【FS】探索タイプ 平成26年7月公開 - 情報通信技術 評価結果一覧

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課題名称 研究責任者 コーディネーター 研究開発の概要 事後評価所見
回折イメージングのための超高速計算ハードウエアの開発 室蘭工業大学
塩谷浩之
室蘭工業大学
鴨田 秀一
回折イメージングとは、X線・電子線の回折パターンから実像を復元する新しい顕微法として注目されている。そのアルゴリズム計算を行う専用ハードウエアに関わる要素技術を確立し、特許出願を行うことなどを目標としている。回路では画像値を扱う上で制約が生じる。この制約条件の範囲について、シミュレーションを通じて得られる位相回復像の精度との関連について結果が得られた。良質なイメージング結果を得るには、試料のある実空間の事前情報が必要となるが、ナノスケール以下の世界では位置情報を事前に得ることは難しい。そこで、クラスタリング手法によって動的に求めながらイメージング計算を行う方法も合わせ開発した。ハード化に必要となる演算方式を総合して、今後は、GPUなどでの実験シミュレーションも併用して、回折イメージングのための効率の良い計算ハードウエア開発を目指す。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に回折イメージングのアルゴリズムの構築に関しては、論文掲載や学会発表を行うなど、一定の成果を上げており、整数桁でも1.5倍程度の良質な位相回復解を得ることに成功している。一方、技術移転の観点からは、長期的観点からの中間目標としてのマイル・ストーンも検討されていることなどから専用機の開発に移れる段階にあると考えられる。今後は、産学連携で行われるか、本成果を民間へ提供するかによる共同研究にステップを移されることが期待される。
高機能な会議通話システムの負荷分散手法と技術移転を考慮した機能評価 岩手県立大学
橋本浩二
岩手県立大学
大橋裕司
研究責任者が開発を続けている映像・音声通信システム(MidField System)を用いた高機能な会議通話における中継処理とミキサー処理に対する負荷分散機能の拡充を行うことにより、インターネットを利用した会議通話における処理の負荷分散を実現した。まず、会議通話サービスを利用者へ提供する会議サーバの台数を、サービスの規模に応じて増やすことで、スケーラビリティを確保する仕組みを開発した。次に、会議通話において比較的負荷の高いミキサー処理の負荷分散機能を開発した。そして実機を用いた機能評価を通し、開発した機能の有効性を確認した。引き続き、会議通話サービスの規模に応じたシステムの構成を可能とする本研究成果物の技術移転を目指す。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でもポータル会議サーバの導入やメッセージプロトコルの設計等に基づく、会議サーバ及びミキサー処理の負荷分散処理方式を考案し、機能的に確認したことは評価できる。一方、数値データによってシステムの性能が示されているが、特許申請を行うに足るアルゴリズム開発、アイデアの具現化が必要と思われる。今後は、同様なシステム開発に取り組んでいる企業と連携を通じて、ビジネス上の利用形態や他の関連技術との比較検討等を考慮した研究開発されることが望まれる。
室温で動作するハンディな高感度薄膜磁界センサの開発 東北学院大学
薮上信
東北学院大学
佐藤忠行
伝送線路構造の薄膜磁界センサ素子を集積化し、市販の位相計測用ICと同一ユニット上に一体化し以下の成果を得た。
(1)磁性薄膜および伝送線路を一体化したセンサ素子(1mm×1mm)を開発し、100 degree/Oe以上の感度、-40dB以内の減衰を得た。
(2)上記とAD8302を用いてハンディなセンサを開発。計測器は市販のADコンバータによるPXIシステムで構成した。システムのノイズレベルは約100 pTであった。
(3)磁気シールドルーム外において市販の磁性微粒子を計測し、1 mg/l程度の磁性微粒子濃度であれば計測できた。
(4)導体製造ラインにおいて混入されるステンレス微小球(直径0.2 mm)からの漏れ磁界を計測し、直径0.2 mmの微小球から発生する漏れ磁界(約25 nT程度)が明瞭に計測できた。
概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特にノイズレベル100pT以下の磁界検出分解能を得ることについては達成されたと考えられ、応用として0.2mm径の微小球のもれ磁界検出可能な技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、モジュール化、小型化の追求や、生体磁気測定においては、分解能の向上、S/N比の向上などでの実用化が望まれる。今後は、現在の検出感度で可能な計測ができる安価でコンパクトなセンサをまず実用化し、将来はより高い分解能が必要な生体磁気検出に向かうことが期待される。
ワイヤレスハーネス通信システム 東北大学
加藤修三
本研究は、ハーネスの代わりに金属メッキされた可撓性のあるホース(電波ホース)を伝送路として用いる自動車用ワイヤレスハーネス通信システムにおいて、自動車搭載を容易に実現できる「外径6.5mmの電波ホース」がワイヤレスハーネス通信システムに適用可能であることを伝送損失、受信感度、遅延スプレッド、ホース切断/圧搾による伝送特性の劣化等の評価により明らかにし所期の目標を達成した。また、マルチGb/sの伝送が容易に可能であること、及び小径電波ホースによる"マルチチャネル"伝送評価の結果、主信号に影響を与えず、簡易な送受信アンテナでマルチチャネル伝送が容易に可能であることを実証し目標を達成した。さらに、送受信モジュールを含む電波ホース重量(/4 m)は514 gと推定され、目標の約1/2を実現した。なお、車が発生する雑音の伝送特性への影響は既に別プロジェクトで問題が無いことを検証済みである。
今後の課題としては, 複雑な車内配線に対応するためにホースの分岐部を開発することがある。
概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に軽量化(径7mm、1Kg/4m、総量4Kg)、高信頼性、多入力・多出力、高速伝送1Gbpsを達成している。実用における半断線への対応、見通しなどを含め検討されている技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは信号分岐点へのコネクタ開発が残されているが、本質的問題ではないと考えられ、早期実用化が望まれる。今後は、コネクタ、アンテナの実用性検証を合わせて実際の自動車環境内でのシステムの性能評価などを行い、製品化の可能性を検討されることが期待される。
慣性・力覚センサシステムによる運動力学解析装置の開発 秋田大学
廣瀬圭
秋田大学
伊藤慎一
本課題申請の目的は、身体運動計測において重要な情報である関節角度や関節トルクをに推定する、運動解析システムの開発である。本システムは、慣性センサを用いており、身体運動計測に主として用いられている映像情報による方法よりも簡易に運動計測を行うことができ、計測システムも低価格である。また、本システムを用いると慣性センサ・地磁気センサで問題となる、動的加速度や磁場外乱による誤差を回避することができるため、使用環境を選ばない計測が可能となる。本課題申請は、リハビリテーション技術の高度化、スポーツの分析技術向上等に利用可能な技術としての市場が見込める。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でも身体運動解析システムにおいて慣性センサ搭載による3 次元姿勢情報、関節トルクを推定する技術については評価できる。一方、引き続き当初予定のとおり実証実験による本技術の有効性の確認や、またリアルタイムに情報を解析・提示するためのシステムの開発に向けた技術的検討やデータの積み上げなどが必要と思われる。今後は、本研究成果がリハビリテーション技術の高度化やスポーツの分析技術向上にどのように役立つのかを具体的に示されることが望まれる。
ボルト締結状態評価のための非線形超音波検出トルクレンチの開発 秋田大学
福田誠
秋田大学
伊藤慎一
本研究課題では、非線形超音波を用いたボルト締結評価法を応用し、従来からのリミットレンチを用いたトルク管理法と融合させ、締結状態管理の精度を高めるための新しい非線形超音波検出トルクレンチの開発を目的としている。非線形超音波の解析が行える有限要素解析ソフトComWAVEを利用して、超音波の波長と2次高調波の発生量との検討を行った。その結果、固体接触部が波長と同程度の長さを有するときに、発生量が多くなることが分かった。さらに、周波数を変えて有限振幅超音波をボルト締結体に送波する実験を行った。その結果、ボルト-ナットのねじ山接触部の長さが、波長と同程度の長さとなる周波数を用いたときに、最も2次高調波の検出量が大きくなった。ボルトのサイズに応じた周波数の選択が必要である可能性が示された。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でも、非線形超音波を応用したボルト締結評価法には新規性があり評価できる。一方、トルクレンチによる検出システムの具体的な構成まで展開をする必要があると思われる。今後は、具体的な応用システムを念頭に置いた開発が期待される。
色覚バリアフリーを目指した画像表示の感性的色変換ソフトの開発と実現 宇都宮大学
石川智治
宇都宮大学
荘司弘樹
本研究では、多様な色覚者(一般色覚者及び色弱者)の感性に適応できる"色覚バリアフリー"を指向した画像表示用色変換ソフトの開発と実現を目的とする。そのために、(1)各個人の感性に適応した色度補正方法や補正度を導出できる代表画像(ベンチマーク画像)の決定、(2)色覚だけではなく、感性判断による被験者のグループ化、(3)上記(1)、(2)を可能にする画像表示用感性的色変換システムの実現を目標とした。その結果、色覚型及び感性判断型適合のベンチマーク画像を明らかにし、画像表示用感性的色変換システムを実現した。今後は、携帯や他のタブレットにおいて手軽に使用できる感性的色変換ソフトの開発を検討する。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に色覚型及び感性判断型適合のベンチマーク画像を明らかにし、画像表示用感性的色変換システムに関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、携帯や他のタブレットにおいて使用可能な感性的色変換ソフトなどでの実用化が望まれる。今後は、ソフトウエアの展開に加えて、ハード(メガネ、コンタクトレンズタイプのデバイス等)を開発されることが期待される。
電動型マルチロータヘリコプタの瞬時バッテリ交換システムの開発 千葉大学
野波健蔵
千葉大学
竹内延夫
研究責任者が開発中の電動型マルチヘリコプタは災害時の情報収集、警備レスキュー活動、環境の科学的観測、送電線等の高所構造物点検等多くの応用があり、今後広く普及することが期待されている。研究責任者らは開発したマルチロータヘリを乗用車に搭載して、東日本大震災の巨大津波で被災した三陸沿岸一帯の被害状況を空撮調査した。しかし、電動型マルチヘリの弱点は飛行時間が短いことである。そこで、本研究ではバッテリ交換機のヘリポートに高精度自動着陸を行った後に瞬時にバッテリ交換を行い、再び自動離陸してミッションを継続するという研究を実施した。この方法により通常は15分程度の限定された飛行が、バッテリ交換後に再度離陸してミッションを継続できる。一方、使用済みのバッテリはバッテリマガジン装着後に即充電モードとなり、90分後にフル充電される。バッテリマガジンには合計8本のバッテリが装着されているため、このシステムで理論的には無制限長時間飛行が実現することができた。これは世界初の画期的なシステムである。 期待以上の成果が得られ、技術移転につながる可能性が大いに高まった。特に小型ヘリとバッテリ自動交換機による1時間~2時間連続運転を可能にした技術に関しての成果が顕著である。一方、技術移転の観点からは、原子炉のみならず災害現場における小型ヘリとしての実用化が期待される。今後は、福島第一原発事故の原子炉建屋内外でバッテリ自動交換機の有効性が実証されることが期待される。
脳型情報認識デバイス「SLID」のASIC化によるハードウェア実装に関する研究 電気通信大学
範公可
株式会社キャンパスクリエイト
須藤慎
SLIDによる情報検出システムは、FPGAのCyclone IVで実装した。検出結果は3クロックサイクルで出力される。動作周波数が50MHzの場合、検出時間は60nsのである。その後、1一次元(1D)情報検出ハードウェアシステム及び2一次元(2D)情報検出ハードウェアシステムをそれぞれ0.18μmデジタルCMOS技術によって、ASICとして実装した。システムは、並列構造で作動し、更に、CPU及び任意の複雑なアルゴリズムを用いることなく、高速に並列にマルチマッチ結果を出力可能となった。並列構成のCAMブロック及び単純な論理演算回路によって実装された情報検出システムのハードウェアは、検出条件に対するマルチマッチ結果を出力し、高速かつ効率的な検索エンジンシステムに応用することが期待できる。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でも規模は限られているが100ナノ秒以上の高速情報検出(パターンマッチング)を実現している点については評価できる。一方、技術移転を目指した産学共同等を進めるためには、手法とそれを用いたシステムの有効性や、目標達成の範囲が狭い領域に限られているので、膨大な情報に対する高速検索の可能性やシステムの汎用化、大規模化の可能性などに向けた技術的検討が必要と思われる。今後は、これまでCAMを使ったメモリーベースのアーキテクチャに関しては多くの研究が行われてきているので、これらの研究結果も参考にしながら実用化へとつなげられることが望まれる。
体感温度測定手法の開発とコンテンツによる低減効果に関する研究 東海大学
伴野明
東海大学
加藤博光
現在電力不足が問題となり、夏場の空調温度を28℃に設定する節電対策が求められている。しかしこの温度は、湿度にもよるが快適とは言えない。そこで、所定温度の室内において形容詞群からなる感性評価語を用いて体感温度を推定する計算方法を提案すると共に、感性マルチメディアが体感温度に及ぼす影響を検討した。その結果、夏場及び冬場において、癒し系コンテンツ、又は、興奮系コンテンツを提示すると、利用者がコンテンツによって作り出される空間に臨場感を感じる場合には、体感温度を少なくとも1~2度程度変化させることができることを明らかにした。また、臨場感を高めるために有効と考えられる感性マルチメディアディスプレイ(KMMD)を用いて、体感温度を快適に設定するシステムを提案した。以上、予定通り達成できた。今後は、快適空間を生成するためのコンテンツの開発、同コンテンツを提示できるKMMDの開発を進める。 期待以上の成果が得られ、技術移転につながる可能性が大いに高まった。特に臨場感を高めるために有効と考えられる感性マルチメディアディスプレイ(KMMD)を用いて、夏場28℃環境での体感温度制御実験、冬場20℃環境での体感温度制御実験などを元にした快適空間の生成システムに関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、所定温度の室内において形容詞群からなる感性評価語を用いて体感温度を推定する計算方法を検証するなどでの実用化が望まれる。今後は、実験で得られた現象について、脳認知などの知見でさらに理論的に検討されることが期待される。
分散Structured-from-Motion法を用いた自由視点画像合成Webサービスの実用化 独立行政法人産業技術総合研究所
山崎俊太郎
本研究では、大規模な分散メモリ計算環境を利用して自由視点画像合成Webサービスの実用化を目指して、未校正の画像集合から計測対象の3次元構造を復元するStructure From Motion法を並列化するソフトウェア、および復元された3次元モデル用いてWebブラウザ上で自由視点画像合成を行うシステムを開発した。GPGPUを用いた画像特徴量抽出、特徴量の相関計算、確率伝搬法を用いた並列Bundle Adjustment法による高速化を行い、従来システムと比較して100倍以上の高速化を実現した。画像撮影から画像合成までの一連の処理を自動化したプロトタイプシステムをPCクラスタ上で稼働し、iPhone5で撮影した1000画像を用いた3次元復元とSafariブラウザ上で自由視点画像合成を実現した。 期待以上の成果が得られ、技術移転につながる可能性が大いに高まった。特に校正されていない画像群から計測する3次元構造を復元するためのWebシステムを実現し、画像データ群から自由視点画像合成するWebサービス化が可能としている技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、画像からの復元ソフトウェアに規模の問題に対する方法論、及び、実サービス化に向けた取り組みなどの技術的方向付けに加え、個人による写真撮影の実状を考慮した技術開発に至れば重要な社会還元に至ることが見込まれる。今後は、関連する企業などと検討を進め、実用化あるいはサービス化に至るまでの具体的な計画を策定し、その計画下で技術開発を進められることが期待される。
小型テラヘルツ偏波イメージング装置の開発 慶應義塾大学
渡邉紳一
本研究提案では、先日申請者らが実現した飛躍的に速い偏波情報を用いたテラヘルツ波イメージング装置について、あらゆる産業応用に適用し易いよう、その小型化に道筋をつける研究開発を行った。まずは高繰り返しチタンサファイアフェムト秒レーザーを用いたテラヘルツ波の偏波計測に成功し、従来技術である大型再生増幅器を用いた計測に比べて遜色のない計測速度・精度を実現することができた。引き続き偏波計測原理の理論的検証を行うことでテラヘルツ波の電場強度が小さくても正確に偏波計測ができることを示し、さらに結晶中の残留ひずみの効果についても知見を得た。最終的にテラヘルツ波発生および検出光源に小型レーザーを用い、可搬できる高精度なテラヘルツ波偏波計測技術を確立し、数値目標であったシグナルノイズ比(S/N)が10以上の計測装置を実現することができた。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に、テラヘルツ偏波計測器が持ち運び可能となる技術を確立したことに関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、さらなる小型化、S/N比の向上、計測時間の短縮等が望まれる。今後は、実測定と既存品との比較により、有効な応用範囲を示し、実用化に近づくことを期待する。
シーケンス制御システムの構築支援ツール向け基盤モジュールの開発 神奈川県産業技術センター
水矢亨
神奈川県産業技術センター
安田誠
シーケンス制御プログラムのXML化されたソースコードをエンジニアリングツール等で利用するためのライブラリ等を開発するにあたり、XML化されたソースコードの記述内容を扱うためのデータ構造について検討した。ただし、特定のXML表現への依存を避けるため、そのデータ構造を表現しやすい中間フォーマット(別のXML表現)を介在させることとした。また、国際規格IEC61131-3のプログラミングモデルの階層性、あるいはXML表現の階層性に着目し、必要な情報の位置を特定するための記述としてのパス表現を提案した。これらの結果をもとに、シーケンス制御プログラムのXML化されたソースコードを利用するためのライブラリ及びビュワーをJavaにより開発した。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特にシーケンス制御プログラムのXML 化されたソースコードをエンジニアリングツールで利用するに関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、ライブラリに加え、その処理対象となるXML化されたソースコードの内容を確認するためのビュワーも併せて提供するという実用性の高い点や今後の研究開発計画については、業界団体もしくは標準化推進団体と連携して研究開発を実施するなどの方針が明確であり早期実用化が望まれる。今後は、オープン化の仕組みに関してアンケート調査を行うなどして、早急に仕組みの確定に取り組まれることが期待される。
ペトリネットによるシーケンス制御システムの構造解析パッケージの開発 神奈川県産業技術センター
奥田誠
神奈川県産業技術センター
安田誠
シーケンス制御システムの制御構造に対するペトリネットによる構造解析パッケージの開発に際して、国際標準のPNML (Petri Net Markup Language)を入力として、解析した結果を表すデータ構造について検討した。制御構造を把握するために必要な情報である「経路の順序」、「並列構造の始点と終点」などを特定する手法を考案し、これらの情報を含んだXML文書を出力データとすることとした。これらの内容と既に開発していた構造導出アルゴリズムにより、構造解析パッケージソフトウェアを開発した。これにより、シーケンス制御システムの設計段階をペトリネットで記述することで、その制御構造を把握することができ、設計内容と制御仕様との比較検証が可能となる。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に予定目標が達成され、実際のシステムの構造解析にも適用可能とする技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、開発したシステムのオープンソース化を図り、関連企業や関連業界との研究開発を行い積極的な成果の展開を図る方針が明確であり、産業界向けのセミナーや学会等を通したシステムの普及などでの実用化が望まれる。今後は、多くの業界への早期のオープン・ソース化と周知の徹底やパッケージ利用の際の利便性を向上されることが期待される。
ソフトウェアのケイパビリティプロファイリング技術による生産管理システムのクラウド上での実現手法の検討 神奈川工科大学
松田三知子
国際規格ISO16100が提供する生産ソフトウェアユニットのケイパビリティプロファイリング技術を用いて、異なるベンダーが提供する既存のソフトウェアユニットのプロファイルから、要求に合わせて適切なソフトウェアユニットを選択する照合機構:マッチャーを実装した。さらに、選択したソフトウェアユニットを組み合わせて生産管理システムを構成し、クラウド上で相互運用する実証実験を行った。これにより、柔軟かつ迅速な製造システムの立上げ・立下げを可能とする生産アプリケーションソフトウェアの開発運用環境の構築法を提示した。今後は、本研究結果からの新規開発国際規格ISO16300への提案などにより、広く一般に利用可能な形での本技術の普及・推進を目指す。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でも一般のクラウドサービスを利用して、異なるベンダーが提供する生産工程管理ソフトウェアとスケジューリングソフトウェアをケイパビリティプロファイリング技術で相互運用して動作する生産管理アプリケーションを実装している点については評価できる。一方、研究成果を、規格提案としてまとめ、主に開発中のISO16300シリーズへ提案することに向けた技術的検討やデータの積み上げなどが 引き続き継続して必要と思われる。今後は、生産管理に関わるソフトウエアベンダおよびユーザからなる新しい生産管理の仕組みの普及を図るNPO法人などとの連携を さらに拡大して進められることが望まれる。
複数基地局の同一周波数共用を目的とした干渉回避・除去を実現するハードウエア構成技術の開発 新潟大学
西森健太郎
新潟大学
佐々木教真
本研究では、複数アンテナが近距離で配置される場合に、新規システムのみのアンテナ配置を工夫することでこの干渉の影響を低減できる構成と信号処理方法を提案した。具体的には、隣接アレーアンテナ間に減結合回路と空間減結合回路を接続した隣接基地局間の干渉除去方法を提案し、目標であるA4サイズ以下のアンテナサイズで干渉量を40dB程度確保できることを明らかにした。また、無線LAN信号を送信しながら、通信パケットの衝突による干渉を検知可能な手法し、提案手法により無線通信の効率を60%から90%に向上できる見込みを確認した。今後これらの技術に関して、携帯電話システムや無線LANシステムへの適用を目指した実装について検討を進める予定である。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に複数アンテナが近距離で配置される場合に、新規システムのみのアンテナ配置を工夫することでこの干渉の影響を低減できる構成と信号処理に関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、今後の課題として、MAC層までを含んだ無線LAN装置の評価を行なうとあるが、MAC層技術は通信制御に関するものであり、よりソフトウェア的な通信制御に対しても具体的に検討を進めることなどでの実用化が望まれる。今後は、上位レイヤーであるMAC層に詳しい通信制御の専門家や企業と研究をすすめられることが期待される。
測距センサーを利用した有害鳥獣の自動検出・威嚇システムの開発 長岡技術科学大学
山本寛
長岡技術科学大学
品田正人
近年、日本国内における淡水魚の養殖産業は、カワウやカワサギといった鳥による捕食被害に悩まされており、その被害額は年間100 億円(2008 年時点)にも上っている。そこで本研究開発では、超音波測距センサーから取得した距離データの変化を基に、養殖場に飛来する有害鳥獣をリアルタイムに検出するセンシングデバイス、および、超音波測距センサーが有害鳥獣の接近を検知した時に自動的に威嚇できるように、センシングデバイスと威嚇装置(氷銃)との間の制御回路・制御アルゴリズムを設計・実装した。今後は、淡水魚の養殖場だけでなく、農業を含む様々な第一次産業における有害鳥獣対策にも適用できるように、様々なセンサーや威嚇装置を収容できるにシステムの拡張を行う予定である。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に検出から威嚇までをリアルタイムに制御できる、鳥を対象とした高速な検出手法・威嚇制御手法についてはセンサーノード経由での高速制御が可能となる制御回路を備えた新しい氷銃、および遠隔で氷銃の挙動を制御できるサーバ上の威嚇制御方式を提案している関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、第一次産業全般に適用可能と思われ、例えば有害鳥獣対策システムとして実用化が望まれる。今後は、システムとしての実証実験を行い、その結果に基づいて各デバイスを制御方式を改善し、実用性を高めていくことが期待される。
画像の効率的な符号化を目指す次世代画像解析ソフトウェアに関する実装化技術の開発 富山大学
廣林茂樹
富山大学
永井嘉隆
申請者が発明した極限的な周波数分解能を有する信号解析技術NHAを使って、画像符号化技術に組み込むためのソフトウェア技術を開発した。これまでの周波数分析法に比べ10万~100億倍以上の精度の向上があり、高速で従来法では可視化できない僅かな変化もとらえることができることがわかった。主として開発した組み込み技術は、画像信号を解析するための要素技術に過ぎないが、この解析時間はコーディングの全体時間中でも、8割以上と大きな時間を占めるため、実装化技術の実現に大きく前進した。また、本成果は多次元信号への応用も図れるため、画像符号化以外の医用機器精度向上にも利用でき、今後はMRIに代表される断層撮影技術への応用も検討する。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でも2次元信号における画像解析への実装化を図るため、効率よく計算できる可能性があるGPUへの組み込み技術を確立するという目的は概ね達成されており、GPU用にカスタマイズした計算ソフトウェアを実装し、通常のCPUと比較して10倍程度の速度向上が達成されている点については評価できる。一方、スマートフォンなどによる画像や動画の再生に伴う通信量を大幅に軽減するだけでなく、テレビなどの次世代のコンテンツの重要なコア技術になることが期待される。技術移転を目指した産学共同等の研究開発ステップにつながる可能性は高まったと判断され、画像コンテンツの配信サービスにおける通信コスト改善に寄与し、社会還元に導かれることが期待される。今後は、具体的な適用例、及び企業との連携を進め、実用化が推進されることが望まれる。
強誘電性自発分極を利用した多値記録抵抗変化メモリの開発 金沢大学
森本章治
金沢大学
澤村奏絵
情報の保持に一切の電力を必要としない各種の不揮発性メモリの中でも、メモリセルの抵抗値の増減を利用した抵抗変化メモリ(ReRAM)は、今後の高集積化・高速動作化に有力な存在と考えられる。本申請課題は、非鉛強誘電体BiFeO3 (BFO)薄膜でメモリセル構成し、強誘電性自発分極による反電界を利用した、全く新しいタイプの多値記録ReRAM セルを開発する。掲げた二つの課題に対して、1)ReRAM の多値記録動作に適した強誘電体/電極構造を確立し、ほぼ目標を達成した。また2)多値記録動作に対する独自のモデルを構築し、強誘電性分極による反電界と抵抗ON/OFF比の定量的な相関関係を調べ、モデルの妥当性を確認した。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でも非鉛強誘電体のBiFeO3薄膜を用いたメモリセルを試作し、そのメモリ特性、メモリ保持特性を評価した結果、良好なメモリ保持特性が得られたことは評価できる。一方、他の同様な不揮発メモリデバイスとの比較と、誘電体記録の優位性に向けた技術的検討やデータの積み上げが必要と思われる。今後は、メモリの保持時間の改善は、材料組成の最適化や膜厚の最適化などの多くのデータの蓄積が必要であるので、企業との共同研究により進めることが望ましいと思われる。
ハイブリッド並列処理による時系列シミュレーションの高速化 福井大学
森眞一郎
福井大学
宮川才治
本研究では、係数行列が時間と共に微小変化を繰り返す時系列シミュレーションにおける実時間線形方程式求解の高速化手法を開発した。具体的には、連続的な係数行列変化が発生した場合においても行列データそのものの再配置を不要とするアルゴリズムを開発することで通信量の大幅削減を行い、さらに計算と通信のオーバラップを可能にする並列計算手法を開発することで、連続するタイムステップ間で係数行列の微小変化が繰り返される状況においても実時間性を保証するハイブリッド並列処理手法を開発した。その結果約4000次元の疎線形方程式の求解問題に対して、非ゼロ要素の1%程度が連続して変化する状況で、 当初目標の100msよりも倍以上高速な約45msでの求解を達成した。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に約4000次元の非ゼロ要素1%の疎行列を持つ線型方程式の求解問題に関して、通信量の削減と、計算と通信のオーバラップを可能とするアルゴリズムの開発により目標の100msに対し2倍以上の高速化を達成する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、次世代の大規模計算環境における実時間性を保証する技術開発をすすめることによる実用化が望まれる。今後は、特定分野における数値計算パッケージとして商品化するなど実用化に向けて、開発企業や潜在的ユーザのと共同開発を推進されるよう期待される。
次世代携帯電話に向けた高速・低損失SAW基板構造の開発 山梨大学
垣尾省司
圧電結晶LiNbO3基板上に、基板よりも縦波速度の速いアモルファスAlN薄膜を装荷することにより、高音速な縦波型リーキーSAWのバルク波放射に起因する損失が格段に低減することを、理論的、実験的に明らかにした。装荷膜厚を波長の1/5程度とすると、伝搬損失は未装荷試料の約1/10の0.03 dB/波長に減少すること、伝搬路長が50波長の送受電極間の挿入損失は、未装荷試料の値から約30dB減少することを明らかにし、伝搬損失の目標値を達成した。しかし、圧電性を有する単一配向AlN薄膜を成膜すると、内部応力により薄膜表面にクラックが発生したため、結合係数の目標値5%には至っていない。今後は、単一配向AlN薄膜の成膜条件を確立し、次世代携帯電話用フィルタへの応用を推し進める。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特にSAWデバイスにおいて、AlN薄膜を使うことで、高周波化と低損失化がはかれた点は評価できる。一方、技術移転の観点からは、AlN薄膜について熱膨張係数の評価等、応力発生の原因を究明することが望まれる。今後は、圧電性を有する単一配向のAlN薄膜をクラックの発生なく実現することが必要である。
分光ベースの光反射モデルと画像計測に基づいた肌診断システムの開発 長野大学
田中法博
信州大学繊維学部内AREC
宮坂秀明
分光ベースの光反射モデルに基づいた肌の表面状態の画像計測技術を簡便化することで、一般的なデジタルカメラを肌診断システムとして転用できる技術を開発した。本手法はカメラの分光的なキャリブレーションシステムと画像からの簡易的な分光反射率推定手法を開発することで、一般的なデジタルカメラで撮影した画像情報から肌の分光反射率を推定する技術に基づく。本研究では、肌の分光反射率からヘモグロビン量を相対値として求め、そこからロバストに被験者の貧血状態を診断できる手法を開発した。特にスマートフォンといった携帯情報端末のように機器の計測精度が安定しない場合でも、本手法を適用できるようにした。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に、計測系の開発に関する目標についてアルゴリズムは確立されていると判断できること、および肌診断システムについてもアルゴリズムは確立されていると判断できることは評価できる。一方、技術移転の観点からは、計測時の照明環境によっては推定精度が安定しないという課題が明らかになっており、この課題をクリアすることが望まれる。今後は、明らかになっている課題をクリアにし、現在興味を持っている化粧品メーカをはじめ、医療機関にも応用が発展していくことが期待される。
3次元モデリングと並列演算処理を用いたシームレス立体構造織物設計システムの開発 あいち産業科学技術総合センター
太田幸一
あいち産業科学技術総合センター
板津敏彦
本研究ではつなぎ目のない立体構造織物を生産するための織物立体形状構成シミュレーションソフトを開発する。従来要素技術のアルゴリズムでの誤差を生じさせないように補正処理を施した新たな3次元モデリングアルゴリズムを構築した。この補正アルゴリズムを利用し、2048×2048のサイズのジャカード織物組織図に対応する3次元モデリングソフトウェアの開発を行った。さらに、開発ソフトウェアを用いてシームレス立体織物を設計し、ジャカード織機を用いて立体織物の試作を行った。試作織物はミシンによる縫製と同等以上の強さがあり、実用上必要とされる強度性能を有することが確認できた。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に、シームレス立体構造織物設計システムの開発で、織物立体形状構成シミュレーションソフトを開発され、設計がコンピュータ上で実施されていることは評価できる。一方、技術移転の観点からは、並列演算処理による高速化については、10倍が目標のところ2.4倍にとどまり達成されていないので、迅速化に向かって検討するべき課題を明確化して、研究を進めることが望まれる。今後は、企業と共同研究することにより、企業における問題点を共同して解決する方向で、早い実用化に進むことが期待される。
音声入力による音声ドキュメントの高速・高精度なターム検索手法の開発 豊橋技術科学大学
中川聖一
講義音声や講演音声、放送コンテンツ、コールセンターの収録音、インターネット上のポッドキャストなど膨大な音声データ(音声ドキュメントと呼ぶ)が蓄積されている。このような音声データから、所望のキーワードを含む音声区間を高速に検索することが望まれている。従来の研究は、これらのキーワードをキーボード等のテキストで入力するのが一般的であった。本研究開発では、キーワードを音声で入力する手法を開発した。
高速に検索するためには、音声データを音声認識装置で一旦音節列等の文字列に変換語、文字列同士のDPマッチング法を適用するのが一般的であるが、時間処理量が大きい問題があった。本研究開発では、音声認識誤りを考慮した音節単位のトライグラムのインデックス化により、DPマッチングの性能を上回り、かつ16倍高速な検索法を開発した。
当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でも音声キーワード入力による音声区間検索の技術提案であり、音声認識誤りの存在を前提としたときにロバスト性が高く高速性、適合率の高さについては評価できる。一方、コールセンターにおける実際の電話応対でのデータによる検証が必要であり、また、蓄積される音声データベースの蓄積と保存など、具体的な運用をモデルとした研究の蓄積が必要と思われる。今後は、より信頼性の高い検索システムの構築と共に、運用の効率性を高めるヒューマンインターフェイスについての研究も進められることが望まれる。
インターネット上での触覚共有によるソーシャルネットワークゲームの開発と評価 豊橋技術科学大学
三好孝典
豊橋技術科学大学
生田始
本プロジェクトでは、遠隔地に存在する多数の人々が触覚を共有して楽しむソーシャルネットワークゲームの開発と評価を行った。具体的には、遠隔地の多数のプレイヤー同士が押し合ったり引き合ったり、物体に衝突したりする力の感覚をインターネット上で共有できる遠隔制御技術を確立し、本制御技術が従来の方法に比べ、通信遅延の影響を受けても力の感覚が劣化しないことを定量的に明らかにした。さらに、綱引きゲームやボール挟みこみゲームのコンテンツを開発し、そのゲームの実施を世界・日本各地で行った。加えて、より多くの人が楽しめるよう、廉価な小型専用触覚機構の開発を行った。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に遠隔地に存在する多数の人々が押し合ったり引き合ったり、物体に衝突したりする力の感覚をインターネット上で共有できる遠隔制御技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、ソフト面。ハード面の双方からの課題が明確化されており、ソフト面での強化充実、深化によって魅力あるコンテンツの製作が求められることなどを踏まえての実用化が望まれる。今後は、また、触覚共有ハードウェアはソーシャルネットワークゲームのみならず、医療や教育をはじめとした様々な現場に横展開可能であることなどから広い分野での応用が期待される。
2D画像からの3Dディジタルコンテンツの高精度な検索の研究 豊橋技術科学大学
青野雅樹
豊橋技術科学大学
白川正知
当該テーマに関して2種類の手法、すなわち、我々の先行特徴量に次元削減を適用した手法(提案手法A)と、陰影を重視した5種類の複合特徴量にフーリエ変換を適用して検索する手法(提案手法B)とを開発した。さらに手法Bに類似し、凹凸を重視したCAD図面検索向けの新手法(提案手法C)を現在開発中である。手法Aでは、15種類の写真画像で、平均15%程度の検索精度で、クエリあたり10分の検索を要した。手法Bでは、20%を上回る検索精度で、クエリあたり10秒以下で検索できた。手法Bで国際3D検索コンテストに参加し、世界第3位の精度を達成した。手法Cでは、国際会議で「ベストペーパー賞」を受賞し、技術水準の高さを実証することができた。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に2Dのデジタルカメラなどの画像から、3Dコンテンツを正確に検索できる技術に関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、3Dデジタルコンテンツのみならず、CAD図面や設計図面の検索にも技術移転の可能性を見出しており、広い3D画像検索技術としての実用化が望まれる。今後は、適用対象に応じて、検索精度や検索時間に対する要求条件は異なるものと考えられ、今後の展開においては、これらの要求条件を反映できる設計手法としても発展されることが期待される。
物理層秘匿性を有するカオス複数アンテナ通信方式の開発 名古屋工業大学
岡本英二
名古屋工業大学
岩間紀男
今後宅内などの短距離無線システムに適用されると考えられるマルチユーザ複数アンテナ(MIMO)伝送方式とMIMOダイバーシチ技術に対し、カオス通信技術を導入した手法を構築し、既存技術に無い電波の秘匿性確保と、伝送ビット誤り率低減、計算量増大の抑制を同時に実現する研究開発を実施した。その結果、計算機シミュレーションにより、物理層秘匿性を有し誤り率特性を既存手法より向上させる1対多通信のマルチユーザカオスMIMO伝送手法が確立された。またダイバーシチ技術の高速化を実現する多値化カオスMIMOが構築され、16QAM伝送相当の物理層秘匿高品質通信が実現された。今後はこの成果を元に実信号を伝送する実証実験へ進める予定である。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に短距離無線システムに適用されると考えられるマルチユーザ複数アンテナ(MIMO)伝送方式とMIMOダイバーシチ技術に対し、カオス通信技術を導入した手法と計算機シミュレーションにより、物理層秘匿性を有し誤り率特性を既存手法より向上させる1対多通信のマルチユーザカオスMIMO伝送手法に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、マルチユーザーカオスMIMO伝送方式の有効性が明らかとなったのでこの発展やセルラ、無線LAN、ITSにおける車車間通信、センサネットワーク等広範な無線システムに応用展開されることによる実用化が望まれる。今後は、復号遅延がどの程度改善できるかの無線伝送実験システムによる提案方式の有効性の実証や、カオスMIMOダイバーシチ伝送方式へSTBC技術を適用されることが期待される。
多層構造ロットマンレンズ給電回路を用いた小型薄型指向性走査アンテナに関する研究 名古屋工業大学
榊原久二男
名古屋工業大学
岩間紀男
折り返し二層構造で構成されたロットマンレンズ給電回路を用いて、7列のマイクロストリップコムラインアンテナを給電し、ロットマンレンズ給電回路に設けた入力端子を切り替えることによる指向性走査可能な小型薄型のミリ波平面アンテナを開発した。さらに、ロットマンレンズ給電回路のほぼ中央付近に折り返し構造を設け、2枚のプリント基板の層構造によって給電回路を構成することにより、小型薄型の給電回路の実現を試みた。その結果、非折り返し構造については±30度の指向性走査特性が得られた。さらに折り返し構造を追加するべく設計したところ、折り返し構造の短絡面のレイアウトを、反射面の位相回転量を相殺するように湾曲することで、一様な位相分布特性が得られた。広角指向性の時の位相分布の一様性を改善するのが課題である。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特にマイクロストリップアンテナ、給電回路、伝送線路変換器に関する研究内容で、シミュレーション設計から試作まで行い、その特性を検証している技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、今後の研究計画について、数値目標も含め具体的な検討がなされている。また、開発技術PRのための出展計画なども検討されていることや、応用展開された場合、ミリ波レーダや高速LANなど関連技術への普及が期待される点などでの実用化が望まれる。今後は、課題解決に要する基礎研究について、より具体的な研究計画を検討されることが期待される。
Webユーザ体感品質を向上させる無線LAN基地局の開発 名古屋工業大学
伊藤嘉浩
名古屋工業大学
岩間紀男
本研究では、クライアントやサーバを変更することなくWebサービスの体感品質(QoEWeb)を向上させる無線LAN基地局の開発を行った。まず、被験者による実験により、通信品質とQoEWebとの関係を定量化的に調査した。この結果を基に、QoEWebを高めるためのネットワーク制御方法の検討を行った。そして、無線LAN上の標準トラヒック制御技術であるWMEとオープンなネットワーク制御技術であるOpenFlowを用いて、検討した制御方式を汎用のPC上に実装し、試作品を開発した。本試作品を用いて、特定のWebサービスに対して、被験者による評価実験を行い、その有効性を確認した。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特にクライアントやサーバを変更することなくWebサービスの体感品質(QoEWeb)を向上させる無線LAN基地局に関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、無線LANのサービス品質を向上させる技術であり、社会的な効果も大きいが次の研究課題が明確にされていないので、企業などの市場要求や意見交換を取り入れるなどでの検討が望まれる。今後は、テクノフェアなどの展示を通して、積極的に企業と意見交換や、根拠となる必要データの整備、要求される仕様のレベルの確認を進めることが期待される。
信号到来時間・受信電力併用方式とデュアルパルス信号による実運用に適したカプセル内視鏡位置取得システムの開発 名古屋工業大学
安在大祐
名古屋工業大学
太田康仁
本研究はワイヤレスカプセル内視鏡システムに着目し、診断精度向上および内視鏡制御を目的として、高精度に内視鏡位置を推定する方式の開発を行った。実運用に適した方式を目指し、各個人の人体組織で決定されるパラメータの事前測定によるキャリブレーションは必要とせず、1mm以下の精度を達成可能な方式を目標とした。FDTDシミュレーションによる電磁界解析を基にした評価を行い、開発方式は目標の位置推定精度を達成できることを確認した。本開発方式により取得された高精度な位置情報を用いることで、内視鏡位置情報を付加した動画像による信頼性の高い病状診断、および、カプセル内視鏡の高度な制御等への展開が期待できる。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特にワイヤレスカプセル内視鏡システムにおいて診断精度向上および内視鏡制御用にカプセル内視鏡の位置推定精度1mm以下を達成する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、特許を出願するだけでなく、展示を数回行う等、研究代表者の企業化に向けたマインドが高いこと、本位置推定法は、必ずしもカプセル内視鏡への応用だけに限らず波及効果が期待されるなど実用化が望まれる。今後は、カプセル内視鏡を実際に使っている消化器内科の医師との協力とか、医療機器メーカなどとの共同研究を進めることが期待される。
GPUの仮想化に関する研究 名古屋大学
加藤真平
名古屋大学
吉田千穂
1つのチップに数千個の計算コアを集積したGPUを利活用するクラウドやエンタープライズ分野における不特定多数ユーザーに対して高信頼と高性能を両立させるプラットフォームの実現を目標として、GPUの仮想化に関する研究を実施した。本研究では、オープンソースの仮想マシンハイパバイザであるXenおよびGPUドライバであるGdevを使って、GPUの完全仮想化および準仮想化の設計実装および評価を行った。NVIDIA社の最新GPUを用いて行った評価実験の結果、仮想化を行わない環境に比べて、完全仮想化は10~100倍のスケールでオーバヘッドが課せされる一方で、準仮想化はほとんどオーバヘッドがかからないということが実証できた。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でもオープンソースの仮想マシンハイパバイザであるXenおよびGPUドライバであるGdevを使って、GPUの完全仮想化および準仮想化の設計実装および評価については評価できる。一方、成果物は、オープンソースとして公開されており、広く利用される状態にあること、準仮想化の場合の性能オーバヘッドは10%に抑えられなど、当初の目標を充分に達成しており、社会還元の可能性は大いに期待できるが、それに向けた技術的検討やデータの積み上げなどが必要と思われる。今後は、企業との共同研究を考える場合、企業視線での具体的課題を検討することが望まれる。
携帯電話基地局用小型キャビティ型マルチモードフィルタ 龍谷大学
石崎俊雄
龍谷大学
真部永地
携帯電話基地局では、フィルタ共用器の徹底的な小型化が非常に重要である。小型化の1つのアプローチはマルチモード共振の利用であり、本研究の目的は、TEMモードを主として使用するキャビティ型マルチモード・フィルタを開発することである。これまでの研究で3重モード化が実現できる目途が立っていたが、本研究では4重モード化を実現した。さらに試作機レベルでは、3重モードのほぼ1/4にまで小型化できた。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特にフィルター特性の解明と実用化の見通しを示したことで、小型で帯域外減衰量の大きなフィルターの実現と最適フィルタのための調整方法を確立した点は評価できる。一方、技術移転の観点からは、課題である挿入損失の低減に向けた、具体的な方法を示すことが望まれる。今後は、実用性を高めるために、後調整についても改善されることが期待される。
光通信システムを相互接続するための高速波長変換および信号遅延技術 龍谷大学
斉藤光徳
龍谷大学
真部永地
光通信システムの多様化とともに様々な波長帯の信号光が使用されるようになり、通信波長の異なるシステムを相互接続するために、波長変換が必要とされている。本課題の研究者は、光ディスク中に希土類元素発光体を埋め込んで高速で回転させる時空変換方式により、長波長の光信号を高速で短波長の光に変換するとともに、マイクロ秒オーダーで遅延させる技術を開発した。本課題ではこの技術を発展させ、双方向波長変換の実証、秒オーダーの遅延の実現、堅牢性の向上などに取り組み、通信速度の異なるシステム間の接続や時分割多重通信などへの応用を目指して研究を行った。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に光ディスク中に希土類元素発光体を埋め込んで高速で回転させる時空変換方式により、長波長の光信号を高速で短波長の光に変換するとともに、マイクロ秒オーダーで遅延させる技術光ディスク中に希土類元素発光体を埋め込んで高速で回転させる時空変換方式により、長波長の光信号を高速で短波長の光に変換するとともに、マイクロ秒オーダーで遅延させる技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、双方向波長変換の実証、秒オーダーの遅延の実現、堅牢性の向上などにより波長変換素子としての実用化が期待される。今後は、並行して更なる基礎的研究が必要と思われ、光波長変換技術の技術開発を協力企業などと共に進められることが望まれる。
災害時における情報伝達のための情報連携技術に関する研究開発 京都産業大学
河合由起子
京都産業大学
物部剛
本研究開発では災害時に公共機関等が重要な情報を必要な人へ迅速に伝達し、各ユーザの状況に合ったユーザを同時発見でき、それらと即時情報交換可能な検索・通信システムの開発を目標とし、実現した。本システムにより、災害時にいずれのページを閲覧中でも、災害地域と関連する人など必要性の高い人へ迅速に公共機関サーバから一斉に災害情報を配信できる。さらに、災害発生時にユーザの状況に応じてユーザ間のつながりの「強さ/緩さ」を分析し、異なるページを閲覧中でも関連あるユーザ同士で情報交換できる機能を開発した。これら本研究開発の成果を国際会議、国内シンポジウム(査読有)ならびにフォーラム(査読無)にて発表を行った。また、災害時でのネットワークの物理的な障害問題対策が明確となり、本技術を拡張することで耐久性の向上が期待できることが新たな知見として得られ、今後、災害時での耐久性の高い情報配信技術の研究開発に取り組み実用化を更に進める予定である。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に災害時に公共機関等が重要な情報を必要な人へ迅速に伝達し、各ユーザの状況に合ったユーザを同時発見でき、それらと即時情報交換可能な検索・通信システムの構築に関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、大手通信社と協議を開始しており、今後共同実験をすすめることや、処理時間としても70万ユーザで3分程度の計算時間で検索できているが、検索されたものの精度評価を進める点とか、ユーザ間通信機能についてはチャットやLINE等と同様であり、利便性や操作性の相対評価を加える点などでの実用化検討が望まれる。今後は、災害時だけでなく平時での利活用の推進を考えてシステムの安定性も確保されることが期待される。
感性に訴えるレシピを提案する食生活支援システムの開発 関西大学
徳丸正孝
関西大学
上田勝彦
本研究では対話型進化計算を用いた感性検索エージェントを応用し、ユーザの感性に響く魅力的なレシピを提供する食生活支援システムの開発を行った。本システムは、日本標準食品成分表に基づいてエネルギーやカルシウム、タンパク質など13種類の栄養素を算出した7,000件以上のレシピデータベースを有し、栄養バランスを考慮した複数の献立をユーザに提示することができる。また、システムが提示した献立をユーザが評価することにより、ユーザの好みをシステムが学習することができる。これにより、ユーザがシステムを長期的に使用することにより、ユーザの好みと栄養バランスを考慮した献立を推奨することが可能となった。 期待以上の成果が得られ、技術移転につながる可能性が大いに高まった。特に「調理後の献立の正確な栄養量の推定」、「実用となるデータ量を有するレシピデータベースの構築」、「一般のユーザーがシステムを簡単に使うことができるユーザーインタフェースの開発」に関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、レシピから栄養量を推計するだけでなく、食材の写真から栄養量を推計できるようなプログラムの開発や、より実生活の実態に即したレシピの提案システムの開発などでの実用化が望まれる。今後は、一定の集団を対象とした実証試験や栄養量の実測値との相関の検証などが行われることが期待される。
拡張現実用マーカに利用可能な印刷画像へのデータ埋込・抽出手法の開発 関西大学
棟安実治
関西大学
上田勝彦
拡張現実(Augmented Reality: AR)において、実空間との連携のためにマーカが必要となる。ここでは、広告などに含まれる画像を利用したマーカの開発を行った。今回、160ビットの埋め込みデータを95%以上の検出率で検出可能な手法の開発に成功した。また、Windows8上での実装をほぼ完成させ、タブレットPCでの実行を試験中である。さらに、解像度などにスケーラビリティを持たせるために、周波数領域にマーカを埋め込む方式を開発し、3種類程度の解像度に対応可能とした。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に拡張現実(Augmented Reality: AR)において、実空間との連携マーカが必要であり今回広告などに含まれる画像を利用したマーカの開発を行っている技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、検討されている課題を具体的に解決していくことにより、目標としている情報を埋め込まれた画像から携帯端末で情報を抽出することは近い将来に実現可能と考えられるが、対象とするキラーアプリが不明確であることや、他の表示関連技術との差別化、連携などについても考慮することなどでの実用化が望まれる。今後は、技術の改良や実際の携帯端末への実装をすすめられることが期待される。
マルチバンド画像による紙幣の高精度真偽識別 大阪工業大学
大松繁
大阪工業大学
上村八尋
申請者は真券の材質やインクの成分によって、照射光に対する紙幣光(紙幣表面の反射光、蛍光、放射光)の特性が異なることを利用して、マルチバンド画像を利用した紙幣の真偽識別法を提案した。まず、照射光と紙幣光との種々の波長帯に対する相互関連から、真券に固有な特徴量を自己組織化特徴地図法で抽出した。さらに、その特徴量を学習ベクトル量子化法によるニューラルネットワークに入力し、紙幣の真偽識別を超高精度に行う真偽識別法を提案し、実際の紙幣識別機に搭載して真偽識別性能の定量的評価を行った。その結果、100%の精度で真偽識別を達成できることを示した。今後は海外における紙幣の真偽識別へ展開することを考えている。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でも、マルチバンド画像の利用、自己組織化特徴地図法での特徴抽出、学習ベクトル量子化に基づくニューラルネットワークという高度な技術に基づく紙幣の真偽識別システムが開発されていることは、評価できる。一方、データが少ないので、開発した識別システムの性能評価については、大規模データでの評価と、それに基づく課題の抽出が望まれる。今後は、特殊な応用分野を対象とした研究課題であるため、データの入手が難しいため、銀行や警察あるいは紙幣の真偽判別機の生産メーカーなどとの連携による共同研究の推進が望まれる。
ブラウジングによるユーザの意図把握機能を備えた類似画像検索システムの開発 大阪市立大学
ThiThiZin
大阪市立大学
倉田昇
近年膨大な量になりつつある画像データベースでは、ユーザが求めている画像を正確に検索する必要がある。これまでの類似画像検索システムの問題点として、類似の判断はシステムにゆだねられており、ユーザの考える類似の判断とのギャップが生じる可能性があった。そこで、画像を使って類似画像を検索する際に、入力した画像とフィードバックから、ユーザの意図を反映する類似画像検索システムを提案した。その結果、再現率は平均値で95%の目標を達成し、満足度は5段階主観評価の4をほぼ達成した。ここでは形状特徴量を用いており、白黒画像にも使えるので、今後はニーズの強い商標や意匠等の類似検索への応用も検討していきたい。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に類似画像の検索において、入力した画像とフィードバックから、高精度でユーザの意図を反映する類似画像検索を実現する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、検索精度を向上するための更なる改良アルゴリズムの検討や基本アルゴリズムのシステム統合化の推進を前提としての実用化が望まれる。今後は、検索エンジンの基本ルール構築、特徴量の選択、クラスタリングの精度向上などの評価を進められることが期待される。
先駆的トラヒック制御を実現するトラヒックトレンド分析手法の実践的評価 大阪市立大学
阿多信吾
大阪市立大学
倉田昇
トラヒック需要事前予測にもとづく前衛的なキャッシュ配置などの先駆的・能動的なトラヒック制御に不可欠な、高精度な短期トラヒックトレンドの分析およびその予測手法について、リアルタイムに処理可能かつ時間的変動に耐性を有する予測アルゴリズム (RA-ARIMA) の研究開発を行った。実トラヒックによる定量評価の結果、推定精度を従来よりも 60% 以上向上させ、さらに急激な変化への追従特性も向上できたことを明らかにした。 期待以上の成果が得られ、技術移転につながる可能性が大いに高まった。特にトレンド予測計算量の削減、リアルタイムによるトレンド予測の実現については具体的手法の評価による実現性を提示し、長期実トラヒックによる適用性の検証については予測精度がある程度劣化した段階で再度パラメータ確定を行う新しい技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、アルゴリズムの精度向上ならびに速度向上が必要であるが、その両面に関して推定アルゴリズムの比較、ウェーブレットとして使用する方式の予測精度の評価、さらに予測アルゴリズムの改良という形で、研究開発ステップにつながる形での研究に取り組んだものと評価できる。今後は、キャッシュ配置問題への本研究で得られた知見の応用について取り組まれることが期待される。
自然な立体感が得られる体積走査型3次元空中映像ディスプレイ 大阪市立大学
宮崎大介
大阪市立大学
倉田昇
スクリーンや表示デバイスのない空中に3次元的に光を分布させて3次元像を形成させる体積走査型3次元ディスプレイ技術に関して、表示像における画素数やサイズの拡張、および観察角度により画像が変化する方向性画像形成技術の開発を行った。高速変調プロジェクタの採用により、表示画素数1024×768×400が達成できた。また、フレネルレンズを用いた像の拡張により、18×14×13 [cm3]の表示領域を実現できた。方向性画像に関しては、微小なシリンドリカルレンズの配列で構成されるレンチキュラシートを利用することで実現できた。カラー化については原理確認できたが、色ズレなどにより自然な色彩を持つ画像を形成するには至っていない。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に裸眼で観察でき、目に自然な3次元像を空中に形成することができる体積走査型3次元ディスプレイの基本的な原理の確認ととともに、ある程度の実用的な品質を持つ3次元像の形成に関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、3次元ディスプレイとしての基本原理の有効性は確認できているが、より大規模な像の実現手法の検討が望まれる。今後は、光学系の特性、たとえば、レンズ径、フレネルレンズの折り返しピッチ、レンティキュラ―レンズのピッチなどの支配要因を数値的に解析、評価されることが期待される。
幼児教育用結び目ゲームと新規パスワードの実証開発研究 大阪市立大学
河内明夫
大阪市立大学
倉田昇
数学の理論的成果は、抽象的な理論であるため、具体的な産業分野への応用の可能性は少ないのが一般的である。しかしながら、一旦、応用が可能な対象が見つかれば、それは抽象的な理論であるので、原理的には非常に多くの科学分野に応用可能な対象となる。この申請の研究開発目標は、
「結び目理論を工学に応用した実証例を進化発展させるために、幼児教育用結び目ゲームと
新規パスワードの実証開発研究を行うことである。」
結び目理論のアルゴリズムの実証プログラム「領域選択ゲーム」は、アンドロイドのゲームアプリケーションとして、実現しているので、就学前児童の数学力(アルゴリズム)の訓練の一環として、(算数・数学を知らない)幼児の教育用に特化した結び目の電子ゲームを開発し、さらには、初等教育のみならず、認知機能のリハビリへの応用を実証することは実現性の高い目標と考えている。また。結び目図式の領域選択アルゴリズムは、3次元の結び目の移動と関連するアルゴリズムであり、従来とは異なるパスワードアルゴリズムが可能であり、結び目図式の領域選択アルゴリズムを応用した新規の"記憶しやすいパスワード"を提案する。
当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でも、本研究の課題申請時点で確立していた、「幼児教育用結び目ゲーム」を「図形ゲーム」へ一般化し、技術移転を加速させたことは、評価できる。一方、新規パスワードの開発においては、まだ十分には行われていない。効果の実証研究は時間と手間の掛かる研究であり、明確な結果が出るまでにはまだ時間が掛かるものと思われる。時間は要するが、結果から改良点を見いだして又実証研究をするというサイクルを廻して、改善につなげることが、必要と思われる。 今後は、先ず「図形ゲーム」および「新規パスワード」について特許出願し、企業との連携実績をベースに、本研究の成果の事業化を展開することが望まれる。
拡張現実感のためのカメラ付きタブレット端末映像の透明化 大阪大学
池田聖
大阪大学
宮川勝彦
本研究では、カメラ付きのタブレット型端末によるビデオシースルー型の拡張現実感において、提示されている映像と画面外に直接見える実シーンとの間に生じる位置ずれを軽減する技術を開発した。具体的には、タブレット端末の前後2台のカメラにより実環境の三次元形状およびユーザの視点位置を計測し、実シーンが端末を透過しているかのように見える擬似透過映像を生成する。実画像表示の位置ずれ5mm未満や、実静止環境での作業効率向上(α=0.05)を確認する、という数値目標は完全に達成された。映像の提示遅延による位置ずれや、両眼視差および焦点ボケによる視認性の低下などの新しい課題の解決策について今後検討する。 期待以上の成果が得られ、技術移転につながる可能性が大いに高まった。特にビデオシースルー型の拡張現実感において、提示されている映像と画面外に直接見える実シーンとの間に生じる位置ずれを1.2mm程度に軽減する技術に関する技術については評価できる。一方、技術移転の観点からは、当初は想定されていなかった原理的には正確ではない透視変換であっても透過画像である印象を与えるという現象は応用の可能性があり、また、大量に普及しているスマートデバイスへの応用で、広く社会還元に導かれることが望まれる。今後は、残された研究課題の更なる進展と知的財産としての確保を検討されることが期待される。
光技術による安価で高安定なテラヘルツ波帯電界センシングシステム 大阪大学
久武信太郎
大阪大学
宮川勝彦
光読み出し型の電界センシングの手法において、これまで長年用いられてきた偏光変調方式は、センサや光ファイバ中での偏光変化による感度変動が原因で、実験室環境においても安定的な計測のためにはアクティブ制御等が必要であった。本研究では、最近我々が提案した偏光変調を用いない新しい原理に基づく電界センシングの手法において、(1)安定性、(2)感度、(3)安価な光部品の利用可能性について検証した。本手法の感度は外部環境の影響をほとんど受けず、ショット雑音限界に迫ることがわかった。本手法に基づき、ホーンアンテナから放射される126 GHz電磁波の電界の空間分布(振幅と位相)の可視化をデモンストレーションした。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特にテラヘルツ波(THz波)帯電磁波を対象としたデバイス評価技術(電界センシング技術)において低コスト化、安定性、電界検出感度につき定量的評価している技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、目標とする研究成果が得られ、ファイバマウント型EOセンサを設計・作製できる(光学系を設計・製作できる)企業の協力を得て装置化、製品化するなどでの実用化が望まれる。今後は、さらに300 GHzへの拡大や、実際の装置、応用対象の明確化を検討されることが期待される。
パッチアンテナ光変調器を用いた60GHz帯無線信号変換/センシングデバイス 大阪大学
村田博司
大阪大学
宮川勝彦
申請者が提案している「平面型パッチアンテナ」と「高速電気光学変調器」を融合させた「無線信号-光信号変換デバイス」をベースとして、小信号ミリ波無線通信に用いられる60GHz帯無線信号を高感度に検出して光信号に変換することができる新しい小型高性能無線信号変換デバイス/無線信号センサを設計した。試作・動作実験を行ったところ、60GHz帯信号による明瞭な光信号生成・変換を確認するとともに、従来型のデバイスに比べて、無線-光信号変換の効率を20dB程度向上させることに成功した。アンテナ素子を光導波路に沿って複数個並べてアレイ化することにより、さらなる効率向上が可能であることも実証した。 期待以上の成果が得られ、技術移転につながる可能性が大いに高まった。特に、光変調器を用いたデバイスを設計し、実証実験により、効率が従来に比べ向上した点は評価できる。一方、技術移転の観点からは、実用化に向けての課題の整理と、より遠方で信号検出ができるようになることが望まれる。今後は、デバイスの更なる小型化、効率化の実現が期待される。
全周立体視可能なフォグディスプレイの開発 大阪大学
井村誠孝
大阪大学
有馬健次
本研究の目的は、フォグ(霧)スクリーンへの映像投影により、全周囲からの立体視が可能なディスプレイシステムを構築することである。フォグが光を前方に強く散乱させることを利用して、単一のフォグスクリーンに複数のプロジェクタから映像を投影し、観察者の視点に応じた映像を提示することを可能とする。本プログラムでは、大型フォグスクリーンによる全周立体視を目標とし、フォグスクリーンによるボケの計測と逆フィルタの適用による映像の明瞭化、粒径の制御を目指した複数のフォグ発生方式の検証、多数の映像を投影する方式の検討を実施した。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に「フォグスクリーンの大型化」について、プロトタイプシステムから180cm×80cmへの拡張、両眼視差による立体感提示をするための制御装置の開発に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、安定的なフォグ発生のための装置開発、フォグ粒径の制御、粒径が大きな水滴の輸送方法の検討などの技術課題の明確化とともに実用化が望まれる。今後は、共同開発連携企業との協議を重ねてより安定した装置の開発につながるよう連携されることが期待される。
分散データベースとクラウド計算資源を用いたインタラクティブなデータ可視化システムの構築と性能評価 大阪府立大学
佐賀亮介
本研究開発では、ネットワーク可視化を元にしたインタラクティブなデータ可視化システムの構築を行った。インタラクティブ分析で必要なデータ可視化環境を構築するために、分散データベースとクラウドの計算資源を生かした環境構築と、計算資源の組合せとスケーラビリティの効率性計測を行うことを目的とし、研究開発をおこなった。今後は、この研究開発で新たに発見した課題を基礎研究として行う予定である。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でもネットワーク可視化を元にしたインタラクティブなデータ可視化システムとして、20台規模のPCによる分散コンピューティング環境を構築し、基本性能の評価を行った点については評価できる。一方、インターラクティブシステムとしての制約にどのようなものがあるのかの整理、ビッグデータ分析を視野にいれた問題点の洗い出し、他の可視化方法との比較検討、統合処理プログラムを開発する段階での一貫性維持の問題等に向けた技術的検討やデータの積み上げなどが必要と思われる。今後は、クラウドや分散ストレージに関して、事前に企業の導入事例や成功事例を調査し、具体的な応用分野を設定した上で基礎研究を進められることが望まれる。
画像や映像を撮影して気軽に情報を得られる電子透かし技術 大阪府立大学
岩田基
大阪府立大学
阿部敏郎
本研究開発課題の目標は、「携帯端末をかざすことによって、透かし入りの印刷物や映像から2秒以内に正しい透かしを抽出できること」である。研究開発の結果、埋め込み可能な透かしビット数には改善の余地があるものの、一般に普及しているAndroid端末上に開発方式をアプリとして実装し、実機上で動作させて、透かし入り印刷物に対して前述の目標を達成していることを確認できた。今後の展望としては2通りの技術改善が考えられる。1つは埋め込み可能な透かしビット数の向上、もう1つはQRコードパターンよりもデザイン的拘束の低い位置検出手法を開発することである。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に透かしが入った映像や印刷物に対して、携帯端末をかざすことによって透かしを正しくかつ適切な時間で抽出できる技術に関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、スマートフォンのアプリを実現し、表示速度2秒など実機上での動作確認を完了しており、抽出性能に関わるいくつかの技術的課題が残されているものの早期企業との連携が期待される。今後、スマートフォンを用いた場合に埋め込むことのできる情報量の改善の検討が望まれる。
計算効率とメモリ効率に優れた類似データ検索手法の実現 大阪府立大学
岩村雅一
大阪府立大学
阿部敏郎
本研究では、大量に集められたデータの中から検索質問(クエリ)と類似するものを高速に検索可能な「近似最近傍探索」と呼ばれる基盤技術において、計算効率とメモリ効率の両方に優れた手法を提案する。我々は近似最近傍探索において、同一検索精度を実現するために必要な計算時間が世界で最も高速な手法を実現し、特許出願も済ませている(現在では、国際特許も出願済み)。しかし、メモリ使用量については考慮していなかった。そこで、本研究ではこの手法で必要となるメモリ使用量の削減を試みた。実験の結果、検索精度の減少と計算時間の増加があったものの、メモリ使用量を16分の1に削減することができた。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に計算効率とメモリ効率のの観点からの近似最近傍探索において、同一検索精度を実現するために必要な計算時間の高速化手法に関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、実データを用いた実験で提案手法の性能を検証するための試行において、メモリ使用量を16分の1に削減することができていることから、応用場面で最適なパラメータを選択や、精度保証に類するパフォーマンスの定量化などを合わせて企業との連携による実用化が望まれる。今後は、検索をするデータベースの大きさやデータの統計的な性質への対応技術やメモリ使用量の削減に対するスピードと絞り込みの最適化に向けた技術開発も望まれる。
空中映像を用いた医療データ可視化・操作システムの開発 神戸情報大学院大学
MarkonSandor
新型光学素子「DCRA」を用いて空中に写像される映像により、三次元に分布される医療データ(CT、MRI等)を表示しながら手で操作できるシステムを開発し、空中映像技術の実用化を図っている。開発した操作方式は、空中映像の面に沿って赤外線照明を照らし、そこに突入した指先が赤外線で照らされ、赤外線カメラの映像で位置が正確に計測できる。システムは環境に影響を受けにくく、安定して動作し、空中映像と自然なインタラクションが可能となった。このシステムを医療従事者と共同で商品化に向けて完成していく予定である。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に新型光学素子を用いて空中に写像される映像により、三次元に分布される医療データ(CT、MRI等)を表示しながら手で操作できるシステムに関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、空中操作のみならず、半透明のパネル上に投影されたCGとのインタラクションであれば、「クリック」などの指操作も実現可能な技術と見え、企業との連携による機能的拡充によると合わせて実用化が望まれる。今後は、競合システムも多く、複数人・複数視点への対応の検討などによる機能展開されることも期待される。
高信頼プロセッサDARAのマイクロコントローラ構成の研究開発 名古屋大学
嶋田創
高信頼割り込み構成を実現するため、カーネル・モジュールの形での実装、および、割り込み遅延の変化やモジュール・サイズの評価を行った。また、高信頼割り込み構成の実装は2種類を試み、それぞれのハードエラー耐性や前述の評価を行った。なお、当初は割り込みコントローラのハードウェア自体を改良する案を推進する予定であったが、遅延増加等の問題を許容すればカーネル・モジュールの形での実装も有効と考えたため、まずは、汎用性の高いこちらを優先して開発した。 これらの検討結果や実装結果はIEEE Symposium on Low-Power and High-Speed Chipsにおけるポスター発表、および、電子情報通信学会コンピュータシステム研究会における口頭発表として公開した。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でも数百ステップ規模ではあるが、OSのカーネル・モジュール・レベルでの実装による評価を行い、高信頼割り込みインタフェース構成を検討した点については評価できる。一方、割り込みレイテンシ増大のため当初想定しているマイクロコントローラでのリアルタイム処理への適用は厳しい結果であることへの対応や、割り込みタイマのみ高速化した環境で今回のカーネルモジュールを適用すればどうなるかなどに向けた技術的検討やデータの積み上げなどが必要と思われる。今後は、High resolution timer等で割り込みレイテンシを改善する等を更に検討した後に、カーネルモジュールでの実現法と今後計画しているハード実現とを詳細に比較検討されることが望まれる。
ウェブ発話を対象とした子ども話者識別法における聴覚特性の導入 和歌山大学
西村竜一
関西ティー・エル・オー株式会社
山本裕子
音声を入力とする大人・子ども識別手法を応用システムに展開する為の開発を行った。「圧縮型ガンマチャープ聴覚フィルタによる寸法・形状知覚理論」により抽出した特徴量に変調スペクトル成分を付与し、識別器に深層学習のニューラルネットワークを導入した。実環境を再現した実験において5.7%の精度向上を確認した。加えて、Bag-of-Wordsの言語情報を素性とする識別器を検討した。提案法の応用にはプログラムの高速化が必要である。アルゴリズム・実装方法の見直しによって5倍の高速化を実現した。HTML5を用いて音声ウェブシステムを再構成し、タブレットPCやスマートホン等の各種環境で安定動作するデモシステムを実装した。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に音声を入力とする大人・子ども識別において、識別法の高精度化・高速化を実現するとともに、音声ウェブシステムとして実装している点に関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、正解率80%に向けた取組みが開始されており、また、処理能力も5倍以上の向上を得ており企業との連携による実用化が望まれる。今後は、基礎研究を継続することにあわせて、産学協同の場でのPRなどを積極的に行うことで、早期の実用化、新たな課題の抽出、などが期待されることが期待される。
検索エンジンと機械翻訳を用いた多言語用語間における文化差検出サービス 和歌山大学
吉野孝
関西ティー・エル・オー株式会社
山本裕子
多言語間コミュニケーションにおいて、同一の単語を用いて会話をしている場合でも、相手の文化について十分に理解していないために、誤解が生じる可能性がある。現在、文化差の有無の判断は、人が行う必要があるが、その判断には相手の文化に関する十分な知識が必要となるため、容易ではない。そのため、文化差が存在することを自動的に検出する仕組みが求められている。そこで本研究開発では、多言語知識のデータベースであるWikipedia を利用した文化差の検出手法を提案し、その検出方法を組み込んだ文化差検出サービスを構築した。検討用データセットを作成し、性能を評価した結果、文化差ありの判定精度はF値0.889、文化差のないことの判定精度はF値0.738となり、比較的良い結果を得た。さらに、ランダムで抽出したデータセットを分析した結果、文化差ありの判定精度はF値0.765、文化差なしの判定精度はF値0.573となった。文化差なしの判定精度は下がったが、文化差ありの判定精度が重要であり、その精度は比較的高く、実用上は問題ない。これらの成果を取り入れたWebサービスを構築し公開した。今回の文化差の判定は、「文化差あり」「文化差なし」の2段階に分けているが、さらに、多様な文化差について定義を行い、検討を行っている。さらに、Webサービス上での表現方法について、機械翻訳の利用について検討し、機械翻訳の表現で問題の少ないことも示した。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に文化差の検出手法に関して、手法の開発、WEBサービスの実装・評価・公開がなされ、原著論文、受賞を含め一定の学術的成果が得られている技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、提案手法に基づく実装・評価の結果、精度の向上、比較方法の改善、処理の高速化など、技術的課題を明確にしており企業との共同開発による実用化が望まれる。今後は、本研究成果を社会還元するにあたり、文化差を検出する手法だけでなく、文化差をわかりやすく提示するための手法についても検討されることが期待される。
漸進的作問活動を支援するソフトウェアの設計・開発 広島大学
平嶋宗
広島大学
榧木高男
申請者らはこれまでに算数の文章題を対象とした「問題を作ることによる学習(作問学習)」を支援するソフトウェアの設計・開発・実践までを小学校教諭と協力しながら行ってきており、学術的にも実践的にも成果を上げてきた。この中で、個々問題を作るだけでなく、作った問題間の関係を意識することが重要であるとの知見を得ていた。本申請研究はこの知見に基づいて、算数の文章題を二つの存在文、一つの関係文で表わすモデルを用いて、その三文を一文もしくは二文変えることで、異なる数量関係を成立させる問題に変えていくことで、元の問題および新たに作った問題の性質がどのように変化するのかを吟味することができるような作問活動(漸進的作問活動)を考案し、その活動の実施を可能とするソフトウェアシステムの設計・開発した。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に異なる数量関係を成立させる問題に変えていくことで、元の問題および新たに作った問題の性質がどのように変化するのかを吟味することができるような作問活動(漸進的作問活動)を考案し、その活動の実施を可能とするソフトウェアシステムを設計・開発している技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、小学校での教育方法をシステム化して実践するということを実現していることや、大学生及び教員に対しての実験あるいは評価を実施しており、実用化のステップに進むための技術的課題はいくつかあげられていることなどでの実用化が望まれる。今後は、小学生に理解させるためのレベルでの表現と、その奥にある数学的なレベルを分けて数学的なレベルでの構造をはっきりさせた上で小学生のレベルに還元することが必要であろうと思われる。
高速・低消費電力駆動可能な高性能ディジタルフィルタの設計法 広島大学
福光昌由(中本昌由)
広島大学
榧木高男
IIRフィルタは、FIRフィルタに比べて乗算器や遅延器が少ないという特長があり、ハードウェア上で実現する場合、高速・低消費電力駆動が可能である。しかしながら、設計アルゴリズムは、多くの場合、周波数標本化、複素近似、繰り返し最適化などを必要とし、複雑なアルゴリズムの実装やパラメータ設定に高度なスキルが要求される。本課題では、線形位相、帯域の重み、ロバスト安定性など有用な機能を持ち、さらに上述したような複雑な設計アルゴリズムを必要としない効果的な設計法の開発を目指した。具体的には、帯域通過フィルタおよび全帯域微分器について、周波数標本化や繰り返し最適化を必要としない設計法を確立した。提案手法は、簡略化されたにもかかわらず、線形位相や帯域の重み指定など多機能であり、得られるフィルタの性能は、他の最新の設計法と比較しても遜色ないことを示した。以上の結果により、当初の目標はおおむね達成できたと考えている。今後の課題として、さらなる実用性向上を目指し、フィルタを有限語長で実現する方法について検討していきたい。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特に線形位相、帯域の重み、ロバスト安定性など有用な機能を持ち、さらに周波数標本化、複素近似、繰り返し最適化など設計アルゴリズムを必要としない効果的な設計法の開発に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、構築された設計アルゴリズムと具体的設計法についての特許化や設計ツール化を企業と連携されるなど実用化が望まれる。今後は、実用化向上を図るためにフィルターを有限語長で実現する方法を検討するほか、研究開発の課題は明確になっているので引き続き検討を進められることが期待される。
通信販売業界における貸倒顧客の特徴抽出システムの開発 山口大学
高橋雅和
山口大学
田口岳志
現在、小売業界低迷の中でも通信販売業は成長を続けている。日本国民の特性として、商品が届いてから支払いをする後払い決済が成長の糧となっている。その中で、リスク管理に関わるシステムや管理体制の不備を突く悪質な不正購入や詐欺まがいの申込が横行している。本研究では、これを阻止する為の新たな不正購入検知モデルを研究することを目的として、通信販売企業の取引データの分析や出荷までのワーククローの体系化を試みた。その結果、属性データの住所表記方法が不正取引において重要な指標であることがわかった。今後は、住所表記方法の分析をさらに進化させ、日本語表記の特性を理解することに注力する。本研究が更に発展し、新たな不正購入検知モデルを構築できれば、将来大きな新規ビジネスにつながる。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でもリスク管理に関わるシステムや管理体制の不備を突く悪質な不正購入を阻止する為の新たな不正購入検知については評価できる。一方、「タブーリストを更新しながら局所解に停滞することを防ぐタブーサーチと問題解決に向けたルールの進化を行う学習分類子システムを組み合わせて取引ルールの生成を行う」技術開発や取引ルールの自動生成に関する技術的検討やデータの積み上げなどが必要と思われる。今後は、通常取引と不正取引の傾向判別の統計データが整合的に処理されて居らず、統計処理を整合性のある形にしないことにはデータの有効活用ができない点について再検討されることが望まれる。
患者の意思伝達を支援する口の動きを利用したインターフェイスの開発 九州工業大学
齊藤剛史
九州工業大学
荻原康幸
本研究開発課題では、患者の意思伝達を支援する口の動きを利用したインターフェイスの開発に取り組むことを目的とする。発話時の口の形は母音に依存し、映像情報のみから子音を認識することは難しい。そこで本課題では、母音認識にとどめ、発話内容の母音並びを推定する。一方、母音並びコーパスを構築する。認識された母音並びよりコーパス内から候補テキストを複数表示し、ユーザがテキストを選択することにより音声を出力する新規のインターフェイスを実現する。文章発話シーンに対して母音認識を試みた結果、平均認識率は約70%であった。母音認識精度が低く、精度向上が難しいため研究開発実施期間内にインターフェイスの開発に至らなかった。今後は母音認識精度の向上を目指し、インターフェイスの開発に取り組む。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でも認識精度が十分でなかったのは残念であるが、短期間にコーパスをベースにした言語モデル構築とデータ収集、母音認識の評価実験システム開発まで進められたことについては評価できる。一方、今後の研究で実用化に向けた精度向上のための研究を進める基盤が整いつつあり、また、現場との意見交換を行いながら研究を進めているので、認識精度さえ上がれば実用化が期待できるため単語を制限したり、話題の分野を制限するなど、特定場面でも認識精度が向上するための技術的検討やデータの積み上げなどが必要と思われる。今後は、実用化に至るために、早期にプロトタイプシステムを開発し、広報活動を展開されることが望まれる。
携帯端末用アプリのためのキャラクタ動作合成ライブラリの開発 九州工業大学
尾下真樹
九州工業大学
荻原康幸
本研究開発課題では、申請者がこれまでに開発した動作データの自動合成技術を、携帯端末用(iPadやiPhoneなどのiOS環境を主に想定)アプリ開発に利用できるようにするためのライブラリを開発した。本動作合成技術は、多くのアプリにおいて重要となる、人体キャラクタの連続的な動作を実現するために利用できる。本技術は特に、多くの種類の動作データを使う必要のあるアプリの開発や、予算や時間の限られたプロジェクトにおいて、大いに有効となる。今回の研究開発では、動作合成技術をリアルタイム用途で利用可能にするための拡張や、動作合成技術・基本ライブラリの携帯端末用開発環境への移植、サンプル・デモアプリ制作などを行った。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でもリアルタイムアニメーションに利用できるよう動作合成技術の改良、動作合成技術・基本ライブラリの携帯端末用環境への移植および、デモアプリとしてのダンスアニメーション生成プログラムの開発については評価できる。一方、使えるキャラクタ動作合成ソフトとして早く世に送りだすためには、動作合成技術以外に多くの機能を作りこむ必要からもそれらを提供・開発してくれるゲーム会社等の共同研究先を探すことが必要と思われる。今後は、社会やゲーム開発会社などへ、作成したライブラリをアピールし、実応用へ向けた活動を進められることが望まれる。
電子部品の低温真空封止技術の開発 九州大学
浅野種正
財団法人福岡県産業・科学技術振興財団
厨元博
微小電気機械システム(MEMS)等の電子部品の製造に必要とされる真空パッケージにはこれまで、300℃以上の温度で封止する技術が用いられてきた。この加熱封止は、構成部材の制限による機能の縮小や異種材料間の熱歪みによる生産性、信頼性の低下を招くなどの問題があった。本研究では、研究責任者らが半導体LSIの実装用に考案した先鋭形状の突起電極を作製する技術を応用し、荷重を加えることで容易に変形する金属製の気密シール材を作製する技術を開発した。この新型シール材と超音波接合技術を併用することで、常温で接合でき、大気リーク量が6.4x10-13Pa・m3/s以下と実用的な高い気密性能をもつ封止技術を開発した。この成果を基に、電子機器への応用に向けた技術開発を民間企業と共同で実施する計画を策定している。 期待以上の成果が得られ、技術移転につながる可能性が大いに高まった。特に本研究で当初の目標150℃より低温(室温)で真空封止を可能にし、室温真空封止技術を開発したことにより、室温真空封止は用途の拡張に繋がった点が高く評価できる。一方、技術移転の観点からは、共同研究によるコスト、作製速度、信頼性の検討が必要と思われる。実用されれば、地域社会の活性化も含め、社会に大きなインパクトを与える技術であり、今後は、周辺関連特許など、早急に企業と共同でこまめに出願し、商品化されることが期待される。
ガロア表現の計算と暗号 九州大学
田口雄一郎
九州大学
前田真
大域体や局所体の l進ガロア表現の合同を研究し、特に局所体のガロア表現の場合にはこれと同値な情報を持つ (φ,Γ)-加群の言葉で Weil pairing を記述し、理想的には新しい暗号系の開発に応用する事が目標である。現在の所、代数体の二つの幾何学的な l進ガロア表現が mod lで合同であるとき、それらが或る素点で局所的に同型であるための十分条件を与える事が出来た。「理想」(即ち新しい暗号系の開発)には程遠いが、ひとまずは十分有意義な結果であり、実際 Rasmussen-玉川予想や保型形式のフーリエ係数の合同問題に応用がある。この結果を纏めた論文は現在専門誌に投稿中である。 当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でも当初の目標の「楕円曲線暗号におけるWeil pairing の一般化として局所体のガロア表現の言葉で一般化」については、(φ、Γ)加群のデータを計算機に乗せる段階で、ガロア表の合同条件という数学的課題の解決が必要になり、未達成ながらも一定の成果(論文投稿中)を得ている点については評価できる。一方、新しい取り組みとして代数曲面暗号の「数論類似」について研究、(φ、Γ)加群のデータを計算機に載せることや、定量的評価に向けた技術的検討やデータの積み上げなどが必要と思われる。今後は、学会発表等を利用して、産業界の研究者とのコミュニケーション強化をされることが望まれる。
基板内蔵電源モジュール用高インダクタンスコイルの開発 福岡大学
友景肇
財団法人福岡県産業・科学技術振興財団
厨元博
プリント基板内部に電子部品を内蔵して3次元接続する部品内蔵基板技術が、3次元実装技術の一つの形態として注目されている。本研究は、部品内蔵基板製造工程でフェライト片を埋め込み、基板製造工程で銅の配線をコイル状に形成することによって、高いインダクタンスを有するコイルを製造する技術の開発を行った。これまで、プリント基板製造工程でコイルを形成する技術は数多く提案されているが、電源モジュールに適用できるインダクタンスを基板製造工程で形成できるものはなかった。電源モジュールへの適用を目指した、高インダクタンスのコイル開発を行った。 期待以上の成果が得られ、技術移転につながる可能性が大いに高まった。特に本研究は大学のポテンシャルを活用した新しい製品技術の産学共同開発に展開し、基板内蔵電源モジュール用の高インダクタンスコイルの作製ができた点が高く評価できる。一方、技術移転の観点からは、コストの目標の達成、生産/組み立てにおける課題の解決が必要とされる。今後は、企業との共同研究によるモジュールの作製、目標達成、商品化されることが期待される。
モバイル端末機およびマシンビジョン技術を用いた実環境寸法計測技術の開発 熊本大学
上瀧剛
熊本大学
東英男
モバイル端末によって撮影した画像とCGを高精度かつ実寸サイズで重畳表示するAR技術の開発を行った。さらに、これまで困難だったAR技術の位置精度計測手法を確立した。具体的には、高精度な姿勢推定を行うために特徴点ベースによる大まかな位置合わせと、エッジマッチングによる詳細な位置合わせの2段階マッチング法を考案した。これによって従来のマーカー認識手法では、姿勢推定が不安定なためCGオブジェクトが小刻みに振動するという問題を解消できた。機械式位置センサを用いた位置精度計測手法を考案し、提案手法が5mmの高い位置合わせ精度を持つことが分かった。今後は企業と連携し本技術の商品化を進めていく。 概ね期待通りの成果が得られ、技術移転につながる可能性が高まった。特にモバイル端末によって撮影した画像とCGを高精度かつ実寸サイズで重畳表示するAR技術において、実環境寸法計測の問題に関して、位置あわせ精度、処理時間などに関する技術に関しては評価できる。一方、技術移転の観点からは、姿勢推定精度(XYZ各軸において5[deg]以内の方向角の推定)や、精度検証のための実験実施に関して実験条件の詳細について実機による確認を進めることで当面の実用化が望まれる。今後は、将来的に研究成果を発展させ、用途ごとに特長を生かす形で企業化のスキームの中などで適切に応用展開することで、技術の社会還元をされることが期待される。
生産現場で使用する茶葉葉色品質評価システムの基礎構築 宮崎大学
槐島芳徳
宮崎大学
小林太一
本課題は、我々が開発した茶葉の葉色品質評価システムを可搬性に優れたスマートフォン等に応用し、生産現場で使用するアプリ開発とそのデータベース構築に関する基礎的知見を得るものである。以下にその成果を示す。
1) 葉色情報収集アプリと撮影環境を一定にする撮影機器を開発して現場で使用した結果、釜炒り茶の加工工程の違いを葉色情報で明示することができたものの使用方法やスマートフォンの電源等の問題が生じた。
2) 茶葉画像と葉色情報のデータベース構築では、NFCタグによる加工情報を付加しながら連続的に撮影・解析した後に一括して転送・保存する方式が有用であった。
3) 供試茶葉の化学分析を行い、葉色に伴って変化する色素成分を確認した。
当初期待していた成果までは得られなかったが、技術移転につながる可能性は一定程度高まった。中でも、茶園栽培現場と製茶加工工場を一気通貫で接続する葉色情報の計測・処理・診断の標準化をめざした取り組みは評価できる。一方、茶葉の品質や生育状態などの様々な情報を取得する必要があるが、茶葉の情報が画像情報に反映できているかを、計測システムの安定性、計測データの定量的・統計的評価を含めて検証する必要があると思われる。今後は、茶葉生産の産業分野において良質なものを一定の品質で生産するためのツールとして使用されれば、生産者・消費者ともに有益であり、社会還元につながると思われるので、アプリや撮影時の使用機材の改善だけでなく、データベースの有効利用や一般農家の意見も取り入れてシステム改良を進めることが望まれる。

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