ブックタイトルJST20周年記念誌JapanWay0203
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JST20周年記念誌JapanWay0203
第2部│歴史編第1章科学技術イノベーションの創出第1節│戦略的な研究開発の推進JSTの前身の新技術開発事業団(JRDC)が1981(昭和56)年に創造科学技術推進事業(ERATO)を創始して以来、JSTはわが国の戦略的な基礎研究をリードし、科学技術創造立国の推進とイノベーションの創出に寄与してきた。1991年に独創的個人研究育成事業(さきがけ)、1995年に戦略的基礎研究推進事業(CREST)の創設を経て、2002年に戦略的創造研究推進事業へと統合して以降、戦略的な基礎研究を支える競争的資金制度として、現在も発展を続けている。■新たな科学技術の潮流形成を図るERATO戦後復興から高度経済成長を成し遂げたわが国は、1960年代から70年代にかけて、主として海外からの技術導入とその改良によって技術力の向上を図り、驚異的な経済発展を続けてきた。しかし、欧米先進諸国を中心とした技術革新が停滞し始め、海外からの技術導入が次第に厳しくなると、わが国も導入技術依存型体質からの脱却を図り、自らの力で研究開発を推進し、技術革新の展開を志向する必要があった。こうした状況の下、1981(昭和56)年度に創造科学ERATO細野秀雄電子活性プロジェクトで開発した半導体IGZO-TFT技術推進事業(ERATO)がスタートした。革新技術のシーズ探索を目的とした創造的な研究推進に6億円の予算を充当することが国から認められ、科学技術会議の検討を経て新技術開発事業団(JRDC)がその推進母体となった。発足当時のERATOは、わが国独自の新技術の芽を創出することを目的に、卓越した主導的な研究者と主題を定め、その研究実施期間を設定し、また、国内外から優れた研究者を結集、雇用し、研究者の創造性が十分発揮できる基礎的研究システムを確立したものであった。JSTは、この研究をとりまとめ、指揮を執る研究リーダーとなる総括責任者を決定し、研究全体の総責任者としてプロジェクトを託した。ERATOが掲げた人中心の研究システム、既存の組織にとらわれない研究拠点の構築、専任研究員の柔軟な雇用、開放的な研究集団、弾力的な研究の運営などは、それまでの日本の伝統的な研究推進方式とは異なるもので、その後の諸制度や研究システムに大きな影響を与えた。また、ERATOの下で、飯島澄男先生によるカーボンナノチューブ発見のきっかけ、野依良治先生のノーベル化学賞受賞につながる成果、細野秀雄先生のIGZO-TFTなど、多くの優れた成果が得られた。その後、ERATOは、後述の戦略的創造研究推進事50