RISTEXは、新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症に関する社会問題の解決に向けて、研究開発や調査研究活動など総合的な取り組みを行っています。
R5年度科学技術週間(2023年4月17日(月)~4月23日(日))の学習資料「一家に1枚」のテーマはウイルスです。
ファンディングによる研究開発の推進 ※随時更新
「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム」の下に特別枠(社会的孤立枠)として、「社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築」を新規に設定し、そのプログラム総括(社会的孤立枠担当)を追手門学院大学 浦光博 教授に決定しました。
人口減少・少子高齢化、経済変動、新興感染症による影響など、さまざまな社会構造の変化を踏まえ、社会的孤立・孤独のメカニズムを検証し、予防につなげる提案を募集します。なお、令和3年度は、全ての提案について、新型コロナウイルス感染症の社会的影響を踏まえたものを募集します。
(公募締切:2021年7月20日(火)正午)
- 戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)令和2年度における新規プロジェクトの決定について
「科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践研究開発プログラム」(2020年9月1日)
新型コロナウイルス感染症など新興感染症に関連する諸問題にELSIの観点から貢献する4件のプロジェクトを採択しました。新型コロナウイルス感染症に起因するさまざまな社会的事象における、公衆衛生や行動変容、情報の利活用に関する課題の抽出、リスクリテラシーの向上に資する調査・アーカイブ研究などに取り組みます。
関連プロジェクトの概要 ※研究代表者の所属・肩書きはPJ実施時のものです。
- 「新興感染症に対する非特異的対策のための行動変容と科学コミュニケーションに関する合理化および最適化研究」
西浦 博(京都大学 大学院医学研究科 教授)【「政策のための科学」プログラム】(2022年10月~2026年3月)
実装の一環で数理モデルによる対策の合理化・最適化を実施し、科学的アドバイスの「あるべき姿」に関して定量化を実施する立場から明らかにし、科学コミュニケーションを専門とする立場から科学的助言や発信及び相互理解に関する体制づくりや行動変容を規定するリスク認知の仕組みに関して研究プロジェクト全体を通じて提言することを目指します。また、社会心理学者の立場から、同調の社会的メカニズムや習慣化の過程について検討を行い、「つらくない」ニューノーマルの作り方に関する見解を提供することを目指します。
- 「感染症対策と経済活動に関する統合的分析」
仲田 泰祐(東京大学経済学研究科 准教授)【「政策のための科学」プログラム】(2021年10月~2025年3月)
「政策分析に活用できる透明性のあるモデルを構築し、過去のデータからパラメーターを精緻に推定し、妥当性のある感染症と経済活動のシミュレーションを提示する」ことを目的として、政策立案者や広く国民に政策メニューとモデル分析から得られる新たな気づきを提供することを目指します。
- 「パンデミックのELSIアーカイブ化による感染症にレジリエントな社会構築」
児玉 聡(京都大学 大学院文学研究科 教授)【ELSIプログラム】(2021年10月~2025年3月)
COVID-19に対する各国の政策およびそのELSIについての比較分析と、過去の感染症に関する歴史的検討の2軸で調査・分析し、COVID-19対応の特徴や日本の課題を明らかにします。さらに、感染症対策のELSIとその解決策についてのアーカイブ化を通じて、政策提言をまとめます。これらの成果をアウトリーチする実践を通じて、将来の公衆衛生・感染症対策に関するELSI研究のあるべき姿や社会実装の方法論を提案します。
HP「パンデミック対策の国際比較と過去の事例研究を通じたELSIアーカイブ化」
- 「携帯電話関連技術を用いた感染症対策に関する包括的検討」
米村 滋人(東京大学 大学院法学政治学研究科 教授)【ELSIプログラム】(2020年10月~2024年3月)
COVID-19と将来の新興感染症対策に向けて、携帯電話関連技術の望ましいデータ利用とプライバシーや人権保護のあり方について、情報工学やELSIの観点から多角的・学際的に検討します。立法も含め、適切な技術活用や政策形成の提案を目標として、エビデンスに基づくガイドラインの作成や、国際的なルール形成への貢献を目指します。
インタビュー「公衆衛生とプライバシーの均衡点を探る ―科学技術の可能性と個人データの利活用」(2021年4月)
- 「現代メディア空間におけるELSI構築と専門知の介入」
田中 幹人(早稲田大学 政治経済学術院 教授)【ELSIプログラム】(2020年10月~2024年3月)
COVID-19についての膨大なメディアデータの分析をもとに、計算社会科学と科学技術社会論の手法を中心に、ELSIが構築される機序の解明に取り組みます。さらに、今後立ち現れるだろう萌芽的科学技術も対象として、メディア分析を通じてELSIに関する社会的議論の萌芽を捉え、専門知を社会の中に位置づけていくRRIの道筋を明らかにします。
インタビュー「メディア分析で読み解く専門知と社会の関係」(2021年4月)
- 「Social Distancingによる社会の脆弱性克服・社会的公正の回復と都市の再設計」
林 良嗣(中部大学 持続発展・スマートシティ国際研究センター 卓越教授)【ELSIプログラム】(2020年10月~2022年3月)
ディスタンシング対策が人や社会にもたらす影響について、居住・空間利用、経済、環境などの都市圏データや、位置情報に基づく人々の行動変容のビッグデータ、暮らしや医療へのアクセシビリティなど人のQOLに関する価値観データを統合的に分析し、諸外国との比較も行いながら、科学的エビデンスを抽出します。それらを基に、ELSIの観点にも配慮した距離の取り方をソーシャル・ディスタンシング・アクションと定義し、脆弱性や社会的公正の視点に立った都市・コミュニティの再設計の手法開発を行います。
インタビュー「社会の『距離』をデザインすることによる感染症対策」(2021年4月)
- 「感染症対策における数理モデルを活用した政策形成プロセスの実現」
西浦 博(北海道大学 大学院医学研究科 教授)【「政策のための科学」プログラム】(2014年10月~2017年9月)
感染症の発生動向の分析や公衆衛生政策の立案・決定において、数理モデルを用いて推定値・予測値を提供するとともに、客観性の高い政策選択肢を特定し、保健医療施策を形成するプロセスにおいて数理モデルを日常的に活用する体制・手段を実践的研究を通じて構築します。
プログラムの取り組み状況
ELSI/RRIに関するホットイシューに関する議論や研究開発の取り組みを紹介する「RInCAジャーナル」の第3号に、COVID-19関連課題の中間成果に関する記事を掲載しました。
(ELSIプログラム)
研究と政策と社会をつなぐメディア「POLICY DOOR」に、研究代表者・西浦 博 教授と森田 朗 前センター長との対談記事を掲載しました。
(「政策のための科学」プログラム)
「科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践研究開発プログラム(RInCA)」より、COVID-19関連課題のELSIに取り組む4つのプロジェクトの研究代表者が登壇し、将来の公衆衛生・感染症対策におけるELSI研究、メディア分析を通じた専門知介入、Social Distancing対策を踏まえた都市・コミュニティの再設計、感染症対策に関する携帯電話関連データ利用をテーマに、これまでの研究結果を報告しました。
(ELSIプログラム)
研究と政策と社会をつなぐメディア「POLICY DOOR」に、感染対策と経済活動、短期的なトレードオフと長期的なトレードオフについて研究代表者・仲田 泰祐 准教授のインタビュー記事を掲載しました。
(「政策のための科学」プログラム)
新興感染症に関する倫理的・法制度的・社会的課題 (ELSI; Ethical, Legal and Social Implications / Issues) に取り組むプロジェクトの調査結果や取り組みの状況を報告し、COVID-19の最前線の現場に接する研究者の視座から見据える「新興感染症のELSI」の論点を多角的に考え、議論する場として開催しました。
(ELSIプログラム)
リスクモデルと経済モデルという異なるモデルを統合することの必要性を改めて検討した上で、両者をいかに統合しうるのか、危機管理下の政策決定における測定可能性バイアスの問題をどのように乗り越えるか、そして、政策過程におけるデータやモデルの活用に関する今後の方向性について議論を行いました。
(「政策のための科学」プログラム)
調査研究活動
RISTEXでは、社会問題に関係するさまざまな関与者(NPO、企業、行政関係など)と研究者が協働するためのネットワークを構築し、競争的環境下で自然科学と人文・社会科学の知識を活用した「社会技術研究開発」を推進しています。
その一環として、社会問題を俯瞰しRISTEXの戦略立案に資することを目的として、2020年度には、コロナ禍における社会問題に対する市民意識変化調査、コロナ禍を踏まえた主要社会問題の抽出・整理に関する調査を実施しました。