- 多色発光LEDによる可視光通信を用いた災害時に利用可能な通信システム
和歌山大学 システム工学部 システム工学科 准教授 塚田晃司
シーズの概要
日本には災害時に孤立する集落が約2万集落も存在します。東日本大震災の際も多くの孤立集落が発生し、住民が救難メッセージを地上やビル屋上に描いた映像は何度も報道されました。災害時には、防災行政無線や携帯電話などの既存の通信インフラに加えて、それらが利用不能になった場合の代替手段として、一般住民が簡便に利用可能な通信手段が必要です。そこで、地上から上空を飛行する自衛隊などのヘリコプタに対する簡便な通信方式として、多色LEDの発光色変化を変調方式とした可視光通信技術を提案し、2009年度から研究開発に取り組んでいます。
マッチングを想定する業界
通信機器メーカー、照明機器メーカー、防災用品メーカー
用途利用分野
・災害時の孤立集落での外部との通信手段(地上から上空を飛行するヘリ等)
・一般の無線通信を利用できない状況(例えば医療現場)での通信手段
事業化および新規産業形成の可能性
可視光通信技術自体は従来からあるが、有望なキラーアプリがなく普及を阻んでいる。災害時における通信手段として活用できれば、LED懐中電灯に機能を付加した製品化などの事業化も期待できる。
従来技術に対する新規性・優位性
・従来は特殊なカメラ(100fps~)を使用していたが、一般的なビデオカメラ(30fps)で、夜間400m程度の距離で10~20bpsの通信速度(1秒間に1~2文字)を確保できる
・携帯電話などの既存通信手段が使えない時の代替手段となる