シーズの概要

医薬品の製造に重要なオキシムの合成において、ヒドロキシルアミンの鉱酸塩を用いる一般的な方法では合成反応に化学両論量の塩基を必要とするため、多量の塩が排出されることやヒドロキシルアミンが爆発の危険を持つ等の問題が知られている。そこで我々は蚕の蛹に含まれる酵素がそのオキシム基を転移させることによりヒドロキシルアミンを解毒する反応系に倣い、オキシム合成における諸問題を解決する新しい簡便かつ安全な触媒的手法を研究・開発した。更に、この方法は医農薬品にも有用なニトリル合成にも応用可能であることを確認した。

マッチングを想定する業界

化学メーカー、医薬品メーカー、試薬メーカー

用途利用分野

爆発の危険性を低減できる環境調和型オキシム合成、簡便なニトリルへの触媒的官能基変換

事業化および新規産業形成の可能性

「酵素反応の模倣」という概念の更なる展開により新反応の開発が期待され、オキシムの合成のみならず、温和な条件によるニトリルへの変換、塩基性に弱い官能基を持つ化合物への展開等、新しい応用が可能。

従来技術に対する新規性・優位性

・副生成物は液体のみのため、高純度オキシムの精製が容易。
・触媒を１０回以上リサイクルできるためコストを抑えることができる。
・温和な条件の下で合成ができる。