- 軟X線放射光研究から生み出される最先端産業応用技術
兵庫県立大学 大学院工学研究科(高度産業科学技術研究所) 材料・放射光工学専攻 助教 原田哲男
シーズの概要
極端紫外光(EUV)から軟X線領域の放射光を発生するニュースバルでは、ナノマイクロ加工、分析と新素材開発、レーザーコンプトン散乱ガンマ線応用等の放射光利用研究が進行中。
このうちの一つ、コヒーレント光を用いたレンズ不要の顕微鏡開発を紹介する。波長13.5 nmのEUVを利用し、次世代リソグラフィー用の検査技術として開発中。多層膜で覆われた、ガラス基板上の高さ1 nm、幅30 nm以下の超微細な構造を3次元形状として観察可能。顕微鏡自体は集光素子と二次元検出器と非常に単純な構成で、EUVや軟X線領域で利用し、超高分解能、元素選択、化学状態観察可能な顕微鏡が実現可能。特に材料開発に大きな貢献が可能な化学状態分布をナノメートル精度で観察する事を目指す。
マッチングを想定する業界
材料・素材・自動車業界
用途利用分野
主はEUVリソグラフィ用マスク検査装置、応用としてポリマーなど有機物の状態変化イメージングやケミカルマッピング取得
事業化および新規産業形成の可能性
工場で測定可能なEUVマスク顕微鏡として事業化を目指している。
最終目標は、ラボスケールの軟X線有機状態観察顕微鏡の実用化である。
従来技術に対する新規性・優位性
・本顕微鏡は非接触で光による三次元形状観察が可能
・空間分解能は、反射型で30 nmが得られており、透過型では10 nm以下を実現可能
・ポリマーに適した波長を用いることで、ポリマー種類の混ざり具合を観察可能