JSTオープンイノベーションフェアWEST~関西発 大学技術シーズ見本市~

JST 国立研究開発法人 科学技術振興機構

5-アミノレブリン酸を用いた光線力学技術

高知大学 医学部 医学科 教授 井上啓史

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シーズの概要

5-アミノレブリン酸(5-ALA)は、元来、動植物の生体内に含まれる天然アミノ酸である。この5-ALAは、体内投与後に細胞内に取込まれ、ミトコンドリア内でプロトポルフィリンⅨ(PpⅨ)に生合成される。癌細胞では、このPpⅨが過剰に集積する。この癌細胞に過剰集積するPpⅨは光活性を有するため、青色可視光(375-445nm)で励起すると、赤色蛍光(600-740nm)を発光する。このように5-ALAを光感受性物質として用いて癌細胞を赤色に蛍光発光させる癌診断法を光線力学診断(PDD)(ALA-PDD)という。また、同様に、癌細胞に特異的に過剰集積したPpⅨに、特定波長の光、主に赤色可視光(600-740nm)や緑色可視光(480-580nm)で低出力に励起し、癌細胞内で活性酸素を発生させ、傷害を与える治療法を光線力学治療(PDT)(ALA-PDT)という。つまり、ALA-PDDやALA-PDTはいずれも癌細胞の有する基本的な生物学的特徴に立脚することより、ほぼ全ての癌種に応用できる最新の光線力学技術である。

マッチングを想定する業界

医療工学系、光学系を専門領域とする業界とのマッチングを希望する。

用途利用分野

医療における臨床応用を希望する。

事業化および新規産業形成の可能性

すでに、5-アミノレブリン酸(5-ALA)は、脳腫瘍(悪性神経膠腫)に対する術中診断薬として、2013年 3月 薬事承認され、現在、膀胱癌に対して薬事承認申請中、さらには、胃癌腹膜播種に対して医師主導治験実施中である。今後、これら診断のみならず、治療に関する臨床応用が期待されている。

従来技術に対する新規性・優位性

世界においても、脳腫瘍(悪性神経膠腫)および膀胱癌に対する術中診断技術が確立したばかりの新規性の高い技術であり、ほぼ全ての癌種に応用できる汎用性の高い最新医療技術である。今後、診断のみならず治療に関する臨床応用が期待されている。

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