- “ポルフィリンガラス”:アモルファス固体状態で近赤外発光を示すポルフィリン金属錯体
京都工芸繊維大学 分子化学系 助教 森末光彦
シーズの概要
アモルファス固体状態を形成するポルフィリン金属錯体を開発した。この一連の“ポルフィリンガラス”は、分子構造に応じて凝集状態で750〜1100nmに発光を示した。この発光波長は、生体のイメージングに有効であると期待されている波長領域「生体の窓」と一致しており、しかもポルフィリンは生体適合性の高い材料として知られていることから、患部をイメージングしながら一重項酸素を発生できる次世代型の光線力学療法に向けた増感剤として有望である。
マッチングを想定する業界
近赤外発光を利用する医薬品分野など。
用途利用分野
「生体の窓」でのバイオイメージングや光線力学療法用の増感剤などの医薬品分野。近赤外波長領域での情報通信分野など。
事業化および新規産業形成の可能性
「生体の窓」でのバイオイメージングや光線力学療法用の増感剤など。とくに生体適合性の高い材料であることから、臨床応用に近い材料として有望と考えている。このほか近赤外波長領域での情報通信を行うための材料分野など。
従来技術に対する新規性・優位性
「生体の窓」での発光材料は、量子ドットなどの毒性の高い材料かインドシアニングリーンのように耐光性の低い色素しか知られていない。これに対して“ポルフィリンガラス”は、ヘモグロビンやクロロフィルなどと共通の骨格をもつことから生体適合性の高い材料として、有望である。