「無機ナノ粒子」の新しい製造方法を開発

(JST大学発ベンチャー創出推進の研究開発成果を事業展開)


 科学技術振興機構(理事長 北澤宏一)では、平成15年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスにつなげていくために、起業化に向けた研究開発を行う独創的シーズ展開事業大学発ベンチャー創出推進を実施してきました。
 この度、平成16年度より開始した研究開発課題「無機ナノ粒子に関する研究」(開発代表者:和田雄二 東京工業大学 教授 、起業家:加瀬一彦)のメンバーが出資して、 株式会社ナノマテリアル(代表取締役:加瀬一彦、本社:大阪府大阪市、資本金300万円)を平成19年4月16日に設立しました。
 現在、塗料やコーティング分野、電子材料分野などで、新しい機能を発現するための材料として、10億分の1メートルの非常に小さな無機ナノ粒子が使われています。また、将来的に期待されている、少ない消費電力で稼働する高性能小型ナノデバイスにも、これらのナノ粒子が必要とされています。従来のナノ粒子の製造方法では、装置が大がかりで、高温・高圧の条件を必要とするため、高い製造コストがかかっていました。
 本研究開発チームは、金や銀などの金属ナノ粒子製造方法において、それぞれ目的とする金属の塩とエチレングリコールなどの有機還元剤を含んだ溶液にマイクロ波注1を照射することにより、反応速度を10倍〜1000倍に促進した結果、短時間での大量製造を可能にしました。この技術により安価なナノ粒子を作製することに成功しました。またこの製造方法では、分散溶液を一度乾燥させ粉末状にしても、再び溶液に均一に分散させることができるので、粉末としてナノ粒子を供給できます。
 株式会社ナノマテリアルは今後、これらの研究成果を基にして、ナノ粒子およびその応用製品の製造・販売への事業展開を行い、平成21年度には年商2億円を目指します。
 今回の株式会社ナノマテリアルの設立により、プレベンチャー事業(大学発ベンチャー創出推進の前身の事業)及び大学発ベンチャー創出推進によって設立したベンチャー企業数は60社となりました。


<用語解説>

(注1)マイクロ波:
波長1mm 〜1mの電磁波

■原理
■製品例
■企業概要
■事業形態

<本件についてのお問い合わせ>

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株式会社ナノマテリアル
大阪市東成区深江北1-9-17-909
担当者名 加瀬 一彦
TEL 090-8825-1889 FAX 06-6973-1747