つなぐしくみ申請 H20年12月 |
植物や微生物による発酵産物から製造される増粘安定剤は、増粘性やゲル化能、乳化安定性等の様々な機能を付与する目的で開発されてきた。食品や化粧品等のさまざまな分野で使用されており、近年求められる機能はますます高度化・多様化している。本課題は、モロヘイヤから抽出される増粘安定剤として、機能性に優れた多糖類の実用化開発を行うことを目的としている。
申請者が検討する新規増粘安定剤は、実験室条件下での抽出物においては、既存の食品安定剤を超える高粘度を呈するなど独特の物性を示していたが、工業的には未だフラスコレベルで抽出生産に成功した段階であった。さらに既に多くの増粘安定剤が使用されており、客観的な市場評価が望まれていた。食品用途等に使用する場合、開発品の安全性評価が必須であり、このための競争的資金制度の紹介希望も合わせ、「つなぐしくみ」への申請があった。
「目利きレポート」作成のため技術評価及び市場調査を実施し、既存品に対する技術優位性が非常に高いと判定した。多数の安定剤が上市されているが、安全性評価をクリアーし製造コストの低減が可能であれば、十分な市場展開性があると評価できた。「つなぐしくみ」開始時の現地調査により、実用化のためには、コスト低減のための具体的な実規模プロセスの開発が必要であることを指摘し、専用安定剤を用いる濾過プロセスについてアドバイスした。また申請者との打合せにより、最終目標は食品用途であるものの前段として化粧品安定剤用途への開発を目指すべきであると助言すると共に、「A-STEP」ハイリスク挑戦等の公的研究資金への応募を勧め、採択に至った。
公的資金獲得1件の成果を得た。
(作成日:平成22年3月31日)