つなぐしくみ申請 H20年8月 |
本研究課題は、抗酸化および抗菌作用など多くの生理活性が報告されている、ローズマリーの主成分であるカルノシン酸を、サワラ(樹木)の葉から得られるピシフェリン酸を原料として、合成する技術である。量産化が可能となれば、明確な生理活性の検証とともに、新たな製品化が見出される可能性がある。
申請者は、サワラ(樹木)の葉からピシフェリン酸の抽出・分離・精製し、さらに、これを原料に過酸化物を用いたカルノシン酸の合成系が確立していた(研究室規模)。また、ごく一部の抗菌活性評価も実施していた。しかしながら、量産化を可能にするには、企業とのco-workが必須であるが、申請段階では、共同研究候補先企業は見つかっていなかった。
JST Innovation Bridge 報告会にて関心を持ったA社と、「つなぐしくみ」で提供するデータ補完の中で共同研究が開始され、大量のサワラの調達が可能となり、数百kgのサワラからピシフェリン酸の抽出・分離・精製が検討された。また、カルノシン酸の合成においても、各種過酸化物製造専門企業B社との共同研究が開始され、反応に適切な過酸化物の選択と製造条件が検討された(継続中)。さらに、データ補完の中で過酸化物を使用しないカルノシン酸の新たな合成法が開発され、A社にて実施された(継続中)。その結果、量産化の第1段階はクリアされた(企業2社にて継続中)。
また、合成カルノシン酸の製品化に向け、目利きレポート等で文献および特許調査、製品案と開発候補企業情報を提供するとともに、次段階に向けた活動に協力した。さらに、共同研究企業との調整、合成カルノシン酸の生物評価において、実施施設の紹介と試験へのアドバイスを行った。さらに、申請者と数社の企業に対し、製品化に向けた活動を行った(継続中)。
共同研究2社、新規特許出願2件(うち1件海外)、論文1報の成果を得た。
(作成日:平成22年3月31日)