つなぐしくみ申請 H19年6月 |
申請者はこれまで生体信号のフラクタル解析に基づいた感性計測手法を提案し、基本技術を確立するとともに、高次感性計測に関する基礎・応用研究も推進してきた。本課題では具体的な応用例として“感性”という新しい基軸となる付加価値をそなえたスポーツ用品の実用化開発を行うことを目的としている。
申請時においては具体的なスポーツ用品としてテニスラケットを取り上げ、感性計測と独立成分分析の技術を融合した新規感性計測技術を確立し、その打球感を競技中のフィールド環境で計測しその有効性を検証できた段階であった。すでにスポーツ用具メーカーと連携していたが、実用化に向けては被験者の非拘束性の向上と負担の軽減を実現するために計測装置の小型・軽量化を行うこと、テニスだけでなく汎用性があり、かつリアルタイム解析が可能な測定技術を確立する必要があった。このため開発加速を希望して「つなぐしくみ」への応募があった。
「目利きレポート」で特許調査を実施し、関連特許の出願状況や競合特許に関する情報提供を行うとともに、「つなぐしくみ」で提供するデータ補完費により、計測装置の改良を実施するとともに多岐にわたるフィールド実証試験を実施した。その結果、測定手法が確立し、これに基づいて感性(打球感)を刺激するラケットの物理パラメータの探索と材質・構造、さらに製品デザインの最適化を行い、感性指向スポーツ用品の開発基板を確立した。
また、感性計測技術は応用分野が極めて広いため、JST新技術説明会、イノベーション・ジャパン(大学見本市)、スポーツサイエンス&テクノロジー展を紹介し、企業への技術PRを継続的に行い新規展開への活動を支援した。
テニスラケットとしては2009年5月スポーツ用品メーカーで製品化され発売された。他の分野での応用も広がり衛生用品(シャンプー)、ゲームなどの評価にも利用されている。
(作成日:平成22年3月31日)