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プレベンチャー事業

平成14年度採択課題事後評価報告書

平成18年3月
科学技術振興審議会技術移転部会プレベンチャー評価委員会

 

 

4.

研究開発課題の個別評価

(9)難治性疼痛抑制薬の開発

 

リーダー

田邊 勉(東京医科歯科大学医歯学総合研究科 教授)

サブリーダー

北島 慶介

 

1 ))

研究開発の概要

痛み非感受性動物を利用した種々の疼痛モデルを作製し、遺伝子群の発現パターンを統合的解析し、それらの中から痛みターゲット分子を効率よく探索することにより、神経因性疼痛や癌性疼痛など、未だ有効な治療方法の見出されていない難治性疼痛に対する特異的な治療薬を開発する。

2 ))

事後評価内容

A)成果
痛み非感受性動物を利用して神経因性疼痛モデルを作製し、これを用いて脊髄などの痛感伝達に関与する組織において変動する遺伝子の検索、野生型マウスと痛み非感受性マウスで異なる挙動を示す遺伝子の同定など、遺伝子群の発現パターンを統合的に解析した。次いでこれら遺伝子がコードする蛋白質機能を促進あるいは阻害する薬物を疼痛モデルマウスへ投与し、その効果の検討を進めた。数種の有力候補物質の探索が進んでおり、いまだ治療方法が確立されていない神経因性疼痛に対する有効な治療薬として期待されている。これらの成果をもとに、平成18年度はじめにベンチャー設立予定である。

特許出願数:8件(研究開発終了時点)

 

B)評価

計画の達成度

痛み非感受性マウスを用いる神経因性疼痛薬の探索法を開発し、さらにその手法を用いて神経因性疼痛を抑えるに有望な活性物質8化合物を見出した。

知的財産権

有望な神経性疼痛薬に関する8件の特許出願を行った。さらに海外での知的財産の確保も含め戦略的な出願を進める必要がある。

起業化計画

新規医薬品の臨床治験、製造販売には莫大な資金が必要であるが、候補物質の作用メカニズムが解明され、ヒトに対する活性の強さ、安全性が確認されれば、非常に大きいビジネスを生む可能性がある。起業後のビジネスモデルがまだ十分検討されていない状況であり、今後ベンチャー企業としてどのように成長していくのかを検討する必要がある。

新産業創出

作用メカニズムの解析が進み、遺伝子の機能解明がなされれば、新たな創薬事業などへの展開も期待出来る。

総合・その他

いまだに有効な治療方法が見出されていない難治性の神経因性疼痛に対して、副作用を伴わず、特異的でかつ非麻酔性の新規疼痛治療薬候補物質を多数得ることが出来た。非常に有望な成果であり、当分野の医学の進歩に大きく貢献すると期待される。本技術に対する企業やVCの関心も大きく、これら企業とのアライアンスにより強力なベンチャー企業として成長する可能性も高い。

 

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