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プレベンチャー事業

平成14年度採択課題事後評価報告書

平成18年3月
科学技術振興審議会技術移転部会プレベンチャー評価委員会

 

 

4.

研究開発課題の個別評価

(6)テーラーメイドワクチン診断装置

 

リーダー

伊東 恭悟(久留米大学医学部 教授)

サブリーダー

出田 光太郎

 

1 ))

研究開発の概要

癌やウイルスに対する生態防御機構すなわち免疫機構は本来個人毎に異なる能力を有している。次世代の医療は個人に特有な免疫機能を正確に測定・診断できるシステムを開発することが要求される。この測定技術は、患者の免疫力を増強させて疾患を治癒するに最適なワクチンを投与するテーラーメイド(個人最適)型ペプチドワクチン療法が大きく進歩するものと期待される。

2 ))

事後評価内容

A)成果
血液を遠心分離の後に、細胞画分および液性画分について免疫機能を計測し、総合評価する診断技術である。細胞性免疫機能測定技術は、従来の細胞性免疫能測定法に較べて微量でかつ高感度な測定が可能であるハイスループット型であり、また液性免疫機能測定技術は従来のELISA法に比べて必要血液量が少なく、時間・コストを大幅に削減したマルチプルスクリーニング可能な方法であるなど、それぞれ、必要血液量・時間・コストを減少させることに成功した優れた技術を組み合わせた実用的なワクチン診断装置である。これらの成果をもとに、株式会社イムノディアを設立した。

特許出願数:3件(研究開発終了時点)

 

B)評価

計画の達成度

抗体や細胞の測定技術により、微量の血液で各個人の特異免疫機能を測定する技術を世界で初めて開発するなど、初期の目標をほぼ達成した。

知的財産権

3件の新規特許出願がなされたが、起業後のベンチャーを保護する意味では更なる知的財産権の造出が必要である。世界市場が相手になることも予想されるため、海外特許出願が必要である。

起業化計画

開発されたテーラーメイドワクチン診断装置は次世代の医療に道を開く優れた技術である。本技術の実用性と関連他社との連携をうまくはかりながらビジネス展開を行うことが期待される。

新産業創出

医療の方向性として個別化医療という方向性が進んでいく際、本技術は非常に重要になっていくものと思われる。

総合・その他

目標としているC型肝炎の診断や花粉症の検査が実現できれば、事業としても更に大きい成長が期待できる。テーラーメイド型医療を実現するための第一歩になる、将来の発展性の高い優れた成果である。

 

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