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プレベンチャー事業

平成14年度採択課題事後評価報告書

平成18年3月
科学技術振興審議会技術移転部会プレベンチャー評価委員会

 

 

4.

研究開発課題の個別評価

(4)電子顕微鏡観察用無損傷レーザー精密研磨装置

 

リーダー

市野瀬 英喜(北海道大学 エネルギー先端工学研究センター 教授)

サブリーダー

梅枝 勲

 

1 ))

研究開発の概要

電子顕微鏡観察に必要な、ナノサイズの超精密薄片化試料を無損傷で作成するためのレーザー精密研磨装置の開発を行う。エキシマレーザーを固体物質表面に照射することによる量子効果原子剥離の原理を利用し、表面原子の原子結合を切断し原子面を一面ずつ剥ぎ取るため、無損傷で原子尺度の平滑な表面研磨が可能となり、電子デバイスや機能材料から構造材料に至るまで、ナノサイズ規模の材料開発への利用が期待される。

2 ))

事後評価内容

A)成果
レーザー精密研磨装置を試作し、シリコンについて、レーザーのパルス幅や強度がある一定の照射条件下において、高品質なレーザー研磨が行えることを確認し、無損傷試料を作製した。さらに、エキシマレーザーの断面強度分布を、レーザー集光レンズの偏心回転構造やレーザー強度の変動に対するレンズ位置制御構造を導入することにより均一化し、レーザー研磨装置の研磨品質向上を図った。これらの成果をもとに、平成18年度はじめにベンチャー設立予定である。

特許出願数:0件(研究開発終了時点)

 

B)評価

計画の達成度

試作機を開発し、シリコンサンプルについて良好な研磨ができることを確認し、技術的には目標のレベルに達したと考えられるが、他の材料について、十分な成果が出ているとは言えず、実用レベルの製品化も今後の課題である。 

知的財産権

知的財産権は事業開始前に取得されたものだけで、研究開発の成果としては無い。製品化にあたりノウハウとしてだけでなく知的財産権としての確保が重要である。

起業化計画

エキシマレーザーを含め研磨装置の完成度を高め、装置コストと独立性確保に関しての戦略を十分立てた上での電子顕微鏡メーカーとの提携や潜在的な顧客との積極的な交流等の事業展開の具体化が肝要である。

新産業創出

これだけで新産業創出は難しいが、測定技術は、川下産業のインフラを担う重要な機器であり、本研磨装置もハイテク技術産業を支える基盤としての重要性が高い。

総合・その他

独自の研磨技術であり、精密研磨技術の応用として、汎用的に利用されるためはどうあるべきか、或いは逆に特殊な物質の研磨を専門的に研究開発するためにはどうあるべきかなど考えることも、電子顕微鏡観察用試料の用途以外にも広く事業展開するために重要である。

 

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