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プレベンチャー事業
平成14年度採択課題事後評価報告書
平成18年3月
科学技術振興審議会技術移転部会プレベンチャー評価委員会
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4.
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研究開発課題の個別評価
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(1)次世代型統合CAEシステム
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リーダー
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:萩原 一郎(東京工業大学大学院 理工学研究科 教授)
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サブリーダー
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:篠田 淳一
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研究開発の概要
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設計仕様が出揃わない設計初期段階やリバースエンジニアリングでの使用に有効なフレキシブルな統合CAEシステムの開発を行う。メッシュに関わる様々なソフトウェアと曲面生成技術を組み合わせることにより、現物から精度の良いCADデータの生成が可能となり、コンピュータ上で性能実験シミュレーション、地形測量での山岳地形の再構成、医療分野でのCTやMRIによる断面画像からの臓器の再構成など、広範囲な分野での利用が期待される。
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2
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事後評価内容
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A)成果
四辺形・六面体メッシュ生成技術、統計処理を加えたエンハンスメント及びリダクションシステム等の統合CAEシステムを構成するサブシステム技術を開発し、これに計測群点から高精度に表面の三角形メッシュを生成する構造再構成技術と三角形メッシュからの曲面生成技術を組み合わせることにより、計測データ等を数値解析に直結させる高精度な解析が可能となった。また、独自の画像処理技術を駆使した曲面修復技術により、古い写真の修復や不要なオブジェクトを画像から消去する画像処理ソフトも開発した。これらの成果をもとに、株式会社インターローカスを設立した。
特許出願数:2件(研究開発終了時点)
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B)評価
計画の達成度
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:各要素技術はプロトタイプとして一定のレベルの開発ができたが、統合CAEとしては完成には至らなかった。競争力と魅力あるレベルに事業をめざすためにも、IT分野の宿命ともいえる継続的R&Dが今後とも必要である。
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知的財産権
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:メッシュ生成やポリゴン化などについて特許が出願され、知的財産権の確保に努めていることは評価できるが、統合化CAE の各要素技術を製品化していくにあたり、要素技術の製品の中には必ずしも既存製品の特許等との関係が十分に整理されているとはいえないものがある。また一部のプログラムコードはパッケージ販売に耐える水準の品質と見なせるものの全体的に見ると未だ水準に達しているかどうか明確でない。
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起業化計画
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:当初販売予定のメッシュエンハンスメントなど一部を除いて競合が激しく強力な市場リーダーがすでに存在する中で、今回開発された技術だけで、パッケージ販売をチャネル経由で展開していくのは難しい。当初は、これをシステムインテグレーションや受託開発の核のモジュールと考え、受託ビジネスの中でソフトウェアの改善・高度化を図った後、既存のCAD等とのアライアンスも含めて、パッケージビジネスに参入するような展開が妥当と考えられる。
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新産業創出
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:リバースエンジニアリングの技術は応用分野が広く、用途次第では新たな事業創出のための技術となる可能性もある。一部で関連のシステムが既に販売されているが、未だそれらの機能は十分とは言えず、市場拡大に寄与していくことが期待できる。
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総合・その他
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:トータルCAEの構成要素であるメッシュ生成システムなど開発されたものの技術的なレベルは高いと考えられるが、開発を継続し事業として展開していくためには、ユーザとの間で新たな協力関係の構築や他社とのアライアンスなど収益の仕組みを考えていく必要がある。
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