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プレベンチャー事業

平成13年度採択課題事後評価報告書

平成17年3月
科学技術振興審議会技術移転部会プレベンチャー評価委員会

 

 

4.

研究開発課題の個別評価

(8)蛋白質セラピー法を応用した細胞機能解析試薬と抗腫瘍剤

 

リーダー

:松井 秀樹(岡山大学大学院 医歯学総合研究科 教授)

サブリーダー

:鈴木 隆

 

1 ))

研究開発の概要

目的の物質を細胞内の微小環境に効率よく送り届ける蛋白質セラピー法を利用し、蛋白質、ペプチドや薬剤を細胞内導入型に変換することの出来るカセット型試薬および抗腫瘍剤の開発を行う。高効率な細胞機能解析試薬の提供が可能、かつゲノム情報を直接利用する新しい治療薬開発により、遺伝子治療に代わる新しい治療法への利用が期待される。

2 ))

事後評価内容

A)成果
ペプチド性の細胞内導入シグナルを付加することにより、ほとんどあらゆる物質を効率よく組織・細胞内に導入させ、細胞内の微小環境で特異的に機能させる方法を開発した。また、VIVITペプチドやガン抑制蛋白質に導入シグナルが結合した試薬を開発すると共に、心肥大治療薬、脳保護薬を開発し、その有効性を動物実験にて確認した。さらに皮膚美白剤開発の見通しも得た。これらの成果をもとに、平成17年度はじめにベンチャーを設立予定である。

特許出願数:4件(研究開発終了時点)

 

B)評価

計画の達成度

:局在化シグナル開発、蛋白質導入用試薬並びに2種の医薬品候補の開発に成功し、モデル動物での有効性が示されているものもあり、ほぼ計画を達成した。

知的財産権

:技術のすべての核になる細胞内送達技術の特許成立が鍵となる。本技術の波及効果が大きいことに比較して、出願特許でクレームしている範囲が限られている。今後の更なる知的財産ポートフォリオの充実が望まれる。

起業化計画

:創薬モデルと美白剤事業モデルでは事業内容が異なるので、それぞれの事業計画が必要である。美白剤の事業化でビジネスを立ち上げるステップは堅実で妥当性があるが、事業が成立する根拠について、中長期的に研究開発を継続する体制構築や他社との提携の可能性といった点も含めて明確にすべきである。

新産業創出

:本技術は蛋白質製薬のほか多くの製剤分野への応用等今後の発展が期待できる分野と思われる。

総合・その他

:オリジナリティのある細胞吸収特性を持つ導入法を開発できた意義は大きく、将来の発展が期待できる分野である。知的財産権の確保ができれば妥当な起業計画と思われる。創薬事業については、時間的にも資金的にも大きな投資が必要であり、研究開発を継続することが可能な体制と事業計画を構築しておくことが必要である。

 

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