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プレベンチャー事業

平成13年度採択課題事後評価報告書

平成17年3月
科学技術振興審議会技術移転部会プレベンチャー評価委員会

 

 

4.

研究開発課題の個別評価

(7)液晶による位置制御用精密測長器

 

リーダー

:吉野 勝美(大阪大学大学院 工学研究科 教授)

サブリーダー

:大薗 敏雄

 

1 ))

研究開発の概要

液晶電気光学効果により、ナノメートル単位の移動量を検出できる精密測長器の開発を行う。本測長器は、現有のサーボ機構との組み合わせが容易であり、サーボに目標を直接指示できる機能を有するため、高速・高精度測長を可能とする。次世代の半導体生産装置、レーザ工作機械、非接触3次元測定装置等の精密位置決めへの利用が期待される。

2 ))

事後評価内容

A)成果
液晶電気光学効果を利用したサーボ制御用測長器(エンコーダ)とその製造装置を完成した。振動や電気ノイズ等の外乱影響による計測誤差が少なく、実装が容易であるという特長を備えたエンコーダの実用化研究を完了した。また、液晶測長器を用いて、高精度の3次元マイクロ光学スキャナを開発した。本エンコーダ内蔵の液晶精密測長器を搭載した制御ステージによって、10ナノ繰り返し精度の段差・表面積測定、断面プロファイルの解析が可能となった。これらの成果をもとに、株式会社大阪電子科学技術研究所と株式会社大阪光科学技術研究所の2社を設立した。

特許出願数:6件(研究開発終了時点) 

 

B)評価

計画の達成度

:高精度、安価、簡便な測長器並びに応用製品である3次元マイクロ光学スキャナの製品に近いプロトタイプを完成し、開発目標をほぼ達成した。 

知的財産権

:検出方法と各装置で特許が出願され、一定のレベルを確保できており、製品化に際しての問題は少ないと思われる。

起業化計画

:確実な応用製品を持ち、すでに数社が導入検討を始めるなど、起業化構想は十分練られており、ある程度需要を確保することが可能と考える。急激な販売数の増加が見込まれているが、販売体制がどれだけ早く確立できるかが課題である。

新産業創出

:高精度測定技術として差別化できれば用途展開のポテンシャルに富んでいる。産業用ロボットなどに組み込まれれば事業の広がりが期待できる。

総合・その他

:技術面での研究開発は目標を十分に達成できたと考える。製品完成度も高く、事業化についても、よく調査されているが、実際にユーザーやパートナーとなる企業からのニーズを取り込んで開発から供給へつなげる体制が今後必要である。事業としては競合品が現れてくる可能性があり、今一度、新たに差別化できる要因や市場のリサーチに注力するなどの対策が重要である。

 

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