報告書 > 研究開発課題の個別評価



プレベンチャー事業

平成13年度採択課題事後評価報告書

平成17年3月
科学技術振興審議会技術移転部会プレベンチャー評価委員会

 

 

4.

研究開発課題の個別評価

(6)能動チューブマイクロシステム

 

リーダー

:江刺 正喜(東北大学 未来科学技術共同研究センター 教授)

サブリーダー

:竜 新栄

 

1 ))

研究開発の概要

マイクロマシニング技術を用いて、生物のように柔らかく複雑な動きを可能とするチューブ状能動機構の研究開発を行う。先端部に視覚など様々なセンサーの搭載が可能で、狭い場所で作業することができるため、目標とする医療器具用以外にも細い配管内や建物の亀裂内部の検査およびメンテナンス分野などへ利用が期待される。

2 ))

事後評価内容

A)成果
マイクロマシニング技術を応用した微細加工を行い、微細なスペースに組み付けることができる、形状記憶合金による小型アクチュエータの設計、加工、アッセンブリ技術を開発した。この技術を用いて屈曲機構ばかりでなく、硬さ調節機構や回転機構などへも対応できる医療用能動チューブと、小型・軽量な視覚障害者用2次元触覚ディスプレイを開発した。これらの成果をもとに、メムザス株式会社を設立した。 

特許出願数:9件(研究開発終了時点)

 

B)評価

計画の達成度

:触覚ディスプレイや医療用としての認可申請が行えるレベルまで完成したカテーテル製品もあり、事業化の基礎となる技術開発目標はほぼ達成した。

知的財産権

:カテーテル及びディスプレイについて、装置、製造方法を含めて網羅的に出願されており、本事業の成果に対するプロテクトはできているが、同類の特許も存在しており、それぞれの特許の有効性については厳密に評価すべきである。

起業化計画

:概ね妥当と言い得るが、触覚ディスプレイやイレウスチューブ等は、市場が小さく成熟分野に近いとも言えるので、技術的優位性を明確にすると共に、医療器具としての認可を早期に得て競争力を強めるか、又は医療機器メーカ等との連携などの検討も必要である。

新産業創出

:既にシェアーを多く持つ競合企業の研究開発は活発であり、今後とも研究開発の継続が必要である。しかし、アクチュエータ技術の応用範囲は広く、新たな製品の要素技術として広がりが期待できる。

総合・その他

:形状記憶合金を利用したアクチュエータとして堅実な技術成果が上がっており、医療器具として申請できたことで目標は達成できたと言える。実際の医療に使われるためにはかなり高いバリアを克服する必要がある上、すでに医療機器メーカの寡占化が進み、市場も小さいため、今後、ライセンス化も含めて製品化並びにその供給体制をさらに検討すべきである。

 

目次に戻る



This page updated on May 19, 2004

Copyright©2004 Japan Science and Technology Agency.

www-admin@tokyo.jst.go.jp