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プレベンチャー事業
平成13年度採択課題事後評価報告書
平成17年3月
科学技術振興審議会技術移転部会プレベンチャー評価委員会 |
4. |
研究開発課題の個別評価 |
(4)ダイヤモンド電極による生体成分分析装置 |
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リーダー |
:藤嶋 昭(財団法人神奈川科学技術アカデミー 理事長) |
サブリーダー |
:堀 熙一 |
1 )) |
研究開発の概要 |
水溶液中での安定した酸化反応特性に加え、広い電位窓や低い残余電流など優れた電気特性を併せもつダイヤモンド薄膜を製作し、これを電極に用いて生体に関係する化学物質を高感度で検出できる生体成分分析装置を研究開発する。医療分析や家庭用尿成分分析、食品成分分析などへの広い適用が期待できる。 |
2 )) |
事後評価内容 |
A)成果
酸化ホウ素を溶解したアセトン/メタノール混合溶液を水素とともにチャンバー内のプラズマに導入することによって優れた電気特性をもつ導電性ダイヤモンド薄膜を製作し、これを電極に用いて高感度で安定した検出能をもつ回転電極装置を製品化した。この技術により、従来の電極では測定できなかったビタミンやステロイドホルモンなどの化学物質が分析可能となったほか、水道水中の鉛分析や玄米中のカドミウム分析などの環境分析も容易にできるようになった。更には研究過程で見出された新しい化学発光分析法により、これまで別々の装置で分析する必要のあった尿中のシュウ酸とクエン酸を同時に分析できる分析装置も製品化した。これらの成果をもとに、株式会社エフケムを設立した。
特許出願数:6件(研究開発終了時点)
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B)評価
計画の達成度 |
:高感度で耐久性のある優れたダイヤモンド電極を開発し、ビタミンやステロイドホルモンなどの化学物質の分析を可能としたほか、「水道水中鉛分析装置」や「玄米中のカドミウム分析システム」を製品化した。更に本研究開発の中で生まれたアプリケーションとして「尿中シュウ酸・クエン酸分析装置」を製品化した。 |
知的財産権 |
:6件の特許が出願され、知的財産権は十分確保できた。検査装置や周辺機器などの出願特許は製品化において差別化できる要素と考えられる。 |
起業化計画 |
:導電性ダイヤモンド電極を利用して、各種の検査装置、分析機器市場への参入を企図している。競合は厳しいが分析市場の一部をつかめるチャンスがある。より強力な独立企業への成長を目指し、今後ともコスト面の再検討、市場ニーズの把握、マーケット分析などの努力を続ける必要がある。 |
新産業創出 |
:導電性ダイヤモンドはセンサー技術の根幹と成る可能性があり、新産業創出の期待度は大きい。検出可能な生体物質の種類の拡大に成功すれば、新検出法としての評価も高まる。今後事業をさらに拡大して行くには本研究開発の成果を生かし、メッキ技術や公害物質の瞬時測定技術への展開など、更なる新分野を開拓していくことが必要である。 |
総合・その他 |
:現場実証も行われており、実用化に達した製品ができた。新会社では販路の確保・拡大や顧客への教育と、商品の信頼性確保などが鍵となる。さらに今後、ダイヤモンド電極の優れた性能を基礎に、その技術を広く産業界に提案し、ユーザーと一緒になって共に製品開発と商品化の実を挙げられる事を期待する。 |
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May 19, 2004
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