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プレベンチャー事業

平成13年度採択課題事後評価報告書

平成17年3月
科学技術振興審議会技術移転部会プレベンチャー評価委員会

 

 

4.

研究開発課題の個別評価

(3)在宅健康管理ヘルスケアチップ

 

リーダー

:堀池 靖浩(物質・材料研究機構 生体材料研究センター フェロー)

サブリーダー

:長井 政雄

 

1 ))

研究開発の概要

微量の血液を自ら採取し、肝機能、腎臓病、中性脂肪などの数項目の健康マーカーを簡易に分析・計測する在宅用「ヘルスケアチップ」および測定システムを研究開発する。少子高齢化社会の進行やそれに伴う医療費の肥大化が予測される折り、在宅で簡易に日常健康管理を行うツールとして期待される。

2 ))

事後評価内容

A)成果
穿刺時の痛みをほとんど感じない極細の無痛針およびそれを用いた血液採取方法を開発、ついで、採取血液の流路と電解質イオン、血糖値など複数の項目を同時測定するバイオセンサーを搭載するチップ、およびチップの流路中で血球と血漿成分に分離し血漿成分のみをセンサー部に輸送、測定を行う計測器を開発し、プロトタイプはほぼ完成した。これらの成果をもとに、株式会社アドビックを設立した。

特許出願数:5件(研究開発終了時点)

 

B)評価

計画の達成度

:無痛針による低侵襲血液採取技術、チップ集積技術などの完成度は高く、計測器についてもプロトタイプはほぼ完成した。信頼性のあるバイオセンサーの量産化、検査項目の検討、計測器の小型化などが製品化へ向けての課題である。 

知的財産権

:血液の分析やバイオセンサーなど5件の特許が出願され知的財産権の確保はできた。

起業化計画

:ユーザー開拓のステップとして、病院向けに開拓した後、一般家庭向けへと進むなど堅実なビジネスプランが立てられているが、その間に医療・診断分野より当技術の認知を得ることが必須である。販路の確保に努めるとともに米国企業など競合企業の動向をウォッチする必要がある。また無痛針やチップ部分のみに限定したビジネスについても検討する余地がある。

新産業創出

:在宅ケアの普及、健康志向の増加から在宅健康管理ビジネスという新産業創出の期待度は大きい。医療・診断分野からの認知と事業化へ向けてのスピードアップが重要であり、製品化するためには医療分野での経営力のあるパートナーを確保する必要がある。 

総合・その他

:無痛針やチップ、検査機器などそれ自体が有用な個別商品となりうるいくつかの技術要素を開発することはできたが、総合事業としての「在宅健康管理ヘルスチップ」は信頼性のあるバイオセンサー技術の確立の遅れなど未完成の部分がなお残されている。これら技術面を早期に解決するとともに、事業化へ向けては医療分野でのパートナーと連携を図るなどの方策をたてることも必要である。社会的意義も大であり、大きい市場も期待できる分野であり、なお一層のスピードアップが望まれる。 

 

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This page updated on May 19, 2004

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