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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 58 (H15−0208)ミニチュア拡散スクラバーによる有害ガスの簡易モニタリング装置の開発

企業名 :株式会社 ガステック
研究者(研究機関名) :田中 茂(慶應義塾大学 理工学部 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 本モデル化で試作をおこなったモニタリング装置は、気体と粒子の拡散係数の相違を利用してガス成分のみを効率良く分離捕集するユニークなガス成分の捕集方法("拡散スクラバー法")を用いた装置であり、数十年来用いられてきた従来のガス捕集・除去方法である"吸収ビン法"や"化学処理フィルター法"とは全く発想の異なる方法である。当装置は大気中の有害ガスを極めて高く濃縮して捕集することが可能であることから、感度の点で高価な分析装置に劣るとされている比色分析技術を用いても十分な感度を確保することが可能となる。また、構造がシンプルであることから経済性に優れるほか、専門の技術者を必要としない、簡素・軽量・可搬型であるため多くの地点で環境測定ができる、などの利点を持つ。本試作装置を用いてシックハウス症候群の原因物質とされるホルムアルデヒドについて適用性を評価した結果、厚生労働省指針値である80ppbvを簡易に精度良く測定できることが確認された。今後、二酸化窒素、二酸化硫黄等の多くの有害ガス測定への適用を確立すれば、高感度で優れた機動性を持つ新たな有害ガスの分析手法となると考えられる。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 試作した測定システムは目標仕様を達成し、また、ホルムアルデヒドについての測定分解能、測定精度、測定時間についても目標値を達成している。
知的財産権等の発生
 発生なし。
企業化開発の可能性
 モデル化の対象としたシックハウス症候群の主たる原因物質ホルムアルデヒド測定セットは早期商品化が可能と思われる。また他の有害物質についても自社開発で可能と思われる。
新産業、新事業創出の期待度
 現場における測定が簡便に行えるので、ホルムアルデヒド以外の他の多くの有害ガスについても測定システムが確立されれば、環境関連の新事業として海外を含めて市場を形成し、発展する可能性がある。
3 ) 評価のまとめ
 試作した測定システムは目標仕様を達成し、また、ホルムアルデヒドについての測定分解能、測定精度、測定時間についても目標値を達成し、期待した結果を得たのでモデル化は成功と言える。今後は、他の有害物質についても応用開発ができれば、環境関連の新事業として海外を含めて市場を形成し、発展する可能性がある。

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This page updated on March 25, 2005
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