1 ) |
モデル化の概要および成果 |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は高発電効率と環境性から、将来の発電システムとして期待されている。しかし、従来のSOFCは作動温度が1000℃と高く、構成部材とシステムの信頼性に対する問題が実用化を阻害していた。そこで、本モデル化では加圧力とせん断力を原理とする粒子複合化技術を用いた電極微細構造の制御により、SOFCの低温作動化を目指した。成果として、高温熱処理を必要としない空気極材料La(Sr)MnO3の低温合成を実現するとともに、低温作動用高性能電極を開発することができた。具体的には、微細構造制御を施した(La,Sr)(Co,Fe)O3空気極とNi-SDC燃料極からなる試作セルにて、700℃の低温作動で実用的出力密度:0.3〜0.4W/cm2の発電実証ならびに、トータル電極分極値0.15V以下(@電流密度0.5A/cm2以上)の目標を達成した。今後、低温合成技術の確立や電極長期性能評価と改良を進めるとともに、発電モジュールやシステム開発を経て、低温作動SOFCの事業化を目指す予定である。
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2 ) |
事後評価 |
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モデル化目標の達成度
モデル化目標は100%達成。特に、トータル電極分極値で0.15V以下を達成したことは評価できる。 |
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知的財産権等の発生
特許1件出願済み。 |
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企業化開発の可能性
企業化に至るには、微粒子の凝縮防止、微粒子の安定な製造、一万時間を越える長期安定性等の多くの課題がある。 |
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新産業、新事業創出の期待度
社会的には期待度の高い課題である。問題点も明確になりつつあるが、長期安定性の実現は簡単な問題ではない。 |
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3 ) |
評価のまとめ |
モデル化目標は100%達成。電極分極値0.15V以下の達成は評価できる。関連テーマは多くの研究開発者が取り組んでおり、優れた成果を出しているが制御や品質に多くの問題点も示されている。これらの問題は簡単に解決できるとは考えられないが、社会的には期待が大きいので、解決法を明示して更なる開発が進展することを期待する。 |