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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 53 (H15−0195)環境浄化と資源リサイクルを目的とするグラフト繊維型高速吸着フィルターの開発

企業名 :株式会社 環境浄化研究所
研究者(研究機関名) :斎藤 恭一(千葉大学 工学部 物質工学科 教授) 他1名

1 ) モデル化の概要および成果
 グラフト繊維型高速吸着フィルターの製作のために、グラフト重合反応条件およびホウ素・ゲルマニウム吸着官能基導入反応条件を確立し、グラフト繊維を試作した。このグラフト繊維を用いてワインドカートリッジ型のグラフト繊維型高速吸着フィルターを試作した。
 ホウ素の除去においては、グラフト繊維型高速吸着フィルター(500 mm 3本)を使用することで、ホウ素濃度150 mg-B/Lを規制値10 mg-B/L以下まで低減させることができた。また、グラフト繊維型高速吸着フィルターは、市販のイオン交換樹脂より高い吸着量をもち、従来の10倍の高流量でもホウ素を吸着できた。
 ゲルマニウムの回収においては、グラフト繊維型高速吸着フィルター(500 mm 3本)を使用することにより、1回の透過でゲルマニウムを90%以上回収することができた。
 グラフト繊維型高速吸着フィルターは、ホウ素、ゲルマニウムともに3回の吸着・溶出を行っても性能が劣化しないことを確認し、ホウ素については再吸着試験で99%の回収率を得ることができた。
 今後は実用化に向けた製造コスト低減と、量産化に向けた大量グラフト重合技術開発に取り組み、環境浄化および有用希少資源回収用フィルターとしての商品化を目指す。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 当初目標を達成している。
知的財産権等の発生
 現在まで出願なし。
企業化開発の可能性
 コスト面の検討が必要で企業化には期間を要すると思われる。
新産業、新事業創出の期待度
 ホウ素除去、ゲルマニウム回収のニーズは高いが、従来技術との差別化がコスト面をカバーできるかに問題が残る。
3 ) 評価のまとめ
 技術的には、当初目標通りの結果が得られているが、企業化のためには経済性を考える必要があると思われる。

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This page updated on March 25, 2005
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