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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 52 (H15−0189)電子表示材料用単分散着色微粒子およびそれを用いた表示方式の開発

企業名 :綜研化学株式会社
研究者(研究機関名) :鳥居 徹(東京大学大学院 工学系研究科 精密機械工学専攻 助教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 電子ペーパーの表示部分に使用されるツイスティングボールと呼ばれる白と黒に塗り分けられた表示用単分散微粒子の、マイクロチャンネル技術(微細流路)を応用した独自製法を提案し、製法と生産性の実証を行った。モデル化では、研究者の協力により、表示用粒子を効率的に作製するマイクロチャンネル流路の設計や微粒子を構成するプラスチック材料の検討、生産性とコストを試算するための多段ユニットの製作等を行い、電子ペーパー用に使用できる静電制御可能な60ミクロンの単分散2色微粒子と、その微粒子を生産するための複合化ユニットまでを完成させた。この検討により作製された表示用粒子の電子ペーパーへの利用可能性とコストが検証され、この粒子が電子ペーパー用表示部材用商品として十分成り立つことが実証された。今後、研究者および、各デバイスメーカーと連携し、安価で高性能の新規電子ペーパー用材料として早期の商品化を目指す。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 表示デバイスに有用な単分散微粒子の量産技術が確立され、物性も確認されており、モデル化の目標はほぼ達成された。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし。今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 複合化チップでの実証実験等の残された課題が解決されれば企業化の可能性はあるが、電子ペーパー原料の価格の動向にも依存するので注意を要する。
新産業、新事業創出の期待度
 本単分散着色微粒子は種々の分野で基礎となる材料であり、事業化の可能性は電子ペーパーなど用途先の技術的発展によるところが大きいが、新事業創出の期待は十分ある。
3 ) 評価のまとめ
 一部の未達成の部分を残しているが、モデル化は着実に目標に向かって進めることができた。表示用粒子作成のためのマイクロチャンネル流路の設計、多段ユニットの製作等も完了した。
 本微粒子の需要先の動向、電子ペーパーの価格等を留意する必要があるが、技術を完成させるため、必要な物性と量産性の確立まで引き続いて研究開発を進展させるべきと考える。

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This page updated on March 25, 2005
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