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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 51 (H15−0184)剥離破砕刃によって効率的に岩盤を破壊する硬質岩盤切削技術の開発

企業名 :奥村組土木興業株式会社
研究者(研究機関名) :室 達朗(愛媛大学 工学部 環境建設工学科 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 モデル化の課題は効率的に硬質岩盤を掘削する技術の開発である。新しいコンセプトは従来の平面掘削方式に対して端面掘削方式で、2自由面をもつ岩盤の端面に円盤型剥離破砕刃を押しつけることで岩盤を剥離破砕するものである。岩石の引張り強度が圧縮強度の十数分の一程度であるという物理的特性を利用したもので、効率的に岩盤を掘削することができる。
 試作機を作製し、岩盤フィールドにおいて掘削試験を行った結果、破砕形態が衝撃によるものであったが、端面掘削方式の方が平面掘削方式よりも切削能力と単位掘削能力当りのドラム回転動力である比エネルギーが優れており、効率よく切削できることがわかった。
 したがって掘削機構とドラムの構造を改良することでモデル化提案の理論である、剥離破砕刃によって効率的に硬質岩盤を掘削することは可能である。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 剥離破砕刃の効果が検証できず、目標は達成できなかった。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし、今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 方式変更の検討と継続的な開発が必要と考えられるが、新たな問題発生の可能性も否定できず、楽観できない。
新産業、新事業創出の期待度
 現在検討中の新方式に移行して完成した際は、その機械を含め関連事業の創出に期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 剥離破砕刃を用いた端面切削で切削能力は向上したが、切削刃の摩耗が予想以上に激しく、残念ながらモデル化目標は達成できなかった。設計変更により新たに提案された「鉛直式掘削機」の実用化については、現状の結果レベルから推定すると、さらに長期の研究開発期間が必要と考えられる。引き続き、十分な検討の上開発を進めることを期待する。

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This page updated on March 25, 2005
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