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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 50 (H15−0181)均一溶液二層化現象を利用するペプチド連続自動合成装置の開発

企業名 :システム・インスツルメンツ株式会社
研究者(研究機関名) :千葉 一裕(東京農工大学 農学部 応用生物科学科 助教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 「相溶状態・分離状態が温度で可逆変化する溶媒セット」と「新規な可溶性担体」を利用し、従来にないペプチド液相合成装置を開発した。
 現在のペプチド合成の主流は固相合成法により展開されているが、固相合成法では合成困難とされる配列のペプチドが存在している。本モデル化では液相ペプチド自動合成装置に適応する反応系の条件検討の結果、新規に上層液/下層液に適する溶媒を探索し、試作機において3残基までの合成を確認した。本試作機は液相ペプチド自動合成装置として世界初であり、今まで固相合成法では入手困難であった配列のペプチドやその他の多量のペプチドを容易に供給し、ペプチド研究の活性化に貢献することになりペプチド製品の市場拡大にも繋がると考える。
 本法の特徴は、現在の固相合成法と比較して、迅速、安価、簡便に反応を進めることができることに加えて、異性化や副生成物の生成をきわめて抑制することができることである。
 今後、本開発を進めることにより、医薬品などの原料ニーズに適合した高純度ペプチドの合成法が大きく進展することが期待される。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 課題は残っているが、方向性としては目標をほぼ達成したとみる。
知的財産権等の発生
 特許1件出願済み。
企業化開発の可能性
 残った検討すべきソフト面の課題を解決すれば、企業化の可能性がある。
新産業、新事業創出の期待度
 効率の良い装置として、新分野への適用が期待される。
3 ) 評価のまとめ
 商用規模の大量合成の需要に対応できるため、パイロットプラントなどのエンジニアリング事業の分野への販路拡大が期待される。今後残った課題(合成装置に適合した反応溶媒と担体の追求、ペプチド合成品の評価法の確立、液面センサーの安定化等)を解決し、各種ペプチドの合成データを集積すると共に、商品化には市場ニーズの十分な調査が必要であると思われる。

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This page updated on March 25, 2005
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