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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 43 (H15−0150)捻り攪拌体による低周波音抑制技術の開発

企業名 :セイコー化工機株式会社
研究者(研究機関名) :石井 達哉(独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 航空推進研究センター クリーンエンジン技術グループ 主任研究員) 他3名

1 ) モデル化の概要および成果
 航空分野の研究から生まれた技術、即ち微小流れ場毎に旋回を与える捻り構造流体制御素子の集合体である流体制御パネルにより、低周波大規模渦を高周波小規模渦に効率的に整流し、低周波部分を低騒音化する技術の確認実験を行った。流れの整流効果により、数Hz〜数百Hzの範囲で騒音が最大16dB低減され、且つ圧力損失は金網などに比べ約1/4と非常に少ない。総じて整流効果は高効率であり、風洞、エルボ配管等の整流装置として非常に有用である。整流効果のマップの作成により、低減したい周波数に対する流体制御パネルの最適形状の選定と、騒音低減効果の推定ができる。ターボ形送風機の吸込側に設置した実験では、基本周波数とその周辺範囲で最大5dBの騒音低減を確認できた。このことは、基本周波数の騒音成分が卓越しているようなブロワー、軸流ファンでは、この騒音低減効果が得られる可能性を示す。ただし、基本周波数付近以外の低周波部分の騒音低減は確認できなかった。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 流れの整流効果については目標値125Hzのところ1000Hzまで確認でき、効果のマップを決定できた。ターボ形送風機では基本周波数については5dBの騒音低下を確認した。一方、流体制御パネルの高い整流効果が低周波音の低減に与える効果は確認できなかった。
知的財産権等の発生
 出願を予定している。
企業化開発の可能性
 流れの大きな整流効果が得られたことから、風洞等の流れ整流器として企業化が見込まれる。また、ターボ形送風機基本周波数において騒音低下が確認されたことから、その効果が大きいと予測されるブロワーや軸流送風機において需要が見込まれる。
新産業、新事業創出の期待度
 空調設備、送風機等において顕著な低周波域の騒音低減が可能となれば、大規模消音装置に代わる低周波音対策技術として流体制御パネルを適用した新産業の創出が期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 流体制御パネルの基本性能に関するデータが得られ、流れについて高い整流作用が得られることが確認されたが、この高い整流効果が低周波音の低減に与える効果については確認できていない。今後具体的な応用を通じて改良・検証を行っていく必要がある。

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This page updated on March 25, 2005
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