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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 42 (H15−0146)金属損傷の少ない鉛フリーはんだの開発

企業名 :白光株式会社
研究者(研究機関名) :竹本 正(大阪大学 先端科学技術共同研究センター 教授) 他3名

1 ) モデル化の概要および成果
 EU委員会のRoHS指令(有害物質の使用禁止指令)に基づき2006年7月1日より鉛等の有害化学物質の使用が規制されるため、電子電機業界において鉛フリーはんだ化が急速に進められている。しかし、溶融鉛フリーはんだの使用に当っては、はんだにより金属が損傷を受け、また、マニュアルソルダリングのはんだこて先やフローソルダリングのはんだ槽の寿命が極端に短くなることが大きな問題として対策を迫られている。そこで、この金属損傷を低減する効果をもつ、Co、Ni、Feを微量添加した鉛フリーはんだのモデル化を進めた。モデル化では、Co、Ni入りはんだを試作して、はんだと金属の界面状態、はんだの濡れ性、さらには引張強度などの各種特性を調べた。その結果、はんだと金属の界面に化合物が形成され、金属の損傷を抑制しているが、従来の鉛フリーはんだと殆ど同じぐらいかそれ以上の機械的特性を持つことが確認できた。今後、商品化に向けて、更なる研究を継続していく予定である。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 Co、Ni入り鉛フリーはんだは従来の鉛フリーはんだに比べて機械的特性は同程度で、こて先の損傷は低減され、モデル化の目標はほぼ達成された。
知的財産権等の発生
 なし。今後出願が期待される。
企業化開発の可能性
 原権利が権利化され、かつ取得したデータを詳細チェックして有効であれば、企業化の可能性はあると考える。
新産業、新事業創出の期待度
 鉛フリーはんだは今後必ず使用しなければならず、本モデル化で対象としたこてに限らず、はんだ槽も同様の対策が必要であり、Co、Ni入り鉛フリーはんだの需要拡大は期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 EUをはじめとして有害化学物質が電子電機業界に対し規制される動向に沿い、鉛フリーはんだ化が急速に進んでいる。しかしながら鉛フリーはんだ化によるこて先の寿命が短くなることへの対応が必要である。本モデル化でははんだの組成に改良を加え、Co、Ni入りの鉛フリーはんだにおいて、多くの実際的な試験を行いその有効性を実証した。特許等の情勢が整えば得られた成果は実用的に利用される可能性がある。

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This page updated on March 25, 2005
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