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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 40 (H15−0135)ナノテクノロジー架橋システムを用いた新しい環境対応型建築用塗料の開発

企業名 :水谷ペイント株式会社
研究者(研究機関名) :木村 良晴(京都工芸繊維大学 繊維学部高分子学科 教授) 他1名

1 ) モデル化の概要および成果
 20〜30nm径の超微粒子シリカを内包した50〜60nm径のナノコンポジットエマルション樹脂の合成を行った。これまでこの形態の樹脂の報告例はあったが、実用化された例はない。我々はこの樹脂を使って塗料への展開に成功した。完成した塗料は、従来の水系塗料に比べ樹脂の量が約半分のため、地球温暖化防止壁用塗料として時代のニーズにマッチするものである。一般に環境対応製品は通常品に比べ、高価格であったり物性が劣っていたりするものであるが、この塗料は価格的に安価でさらに機能的にも耐汚染性、耐候性、耐熱性等従来型塗料に比べて優れた性能を持つ塗料である。まさにナノテクノロジーにより環境対策と機能の両立が可能となった。またこの樹脂には、未確認であるがそのポテンシャルの高さから幅広い応用展開の可能性が期待される。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 実塗装試験での評価は良好で、既に商品化の目途はついているが、貯蔵安定性及び耐候性の長期的試験を要するものについては継続中である。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし、今後の取得の可能性あり。この素材が真に優れた物性を持つものであれば知的財産権の取得を急ぐべきである。
企業化開発の可能性
 全国建築・建材展等へも出展し、成果の公開と普及に努めている。
新産業、新事業創出の期待度
 ナノコンポジットエマルション樹脂については、壁用塗料以外の用途への展開も期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 超微粒子シリカ内包ナノコンポジットエマルション樹脂を用いた水性一液型塗料は、従来のエマルシ ョン塗料に比べ樹脂分が1/2程度であるにもかかわらず、各種物性等にも優れ、且つ塗膜にも無機塗料的な機能を持たせることが可能となり、環境対応型建築用塗料として市場の反響もよい様である。貯蔵安定性や耐候性にも配慮し、今後も優れた商品の開発の継続を期待したい。
 また、物性データを明らかにして関係業界において活用が図られることを期待する。

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This page updated on March 25, 2005
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