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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 34 (H15−0115)高トルク超音波リニアモータを用いた高精度XY‐θステージの開発

企業名 :株式会社 ナノコントロール
研究者(研究機関名) :富川 義朗(山形大学 工学部 電気電子工学科 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 超音波リニアモータを用いたステージは非磁性で真空対応であることから電子線やイオン線応用機器分野を中心に開発が進められている。しかし10kg以上の重量物を高精度、高速で駆動できるステージは実用化されていない。本コンセプトは縦振動振幅と屈曲振動振幅の比率を大幅に向上することで高トルク化した超音波振動子を用い、さらに圧電素子駆動による微動制御機構を分離してナノレベルの位置決め精度と高速化を実現し、ネックになっている摩耗対策を先端駆動部材の選定と圧電素子を用いた独自の押圧機構で対策したXY−θステージの開発である。
本開発では、試作機により当初目標である振動強度の強化や微動分解能の向上に、一部目標値には達しなかったものの成功した。位置補正の評価が未実施であり、リニアモータが逆転しない等の課題の発生等もあったが、企業化のための問題点を絞り込むことができた。
 本開発の高精度XY−θステージは、今後より要求が厳しくなるであろうレーザ・電子ビーム応用分野ならびに半導体検査装置分野におけるナノテクノロジーを支える超精密位置決め機構として、情報産業分野から半導体製造・検査分野、更にバイオテクノロジーの分野等において、ナノメータレベルの非磁性・高精度な位置決め装置への需要が見込まれる。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 ほぼ計画通りに目標を達成できた。屈曲振動強度等の目標値に達しなかった項目や未評価の項目、新しい課題の発生等もあったが、問題を絞り込むことができた。
知的財産権等の発生
 申請を予定しており、いくつかの知的財産権取得が可能と考えられる。
企業化開発の可能性
 摩擦・摩耗の問題をはじめ、解決すべき課題が多くあるが、企業化の可能性は大きく、その能力もある。問題解決に5年とあるが、先端技術であり、他社の協力を得るなどして期間を短縮すべきである。
新産業、新事業創出の期待度
 微細化された要素技術の宝庫であるモバイル機器等のナノレベル微細加工・組み立てを支える技術として期待が大きい。国内製造業の空洞化の中で、海外でまねのできない生産技術としての完成を期待する。
3 ) 評価のまとめ
 ほぼ計画通りに実施できた。開発要素が多く、解決すべき課題は多くあるが、問題点の集約ができているので、企業化の可能性は大きく、知的財産権取得の可能性もある。先端産業を支える技術であり、国内製造業の優位性確保のためにも、企業化・新事業化を強く望む。他社の協力を得るなどして、事業化までの期間を短縮してほしい。

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This page updated on March 25, 2005
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