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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 33 (H15−0112)圧電性鉱物によるオゾン活性作用を用いた難分解性有機化合物の急速分解装置

企業名 :エヌティ日東産業株式会社
研究者(研究機関名) :荒磯 恒久(北海道大学 先端科学技術共同研究センター 教授) 他1名

1 ) モデル化の概要および成果
 圧電性鉱物(ドラバイト(電気石)粉末を使用)は電場中に置かれると、その結晶軸端上に電荷が分離し、オゾン等の酸素種を活性化するとともに有機化合物を吸着し粉末表面に濃縮する。これらのドラバイトの特性を利用して、低濃度で存在するダイオキシン類等の難分解性有機化合物を速やかに分解する装置を試作した。ダイオキシン類、塩化フェノール等のオゾン分解速度を4〜10倍増大させることができるとの予想のもと、100リットル級試作機を作成し、攪拌機の性能から最適含水比、最適反応値を決定し、24時間で土壌吸着ダイオキシン類の分解率を実測することに成功した。結果は当初の目標値である99%には及ばないものの、90%に達した。目標値を達成できなかった原因は攪拌機性能、土質条件からくる攪拌の不均一が原因で目標値を達成できなかったものと考えられる。今後、多機能攪拌機(土粒子の均一化を図る破砕機能、回転+上下動を可能とする攪拌機能)を開発(同等機を視察済)することで問題点が解消でき、難分解性有機化合物の分解と装置のシステム化を実現していく。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 ダイオキシン類の分解率は、ある程度の値を実現したが目標値には達せず、目標の実現には更なる改善を要すると思われる。
知的財産権等の発生
 特許1件出願済み。
企業化開発の可能性
 処理土壌の破砕、均一分散化による分解反応の均一な進行の実現により企業化開発の可能性はあると思われる。
新産業、新事業創出の期待度
 ドラバイトの回収・再生が容易であれば水処理への展開など用途は広がると期待される。
3 ) 評価のまとめ
 ダイオキシン類分解の可能性をとらえた点では評価されるが、実用化のためには、撹拌方法の改良等化学工学的改善、ドラバイトの回収・再生が課題である。

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This page updated on March 25, 2005
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