1 ) |
モデル化の概要および成果 |
本モデル化は研究者が提案した走査顕微鏡における配列型検知・処理装置のコンセプトを具体化するものである。この手法では空間周波数領域でバンドパスフィルタリングを行い、振幅・位相コントラストの双方に対して無収差成分のみからなる画像を得ることができる。本モデル化では、ビーム走査系、シンチレータ、ズームレンズ、64チャンネル検出器配列、プリ/メインアンプ、ディジタルプロセッサ配列及びモニタからなる収差補正並列処理システムの設計及び製作を行った。走査透過型電子顕微鏡に収差補正並列処理システムを取り付け、検証実験を試みた。その結果、画素数100×100、取得時間100sで、60チャンネル並列の明視野走査透過型電子顕微鏡(BFSTEM)像取得に成功した。現在プローブサイズ1nm以下での像取得を可能とする収差補正処理を行い、空間分解能1nm以下の無収差振幅・位相像が得られる見通しである。
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2 ) |
事後評価 |
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モデル化目標の達成度
収差補正並列処理システムの設計、製作は目標通りに行われたが、本システムを取り付けた走査透過型電子顕微鏡の空間分解能目標値0.5nm以下は達成されず、1nm以下の見通しである。 |
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知的財産権等の発生
発生なし。 |
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企業化開発の可能性
ハードウエア、ソフトウエアとも更に改善の必要があり、システムの完成度を高めることで実用化の可能性がある。 |
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新産業、新事業創出の期待度
システムの完成度を高めれば、電子ビーム応用機器の分解能向上および検査・分析のスループット向上を目指した理学、工学、医学等各分野で利用可能となる。 |
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3 ) |
評価のまとめ |
本試作収差補正検出器を用いた走査透過型電子顕微鏡の空間分解能は、目標値0.5nm以下を達成できていないが、原理確認ができたので、今後システムの完成度を高めることで、特に電子ビーム応用機器の検査・分析スループットが求められる市場ニーズに対して事業化が期待できる。 |