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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 31 (H15−0103)地上リモートセンシングによる岩盤斜面の安定性評価システムの開発

企業名 :株式会社 サンワコン
研究者(研究機関名) :荒井 克彦(福井大学 工学部 建築建設工学科 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 遠隔観測で岩盤の「表面温度の上がりやすさ」と「色」を数値的に捉えて、その値から岩盤の弾性波速度と亀裂係数を推定し、推定した弾性波速度や亀裂係数と斜面勾配の関係で斜面の安定性を評価するシステムを開発する。弾性波速度は岩盤を伝わる振動(縦波)の速さであり、岩盤をハンマーで打撃して、その振動が岩盤に設置した受信器に到達するまでの時間を測定して求める。亀裂係数は岩盤の弾性波速度と岩盤から採取した割れ目を含まない供試体の超音波速度(縦波伝播速度)の比を利用して算出する値である。地形的に近づくことが困難な岩盤斜面で弾性波速度や超音波速度を測定することは多大な時間と労力を要し、斜面全体を均等に評価することは極めて困難であるため、日常的な点検に用いられることは稀である。本システムは斜面全体を迅速かつ均等に評価し、ビジュアルに評価結果を示すものである。目視点検が主体の岩盤斜面点検を改善する一役を担う。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 目標はほぼ達成されたと考えられる。ただし、岩石種、湧水や測定条件等の諸条件に関しては今後の課題として残っている。
知的財産権等の発生
 特許1件出願済み。
企業化開発の可能性
 基本的技術は確立できたが、いくつかの条件に関しさらに解決すべき新たな課題が発生しており、継続して適用実績を作りながら企業化を目指して欲しい。
新産業、新事業創出の期待度
 従来の測定方式とは異なる新しいコンセプトであり、システムの信頼性や活用範囲が確認できれば新事業創出が期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 岩盤の崩落事故の多い日本においては、岩盤斜面点検を安全に効率よく実施することへの需要は多いと考えられる。従来の調査方法の欠点を補う形で本システムが有効に活用され、効果的な調査が行われるよう、本モデル化で判明した新たな課題の克服に取り組み、実用化にむけた開発を今後も取り組んで欲しい。

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This page updated on March 25, 2005
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