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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 29 (H15−0084)セラミックスの表面強靱化プロセスとその製品開発

企業名 :新東ブイセラックス株式会社
研究者(研究機関名) :坂 公恭(名古屋大学大学院 工学研究科 量子工学専攻 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 噴射材を吹き付けてセラミックスを強靭化する技術を、具体的な製品ターゲットとして切削工具へ適用し、これまでのセラミックスコーティング切削工具と同等以上の耐欠損性能を有するセラミックス製切削工具の開発を目指した。対象とした切削工具は窒化珪素系スローアウェイチップである。この切削工具に強靭化処理を施し、耐欠損性試験を行って評価した。なお、破壊靭性値の改善率は2.7倍であった。耐欠損性切削試験はNC旋盤を使用して行い、被加工物(φ120mm×200mm)の表面に形成した溝の加工数、刃先欠けの発生有無および切削抵抗等の測定結果から、総合的に比較評価した。その結果、本技術によって、刃先に欠けがなく、セラミックスコーティング切削工具と同等以上の強靭な切削工具の製作が可能となることがわかった。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 窒化珪素系工具で目標とした耐欠損性の改善が見られ、目標のセラミックスコーティング工具レベルまで向上した。しかし、試料毎のバラツキが大きく、その原因の解明と改善が課題として残った。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし、今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 強靱化プロセスはシンプルなので、バラツキが減少し、安定した強靱化効果が得られれば、企業化は進みやすいものと考えられる。
新産業、新事業創出の期待度
 セラミックは脆いという評価がくつがえらないため、構造材としての伸びが予想より低い。本方法はシンプルな手段でこれを解決しようとするもので、新しい用途開発も含め、大いに期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 強靱化処理により、切削工具の耐欠損性が目標のセラミックスコーティング材レベルまで改善された。しかし、試料毎のバラツキが大きく、その解析と改善が大きな課題として残った。強靱化プロセスはシンプルなので、安定した強靱化効果が得られれば、企業化は進みやすい。セラミックの脆いという欠点をシンプルな方法で解決しようとするもので、新しい用途開発も含め、大いに期待できる。

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This page updated on March 25, 2005
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