報告書 > 評価結果(2)研究開発課題の個別評価

研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 24 (H15−0064)ALN被覆回転対陰極型長寿命強力X線源の開発

企業名 :株式会社 リガク
研究者(研究機関名) :志水 隆一(大阪工業大学 情報科学部 情報科学科 教授) 他1名

1 ) モデル化の概要および成果
 従来のAl回転対陰極は、Cu回転対陰極基板上にAlを被覆したものが使われているが、Alは融点が低く柔らかいため、サイクル熱疲労破壊が起こりやすい。一方、AlNは融点が高く硬度も高いので、サイクル熱疲労破壊に対して極めて強靭な耐性を有することが期待される。本開発ではCu回転対陰極基板上にイオン・アシステッド蒸着(IBAD)法によりAlNを被覆し、従来のAl回転対陰極に比べて、寿命を一桁以上(1000時間以上に)向上させることを目標とした。
 試作したAlN被覆回転対陰極をX線発生装置に装着し、電子ビームを照射して評価した結果、40kV-100mA、260時間の負荷試験では、従来のAl回転対陰極で見られた表面荒れやX線強度の減衰が全く見られず、回転に伴うサイクル熱疲労に対して極めて強靭な耐性を有し、AlKα線用の対陰極として極めて有効であることが確認された。現在長時間試験を継続中であるが、1000時間以上の目標寿命は十分達成できる見込みである。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 モデル化の目標はほぼ達成。長時間寿命試験は続行中であるが、200時間の実負荷試験では皮膜に全く問題がなく、目標寿命1000時間の達成は可能と考えられる。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし、今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 潜在的なニーズは大きいと考えられるが、市場ニーズが未成熟との企業の判断がある。企業化には設備投資が必要であり、費用対効果の上で現状では企業化は困難と思われる。今後の需要の推移を見守りたい。
新産業、新事業創出の期待度
 光電子分光装置光源として、また、新しいX線源として需要が高まれば新事業創出が期待できるが、現在のところはその状況にないと考えられる。
3 ) 評価のまとめ
 長時間寿命試験は続行中であるが、目標の寿命1000時間以上の達成は可能と考えられ、モデル化の目標はほぼ達成できたものと思われる。光電子分光装置光源として、また、新しいX線源として需要が高まれば企業化・新事業創出の期待が持てるが、現時点ではその状況になく、企業化は今後の需要の推移を見守るとともに、市場開拓を期待する。

一覧に戻る 次へ

目次に戻る


This page updated on March 25, 2005
Copyright©2005 Japan Science and Technology Agency.
www-admin@tokyo.jst.go.jp