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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 13 (H15−0016)近赤外光CTによる骨病変早期無侵襲診断のための高速撮像装置の開発

企業名 :株式会社 アイ・ティ・リサーチ
研究者(研究機関名) :湯浅 哲也(山形大学 工学部 応用生命システム工学科 助教授)他1名

1 ) モデル化の概要および成果
 近赤外光CT診断において長い計測時間が被験者に対して多大な忍耐を強いている。この現状を改善するため、光スイッチと光ファイバ・アレイを用いて、リウマチ性骨病変早期無侵襲診断のための高速撮像装置を開発し、従来の計測時間の約50%(13分程度)まで短縮した。本撮像装置は、最小検出可能パワー10-13 Wの感度と100dBのダイナミックレンジ、そして約200 μm の空間分解能を有することが確認された。この評価結果と取得した指の再構成画像の分析から、従来の光ファイバ方式撮像装置と比較して遜色のない性能であることが明らかになった。
 さらに、これまでは除振台の上で実験していたファイバ光学系を、光学ユニットとしてコンパクトにまとめあげ、信号処理ユニットと合わせてカートに搭載した。指専用の計測ユニットも別のカートにまとめたので、撮像装置全体の可搬性が大幅に向上した。本撮像装置の試作により、臨床応用への可能性が開け、骨病変早期無侵襲診断装置として実用化へ一歩踏み出すことができたと考える。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 リウマチ性骨病変早期無侵襲診断のための計測時間の短縮や最小検出パワーの低減等、高速撮像装置の目標値は達成できた。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし、今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 高速撮像装置の光学系及びソフトウェアの更なる改良により、画像品質の向上が図れれば企業化の可能性は高い。
新産業、新事業創出の期待度
 連続発振(CW)のレーザーを用いる現在の方式に代えて、ピークパワーの大きいパルスレーザーの性能が確認できれば、マンモグラフィー等への応用が期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 本撮像装置では、計測時間の短縮が図られ、被験者の負担の大幅な軽減を可能とする結果を得ている。健常者とリウマチ性骨病変患者との画像の差異が明確にでるよう、画質の改善を行うとともに、画像解析ノウハウの蓄積が図られることを期待する。

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This page updated on March 25, 2005
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