1 ) |
モデル化の概要および成果 |
紫外線照射による表面局所プラズマ生成理論を応用したダイヤモンド薄膜合成装置を設計・製作し、大面積(3インチ)基板へのダイヤモンド成長を試みた。本方法によれば、これまで実用化を阻む問題であった膜合成の消費電力を従来法に比べ少なく(1/10以下で成長)でき、また、大面積・高速成膜を達成できるものと期待される。
試作装置は上記理論を満足する仕様を備えて完成した。本装置製作に並行して、小型装置を用いて紫外線照射時に基板から発生する電子量を計測し、基板種・水素圧力に関して最も効率的に電子線が励起される条件や、ダイヤモンド膜成長の始まりである核発生のDCグロー放電による核発生条件の傾向を検討し、本装置に適用した。装置の設計・製作に時間を要したこと、薄膜合成装置の故障等でダイヤモンド成長までは至らなかったものの、紫外線照射による電子励起は確認できたので、今後の成長実験に期待が持てる。
|
2 ) |
事後評価 |
|
モデル化目標の達成度
試作機は完成したが、ダイヤモンド薄膜成長のモデル化諸元確保は今後の課題である。この種の研究開発の成否は実験回数、ノウハウの積み重ねに掛かっている。 |
|
知的財産権等の発生
紫外線照射効率の向上と計測・制御技術に関して権利化が検討されている。また、実験を繰り返し進めることで、重要なノウハウ、特許の発生が期待される。 |
|
企業化開発の可能性
当該分野への着眼点など、技術面とともに営業面からも先行する開発企業体質を持ち、当該分野は当面の事業ともリンク可能である。企業化を期待し、今後の研究成果を待ちたい。 |
|
新産業、新事業創出の期待度
新技術開発であると共に将来重要な部品製造技術であり、新事業創出の期待度は大きい。半導体用の優秀なヒートシンク材の市場が想定される。 |
|
3 ) |
評価のまとめ |
試作機は求める仕様のものが完成したが、ダイヤモンド薄膜成長のモデル化諸元確保は今後の課題。開発の成否は実験の繰り返しによるノウハウの積み重ねにかかっている。新技術であるとともに、将来重要な部品製造技術であり、現時点での達成度は低いものの育成の価値のある重要な技術で、新事業の創出が期待できる。実験の繰り返しによるダイヤモンド膜生成条件の確立と新市場の創生を期待する。 |